「チーム学校」―事務の共同実施は非正規職化の攻撃だ 戦争・民営化とストで闘おう
「チーム学校」―事務の共同実施は非正規職化の攻撃だ
戦争・民営化とストで闘おう
文部科学省は7月16日、「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(中央教育審議会作業部会中間まとめ)」(以下「チーム学校」)を、続く27日には「学校現場における業務改善のためのガイドライン~子供と向き合う時間の確保を目指して~」(以下「ガイドライン」)を公表した。これは「国のあり方」を根本から変える戦争法と一体で、「学校のあり方」を変える大攻撃だ。これについて学校事務職員の問題を中心に見ていきたい。
教育を民営化するために非正規職に置き換え
「チーム学校」は、文科省・中教審が「複雑化・多様化、困難化した課題」に「教員だけで対応するのは質的にも量的にも難しくなってきている」という現状認識から打ち出された。「新たな学校像=チームとしての学校」というくくりを持ち込み、「多職種で組織される学校」の「専門性に基づくチーム体制の構築」を「学校のマネジメント機能の強化(事務体制の強化)」という管理強化で無理やり接合し、「教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備」を図るという。「ガイドライン」はこれら「業務改善のための基本的考え方と方向性、先進的な実践事例」を示している。
その「事務体制の強化」策の柱として「学校事務の共同実施」が打ち出されている。
まず第一にはっきりさせるべきことは、「チーム学校」「学校事務の共同実施」が、学校事務職員の人員削減と非正規職化、外注化・民営化攻撃だということだ。しかも、これは「教育の民営化」への導水路だ。
2006年度に本格実施された大分県の「学校支援センター」では、06年度に467人いた事務職員が14年度には345人へと122人も大幅に削減され、非正規職員に置き換えられている。正規職の事務職員配置校147校、未配置校257校(非正規職の配置校を含む)で未配置率64%という驚くべき事態だ。
12年度に江東区、武蔵村山市のモデル実施で突然始まった東京の「共同事務室」も、「正規職員を減らし人件費の余剰分で非常勤職員を雇用し、拠点校以外の学校には非常勤職員を充てる」というものだ。東京都清瀬市は7月末に試行を強行したが、「業務環境が整わない」ことで1週間後には、拠点校に集めた事務職員を連携校に戻さざるを得なかった。「共同実施」は教育現場を破壊する。破産は必至だ。
こうした教職員の非正規職化は全国の教育現場に広がっている。「896自治体消滅」が言われる中で、「給与制度の総合的見直し」という公務員人件費削減攻撃や17年「教職員給与費等の政令市移譲」が切迫し、全国に20ある政令市の教職員の賃金・労働条件がどうなるのか、とりわけ事務職員制度の存廃にかかわる「(行政職との)任用一本化」問題が俎上(そじょう)に上っている。
労働者分断と管理支配強化のテコとされる!
第二に「学校事務の共同実施」を、「チーム学校」という教職員集団の協働性に名を借りた新たな労働者分断、新たな学校管理支配体制強化のテコとして位置づけていることだ。
「ガイドライン」には、「事務職員は、......これまで担当してきた総務・財務事務に加え、学校運営に関する事務についても、副校長・教頭・主幹教諭等とともに積極的に担っていくことが期待」されるとし、「学校評価や危機管理、ICT(情報通信技術)管理、人事管理、組織管理、渉外などの学校運営にかかわる役割」を担えとして、教育委員会に「標準的職務に関する通知の発出」を促している。
ふざけるな。今日の世界一の過重労働をつくり出した責任は安倍と文科省と教育委員会にある。そうであるにもかかわらず、「チーム学校」「学校事務の共同実施」とは、今日の資本主義社会が求める教育・労働力養成に応えるために超多忙化する業務を、政策加配はしても必要な正規職員の定数増は行わないで非正規化を進める中で、現場の力量で「校務を担う体制を整備」し解決しろという押し付けでしかない。それは事務職員ばかりではなく、非正規職も正規教員も〝生き残りたければ死ぬほど働け!〟ということだ。
「チーム学校」「共同実施」は学校事務職員の仕事を守りたいという気持ちにつけこんで、学校事務職員の賃金・労働条件、学校事務職員制度そのものを解体する道だ。絶対反対で闘おう。
文科省と共に共同実施を推進する日教組中央
第三に「チーム学校」「共同実施」は、安倍の戦争と戦争教育攻撃と一体の、日教組つぶし、職場の団結破壊攻撃だ。
安倍の労組つぶしの最大の標的は日教組だ。9月戦争法案激突のさなかに開かれた日教組定期大会では「学校事務の組織化(共同実施)」推進方針を確認している。日教組中央の「参加・提言・改革=文科省とのパートナーシップ(共同)」路線は、「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて市民的政治闘争としては闘うが、職場に迫りくる戦争と民営化・非正規職化攻撃との闘いは一切放棄しているのだ。「チーム学校」「共同実施」にあっては、まさに「日教組(事務職員部)運動の成果」として〝共同の推進者〟と化している。
新自由主義攻撃は労働組合の協力なくしては成り立たない。資本主義擁護と「財政再建」、労使協調の立場から民営化に全面的に協力してきた体制内労働組合幹部のペテンを暴露し、制動を打ち破り、ストライキとゼネストで闘う労働組合をつくり出す時だ。韓国・民主労総は労働市場改悪を始め階級戦争をしかけるパククネ政権打倒のゼネストに決起している。ロサンゼルス統一教組(UTLA)は、「教職員の労働条件が、すなわち子どもたちの学習環境である」を合言葉に、職場労働者とともに闘う組合執行部を樹立した。
職場をどうしたらいいのか、一番よくわかっているのは教育労働者自身だ。しかし、4月の地方教育行政法改悪により首長部局が主導の「総合教育会議」を主体とする「上からの学校改革」として強行しようとしている。だが、職場で団結して闘えば、戦争と民営化の新自由主義攻撃は必ず打ち破れる。
団結して闘う拠点つくろう
動労千葉は鉄建公団訴訟の6・30最高裁決定で「採用差別が明確な不当労働行為であった」ことを認めさせた。動労千葉は〝労働組合が団結を崩さず闘えば勝てる〟ことを明らかにし、JR東日本に対する新たな解雇撤回闘争に突入している。
「非正規職撤廃、非正規職化を進める民営化・外注化反対」はすべての労働者の今日的課題だ。教育労働者にとって、非正規職撤廃の闘いは自らの職場を守る闘いであると同時に、青年労働者の「経済的徴兵制」の現実を打ち破る闘い、「教え子を再び戦場に送るな」の実践だ。教育労働者は職場の仲間とともに11・1日比谷野外音楽堂に総結集しよう! ストライキで闘う拠点をつくり出そう。全国の教育労働者は、革共同教育労働者委員会に結集し、ともに考え、ともに闘おう。
〔革共同教育労働者委員会〕
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▼学校事務の共同実施
学校の事務を組織化し共同処理する拠点校やセンターに各学校の事務職員を集中的に配置する。拠点校以外の学校では、事務職員が非正規職員に置き換えられたり配置されなくなる。学校事務外注化の突破口。日教組は待遇改善・定数改善の方策として推進している。