「Sアミーユ川崎幸町」での事故の一切の責任は会社にある!
「Sアミーユ川崎幸町」での事故の一切の責任は会社にある!
神奈川県川崎市幸区の老人ホーム「Sアミーユ」で続発している事故について、東京北部ユニオン・アミーユ支部などが発した声明を紹介します。(編集局)
「Sアミーユ川崎幸町」での転落死亡など一連の事故についての声明
一般合同労働組合 東京北部ユニオン
東京北部ユニオン・アミーユ支部
(一)
「Sアミーユ川崎幸町」での「入居者の連続転落死亡事故」「浴槽内での死亡事故」「職員による暴行・虐待」という一連の問題が大きくマスコミで取り上げられている。
私たちは、Sアミーユ川崎幸町での一連の事故の一切の責任は会社にあると考える。けっして、労働者個人の責任にして幕引きするようなことがあってはならない。
(二)
「介護現場の崩壊」と言えるこのすさまじい状況の根本原因は、2000年の介護保険制度導入によって、介護が「儲(もう)けるための産業」にさせられたことにある。1円でも多く儲けるために、労働者をとことん低賃金で働かせ、できるだけ少ない人員で職場を回させ、金のかかる安全対策はないがしろにされてきた。また、介護の知識や経験がない他業種の資本が儲けるために参入したことも、介護現場を劣悪にした大きな要因である。
今回の事故が起こったSアミーユやCアミーユ(サービス付き高齢者住宅)を経営する「積和サポートシステム」は、「メッセージ」と積水ハウスが共同出資した合弁企業であり、まさにその典型だ。メッセージグループは、かの「コムスン」承継企業である「ジャパンケアサービス」などを子会社化し、今やニチイ、ベネッセに次ぐ介護業界トップ3に入る大手資本として急成長してきたが、それは、行政と一体となって、規制緩和と限度を超えた合理化をおこなった結果だ。
(三)
私たちは、職場のパワハラ解雇に怒るアミーユ光が丘の労働者が中心になって昨年6月に東京北部ユニオン・アミーユ支部を結成した。私たちは、アミーユ支部の闘いを進める中で、アミーユ光が丘の劣悪極まる労働環境に愕然(がくぜん)とした。
人員不足、過重労働、安全対策の不備、事故の多発、休憩室も更衣室もなく労働者はトイレで着替えをしている。休憩も満足に取れず、休憩時間でもナースコール対応をさせられていた。
職場の仲間との団結をつくり、団体交渉を重ね、労働環境の改善を勝ち取ってきたが、人員増員要求に対し会社は一向に応じようとしない。特に夜間帯は二つのフロアーを1人で見なければならず、「これでは安全を守れない。増員しろ!」と要求し続けているが、転倒事故などが起きているにもかかわらず、会社は「配置基準を満たしている」と言うばかりである。
また、会社がきちんとしたアセスメントもおこなわず、「薬の居室保管」を進め服薬業務を介護士に押しつけることに対し、「誤薬事故が増えている。以前のやり方に戻せ!」と職場のほぼ全員が署名をして要求したにもかかわらず、会社は聞く耳をもたない。また、本来、介護労働者に還元されるべき処遇改善加算の一律配布が行われず、使い方がまったく不透明である。
「『施設』という概念から脱却した、良質の『住まい』」(Sアミーユ紹介文)と称して施設としての管理責任を放棄し、徹底した人員削減を進めてきたアミーユの合理化と安全無視の結果として、今回の一連の事故は起こった。「オーダーメイドケア」「お食事のタイミングも、おくつろぎの時間も、ご自身のペースで自由に過ごせ(ます)」と言うが、3対1の最低限の配置基準を満たすだけの人員で、どうしてそんなことができるのか! 今回の一連の事故を労働者の個人責任になすりつけることなど、断じて認められない。
実際に今、アミーユの職場では、「いつかは起きると思った」「自分の施設でも起こる可能性がある」「激務続きで、働く環境が崩壊している。こんなのじゃ良い介護ができるはずがない!」との叫びが上がっている。メッセージグループ経営陣は、労働者のこの声を真摯(しんし)に聞き、アミーユ支部の要求を受け入れ、直ちに人員を補充し、抜本的な安全対策を取るべきである。
(四)
今回の「Sアミーユ川崎幸町」での転落死亡など一連の事故の責任は会社にあると同時に、財界の意志を受けて民営化・外注化、規制緩和を積極的に進め、社会保障を解体してきた自民党・安倍政権にある。介護業界は食っていけない低賃金が蔓延(まんえん)し、離職が後をたたない。介護現場そのものが崩壊している。
したがってこれは、Sアミーユ川崎幸町だけ、あるいはアミーユだけの問題ではない。すべての介護職場の問題だ。職場の安全は、労働者が団結し労働組合をつくって、「安全よりも金儲け」の会社と闘って、かちとる以外にない。
今まで介護労働者は、劣悪な職場環境下で理不尽なことを強いられ、悔しい思いをしてきた。そんな中でも介護労働者は必死に働き、現場を守ってきた。崩壊する介護現場を、安全で、みんなが誇りをもって働ける職場に変えることができるのは、現場を動かしている労働者の団結した力だけだ。
(五)
もう一度、全国のアミーユをはじめすべての介護労働者のみなさんに訴えます。
職場の安全は労働者が団結して労働組合を結成して、「安全よりも金儲け」の会社と闘って、勝ち取る以外にありません。労働組合をつくってともに闘いましょう。
東京北部ユニオン・アミーユ支部、そして東京北部ユニオンが加入する合同一般労組全国協議会に入り、一緒に闘いましょう!
2015年9月11日