階級的労働運動が福祉解体阻む 福祉労働者は11・1に大結集を 障害者作業所「街」弾圧粉砕の教訓

週刊『前進』06頁(2700号03面05)(2015/10/05)


階級的労働運動が福祉解体阻む
 福祉労働者は11・1に大結集を
 障害者作業所「街」弾圧粉砕の教訓


 9月国会・国鉄決戦は全学連を先頭に1千万労働者の資本・国家との絶対非和解の闘いとして、歴史的情勢を開いた。戦争のみならず安倍の社会保障切り捨てと増税への怒りも地に満ちている。日本共産党は保守にすがる「国民連合政府」構想で資本家防衛を宣言し、労働者人民の怒りを踏みにじった。だが戦争と社会保障解体の攻撃はますます一体化し、職場で街頭でさらに激突していく。労働者階級のゼネストと国際連帯、階級的労働運動の力だけが労働者人民の未来を開き社会保障を取り戻せる。11・1労働者集会の大結集をかちとろう。

公安の弾圧粉砕闘いの拠点守る

 9月攻防は8月14日、東京・練馬区の障害者作業所「オープンスペース街(まち)」の職員2人への「詐欺罪」デッチあげによる不当逮捕をめぐる釈放・奪還という公安の弾圧粉砕の快挙によって火ぶたが切られた。
 警視庁公安部は6月から作業所や東京北部ユニオン活動家宅など9カ所に家宅捜索を行い、国鉄解雇撤回の6・30最高裁決定を迎え撃った国鉄闘争全国運動と動労総連合建設、国会闘争への実力進撃を3カ月にわたる大弾圧策動で封じ込めようとした。しかしこれを完全に粉砕し生活と闘いの拠点を守りぬいたのだ。
 「戦争反対勢力が作業所をやっていること自体が詐欺」「どんな微罪でも仕掛けてやる」「障害者を政治利用するな」――これらは「街」弾圧を行った公安刑事の許しがたい言葉だが、日帝・安倍の本音だ。
 福祉は労働者人民の闘いがかちとってきた。しかし体制内勢力は憎しみを込めてこの本質を打ち消す。「福祉は体制変革とは別、改良の問題」とし、シールズに至っては「私たちは、持続可能で健全な成長と公正な分配によって、人々の生活の保障を実現する政治を求めます」と、資本主義を美化する立場を表明。搾取の元凶である資本家独裁や非正規職の撤廃を労働者が命がけで闘うことを「反民主主義」として排斥している。

作業所の撲滅で福祉民営化狙う

 「街」弾圧との闘いの教訓は第一に、日帝の障害者作業所の撲滅と大企業の下請け機関化による福祉民営化の「総決算攻撃」を完全に粉砕してみせたことだ。障害者と家族、職員労働者らが「ともに生きる寄る辺」として建設してきた都内1千カ所、全国1万カ所にも及ぶ障害者作業所の存亡のかかった闘いとして闘いぬいたのである。
 障害者自立支援法制定以降、悪意に満ちた「不正受給」キャンペーンが多くの作業所にかけられた。涙をのんだ作業所も多い。だが「街」をめぐる攻防を通して、民営化による民間経営の論理で事故や安全崩壊の責任をすべて職員労働者に押し付けられてきた歴史への反撃がついに開始された。「街」は団結して闘って攻撃を粉砕し勝利してみせたのだ。この怒りと勝利の経験はとてつもなく大きい。ただちに1千万労働者の中で闘うネットワークとして発展させられなければならない。
 障害者作業所の多くは、1970年前後に障害者の就学後の行き場づくりとして、家族や地域の共同のもとで自主的につくられてきた。戦後福祉は、戦後革命の敗北の代償として、憲法に規定された生存権や国家責任に基づく「公的福祉」を労働者階級の闘いの拠点として打ち立ててきた。しかしそれは国家独占資本主義的な帝国主義の延命政策でもあった。福祉の実態は、「社会福祉法人や社会福祉協議会への委託」「利権温床としての措置費の奪い合い」であり、大半は規格の押し付けであった。
 したがって作業所は、社会福祉法人などが行ってきた法の枠内の「授産施設」よりも自由な「共同作業所」として、労働運動を背景に国家政策と闘って自主的に点在してきたのだ。
 しかしここで、70年闘争の一掃もかけた国鉄分割・民営化を先頭とする新自由主義攻撃が襲いかかった。85年以来の国際障害者年での「労働者階級としての障害者」の階級性解体攻撃や、「契約方式」で「福祉の国家責任」すらはぎとって総非正規職化を強いた介護保険や障害者自立支援法・障害者総合支援法との大攻防が闘われてきた。まさに反戦と自主性、「寄る辺」として団結を守り抜いてきた存在である作業所をつぶすためにも民営化攻撃は強められてきたのだ。
 したがって不当逮捕に屈せず完全黙秘・非転向で立ち向かった「街」の職員2人の闘いは、作業所闘争の金字塔であるとともに、現下の戦争との闘いを日々貫く闘いである。

労働組合つくり団結して闘おう

 「街」闘争は第二に、民営化され苦闘する福祉労働者に「今こそ団結をつくって闘いぬこう」と訴えることのできる闘いだということだ。
 高齢者介護現場のみならず、障害者施設での「障害者虐待」報道も後を絶たない。昨年2月、山口県下関の障害者施設「大藤園」では、通っていた知的障害者を平手打ちで虐待した「暴行」の疑いで職員が懲戒解雇され逮捕された。報道では「容疑者は被害者が作業をしようとしなかったのでやった」とされた。施設側も「別の職員も通所者に『殺す』『ばか』などと暴言を吐いた疑いがある」などと、現場の状況を知っていながら事件になった職員だけを切り捨てる対応に終始した。
 厚労省は8月、「障害者の虐待、2割以上増加。昨年度1年間に職場で虐待を受けた障害者が501件483人」「時給200円は障害者への『経済的虐待』」などと発表した。12年施行の障害者虐待防止法での告発と調査から政府が発表したものだが、むしろ「事件」は法制定以降、増加している。福祉職場の実態は、労働者の合理化との闘いの一切を奪い、労働者の密告と監視を強めて会社に隷属させ、その結果、利用者にも苦難を強いるためだけの虐待防止法でしかない。
 昨年、NHKは「障害者支援で広がる不正」と題して、「5年で38自治体・5億1千万円が不正」と報道した。「原因は自立支援法の規制緩和」だとして自立支援法が社会を崩壊させていることを明らかにする一方、その破綻を警察力や自治体労働者を動員した取り締まりの強化で隠そうとしている。
 作業所の共同性を奪うな! 障害者総合支援法を撤廃しろ! 民営化・非正規化反対! 警察引っ込め! 「街」弾圧への怒りは福祉介護現場に闘いの機運を生み出している。職場に労働組合をつくり出し、団結して闘おう。11月集会に大結集しよう。
(岩崎泰明)
このエントリーをはてなブックマークに追加