知る・考える 用語解説 国家総動員体制/労働委員会

週刊『前進』06頁(2698号05面05)(2015/09/21)


知る・考える 用語解説
 国家総動員体制/労働委員会

国家総動員体制-帝国主義戦争遂行への体制

 帝国主義国が不正義の強盗戦争を国家総力戦として行うために、軍隊ばかりでなく、あらゆる国家機構、民間工業力、資源などを再編・統制し、労働者人民をも戦力として総動員する体制。帝国主義国が2大陣営に分かれて激突した第1次世界大戦以来、戦争は大規模化し、各国は総動員体制をつくってすべての人民を戦争に駆り出すようになった。
 日本では1938年に「国家総動員法」が制定されて以降、生産や労働、電力・資源、施設、配給、輸出入、果ては学問・出版・文化・放送・芸術にいたるまで、社会生活のあらゆる領域で、戦争のための統制と動員が強められた。第2次大戦中には、中学校以上の生徒や大学生が軍需産業や食糧増産に動員され、「学徒出陣」で戦場で殺された。
 現在も安倍政権のもとで「国家総動員体制」が狙われている。武力攻撃事態法、国民保護法などで、空港や港湾、国・地方公共団体、指定公共機関(JRや海運、航空、陸運、放送局、日赤など)が戦争に必要な業務を義務付けられ、労働者が強制的に動員される。
 だが、これは逆に労働者が「戦争絶対反対、国際連帯」の立場に立ち、一切の戦争協力を拒否してゼネストで闘うならば、戦争を絶対に阻止できるということだ。労働組合の闘いが鍵を握っている。

労働委員会-職場闘争と一体で闘う武器

 労働委員会とは、労働者の団結権を保障した労働組合法に基づき、国と都道府県に設置された機関。公益委員、労働者委員、使用者委員のそれぞれ同数によって構成され、不当労働行為事件の審査・救済などを行う権限を持つ。労働者にとっては、資本や当局による労働組合破壊攻撃と闘う武器とすることができる。
 労働委員会での闘いは、使用者による反組合の不当労働行為に対する「救済申し立て」をもって始まり、救済命令か棄却命令が出される。都道府県労働委員会と中央労働委員会(中労委)の2審制であり、都道府県労働委員会の発した命令に不服がある当事者は、中労委に再審査の申し立てをしたり、命令の取り消しを求めて行政訴訟を起こすことができる。
 しかし労働委員会闘争も裁判闘争も、あくまで職場での闘いの武器としてあり、労働者の団結を土台とし総括軸とすることで初めて、資本・当局との力関係を変え、攻撃をはね返して勝利をかちとることができる。逆に職場闘争と切り離された労働委員会闘争は非力であり、闘いの変質すらもたらす。
 動労千葉の闘いに学び、職場の団結にこだわりぬいて労働委員会と裁判を闘い、解雇撤回・原職復帰をもぎとった東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の闘いは、模範とすべき闘いである。
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