郵政の株式上場との闘い 総非正規職化を狙う攻撃を正規・非正規の団結で阻め
週刊『前進』06頁(2700号03面02)(2015/10/05)
郵政の株式上場との闘い
総非正規職化を狙う攻撃を正規・非正規の団結で阻め
極限的な外注化と子会社化の攻撃
郵政3社の同時株式上場が11月4日に行われると決まった。これこそ第2の郵政民営化攻撃だ。これは単に、郵政という労働者人民のかけがえのない資産を新自由主義ブルジョアジーどもに投げ与え食い物にさせるだけのことではない。新自由主義による極限的な外注化・分社化・子会社化を進めるものだ。JRやNTTなどを見れば明らかなように、それは労働者に対して激しい人員削減・合理化、すなわち首切り・賃下げ、そして一層の非正規職化の攻撃として襲いかかる。
そもそも小泉政権による2007年の郵政民営化で真っ先に行ったことは、当時の日本郵便逓送をはじめとした輸送部門を担う子会社や委託業者などを統廃合し、現在の日本郵便輸送を設立し完全子会社化したことだ。現在では郵便輸送にとどまらず郵便物の配達までこの子会社の労働者に担わせている。また、日本郵便デリバリーという別の子会社を設立し、ゆうパックを配達させることが東京の銀座郵便局などで始まっている。
郵政民営化で行ったもうひとつの大きな事業は、2010年の日通ペリカン便とゆうパックの統合によるJPEX設立と完全子会社化だった。だがこの宅配統合は完全に失敗し大混乱しかもたらさなかった。これら子会社の実態は、管理職1人が正社員で、あとはすべて非正規というもの。まさに1割と9割だ。
今回上場されるのは、持ち株会社の日本郵政(正社員、約3千人)、その子会社のゆうちょ銀行(同、約1万3千人)とかんぽ生命(同、約7千人)の3社だ。なぜ同じ子会社である日本郵便(同、約20万人)の株は上場されないのか。日本郵便の中の郵便事業部門が赤字であり、上場しても誰も買わないからだ。郵便事業は典型的な労働集約型産業だ。しかも全国どんなところでも離島だろうと大都市だろうと同一料金で公平に安定した「ユニバーサル・サービス」を行うことを義務付けられている。そもそも郵便は営利事業ではなく国がやる事業だった。それを民営化したこと自体に無理がある。だから郵便会社は非正規職化を徹底して進め、賃金を削減するしかないのだ。
これはJRと同じである。JRは本州3社のみ上場し、北海道、四国、九州、貨物の鉄道事業は採算がとれないままだ。事故が相次ぐJR北海道が示すように、経営が成り立たない中で安全無視が横行し、あげくに廃線化に向かっている。貨物は極限的な低賃金と強労働を労働者に強制している。JR東も子会社化・外注化、非正規職化を徹底的に進めようとしている。
日本郵政は今年になって突如、オーストラリアの物流会社・トール社を買収したと発表した。これを子会社とし国際物流に乗り出すという。海外とりわけアジアでもうけようというのもJRと同じだ。だが国際物流のノウハウなど持ち合わせていない郵政の付け焼き刃は、あの宅配統合の時以上に大破産し、早晩頓挫(とんざ)するのは間違いない。そして宅配統合の時がそうであったように、その付けはすべて労働者に回ってくる。
日本郵政が民営化の手本とし、後を追っているのが1995年に国営企業「ドイツ連邦郵便」から民営化されたドイツ・ポストである。そのドイツ・ポストの14万人の労働者は今年6月から無期限ストに突入し、52日間のストを闘いぬいた。ドイツ・ポストは、他国の物流・運送会社の買収や銀行の買収・売却などを繰り返してきた。今年4月には、宅配部門の人件費削減のためにDHLデリバリーという子会社を設立した。その賃金はドイツ・ポスト本体と比べて1割低く、冬のボーナスも削減される。この賃下げの外注化・子会社化攻撃に対して決起した。
独郵便労働者のゼネストに続き
まさにヨーロッパ中をおおうゼネスト情勢の重要な一角を担う闘いに、ドイツの郵政労働者は立ち上がったのだ。株価が乱高下する恐慌の中の恐慌という情勢下で持ち株会社・日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社の株を同時に市場に投げ出すなどというむちゃくちゃな暴挙は必ず破綻する。行き着く先は何とかもうけを出して株価を維持しようとする外注化と子会社化だ。それは首切り合理化と賃下げ、非正規職化の攻撃となり郵政労働者に襲いかかってくる。だがそれこそ郵政労働者の総決起と総反撃の時となる。
8〜9月国会闘争には多くの郵政労働者が立ち上がり、われわれと合流した。革命派が断固として存在し闘いぬくならば、郵政の現場でゼネスト情勢を切り開くことは可能である。日帝・安倍―葛西・西室(日本郵政社長)を串刺しにし、JP労組中央本部を打倒しストライキに突き進もう。正規・非正規の団結で、全国の郵政職場で拠点化の闘いを進めよう。11・1労働者集会に総結集しよう。
(大沼雅之)