焦点 「中国ショック」と世界大恐慌 本格的な爆発過程へと突入

週刊『前進』06頁(2699号05面06)(2015/09/28)


焦点
 「中国ショック」と世界大恐慌
 本格的な爆発過程へと突入


●FRBは9月利上げできず
 米連邦準備制度理事会(FRB)は9月16、17日に開いた公開市場委員会(FOMC)で、焦点となっていた政策金利の引き上げを見送り、ゼロ金利政策を継続することを決定した。これは雇用や賃金など米実体経済もまったく「底堅い」とは言えないことに加え、中国経済の大減速と新興国の経済破綻(通貨下落、インフレ、資源価格の下落)が進み、今の時点で利上げを強行すれば大恐慌の本格的激化へ突入することを、米帝支配階級が恐れたためである。
 今年に入り、中国経済は急減速している。昨年夏以降の不動産・住宅バブルの崩壊で「恐慌の中の恐慌」の引き金を引いた中国経済は6月末以降、今度は上海株バブルが崩壊し、「中国ショック」を引き起こした。
 設備・建設投資の傾向を示す固定資産投資の伸びは1〜8月期に15年ぶりの低水準だった。この10年間、毎年2〜3割のペースで伸びていたのが、今年は前年比1割増にとどまっている。それどころか8月の輸出額は5・5%のマイナス(前年同月比)と大きく落ち込み、輸入もマイナス13・8%と、10カ月連続で前年を割り込んだ。7月の新車販売台数は7・1%マイナスと4カ月連続で前年割れした。さまざまな指標が中国経済の急減速を示している。
 この根底には中国版の「過剰資本・過剰生産力」の矛盾の爆発がある。中国スターリン主義は1978年以来、「改革・開放路線」のもとで帝国主義資本を積極的に受け入れ、労働者を超低賃金で搾取し、新自由主義的帝国主義の延命のための「世界の工場」「巨大な商品市場」の役割を果たしてきた。その結果、12年には中国の生産額の3割、輸出入の5割を外国資本が占めるに至った(同年12月8日付日本経済新聞)。
 中国スターリン主義はこうしたやり方で毎年10%近く(01〜14年平均)の急成長を遂げ、GDP(国内総生産)で日本を09年に追い抜き、今やアメリカに迫る世界2位の「経済大国」に巨大化した。だが、それは中国スターリン主義の危機と矛盾を一層蓄積し、爆発させる過程でもあった。
 08年のリーマンショック後には4兆元(60兆円)の景気対策を行い、大恐慌下の帝国主義を救済した。野放図な資金供給で需要がバブル的につくられた。それによって企業の設備投資が過熱し、鉄鋼・石炭・造船・石油化学・ガラスなどの基礎的製造業でとてつもない過剰生産・過剰生産能力を生み出すに至った。他方では不動産バブルの崩壊で地方政府などの債務破綻が進行している。
 さらにスターリン主義官僚体制の金権腐敗と、強搾取・強収奪・抑圧への人民の怒りは全土で爆発している。まさに「中国スターリン主義の体制崩壊的危機こそ、大恐慌激化の最大火点のひとつ」(『現代革命への挑戦』上巻)である。
●新興国経済が総破綻の危機
 さらに今日、新興国全体が体制総破綻の危機に突入している。リーマン以後、米日欧の超金融緩和策で新興国に流れ込んだ資金が各国で一定の経済成長をつくり出したが、この間、その緩和マネーが急流出している。この1年間にブラジル、トルコ、南アフリカなど19の新興国から1兆㌦(約120兆円)の資金が流出した。09年以来流入した投資額2兆㌦の半分に相当する。加えて中国経済の急減速で、資源価格の下落や輸出の減少が新興国経済を破綻に追いやっている。
 日帝も大恐慌の本格化で経済破滅の危機を深めている。昨年の経済成長率はマイナスで、今年4―6月期もマイナスだ。郵貯や年金積立金を注ぎ込んだ安倍の株価維持政策はもはや限界である。アメリカの格付け会社S&Pは16日、日本国債の格付けを中国や韓国以下のランクに一段階引き下げた。早晩、株価に加え国債の大暴落は不可避である。
 EU・ユーロ圏もギリシャ危機などを抱え、経済低迷とEU解体の重圧にあえいでいる。
 大恐慌は「中国ショック」で本格的な爆発過程に突入した。この大恐慌の戦争への転化を許さず、ゼネストと国際連帯で世界革命の勝利を切り開こう。労働者階級の未来は唯一、この闘いの勝利にある。

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