改悪労働者派遣法許すな 「3年で解雇」「生涯派遣」 総非正規化が資本の狙い

週刊『前進』06頁(2698号03面04)(2015/09/21)


改悪労働者派遣法許すな
 「3年で解雇」「生涯派遣」
 総非正規化が資本の狙い


 9月11日、改悪労働者派遣法が衆院本会議で成立した。安倍政権がボロボロになりながら強行している戦争法と一体の、労働者への大攻撃だ。
 この改悪労働者派遣法によって、企業は3年ごとに派遣労働者を別の派遣労働者に入れ替えれば、いつまでも派遣労働者を使い続けることができる。派遣労働者は長くても3年で「課」を移るか、雇い止め解雇にさらされる。職場でつくり上げた労働者同士の信頼関係や共同性もずたずたにされ、また一から仕事を覚え直さなければならない。労働者の人生を蹂躙(じゅうりん)し、非正規職と低賃金に一生しばりつけるものだ。その先にあるのは労働者の戦場への動員だ。
 法律には派遣会社は雇用の継続に努めるという規定がペテン的に盛り込まれた。だが3年で必ず雇い止めになる制度をつくっておいて、何が「雇用の安定」だ!
 1987年の国鉄分割・民営化と機を同じくして、85年に労働者派遣法が成立した。13業務に限って始まった労働者派遣は、何度も改悪され2004年には製造業への派遣も1年を上限にして可能になった。そして今回の改悪で、製造業も含めて全業務で派遣先の企業の雇用期間の上限を3年とした。すでに多くの派遣労働者に雇い止めが通告されている。
 残業代ゼロ(ホワイトカラーエグゼンプション)法案の今国会での成立は断念したが、次の国会で必ず通すというのが安倍と資本家たちの狙いだ。9月11日に成立させた改悪派遣法を安倍は9月30日に施行する。それほど安倍は焦っている。
 2012年の民主党政権時に、3年間を超える派遣などの違法行為を派遣先の企業が行っている場合、派遣先が派遣労働者を直接雇用しなければならないという「労働契約申し込みみなし制度」という規定がつくられ、今年の10月1日から施行されようとしていた。

正社員の解雇・賃下げも推進

 安倍が10月1日前の施行にこだわったのは、この「みなし制度」を適用させないためだ。正規労働者を1人たりとも増やさず総非正規職化するという、強固な資本家階級の意思が表れている。
 重要なことは、この改悪派遣法は120万人いるといわれる派遣労働者に限った攻撃ではないということだ。
 法律が成立した翌日の9月12日付日経新聞で、経団連と一体の御用学者である八代尚宏がコメントを出している。
 そこでは、「ここからは正社員でも派遣社員でも、同じ仕事で同じ賃金を受け取れる『同一労働同一賃金』を実現することが大切だ。そのためには年功序列賃金や解雇規制など正社員を過剰に守る仕組みを見直すべきだ」と総非正規職化の意図をむき出しにし、「派遣法を巡る論争は既得権を守る正社員と、弱い非正規の『労労対立』だ」と、労働者に分断を持ち込んでいる。
 すでに全社会的に業務の外注化とそれに伴う労働者の出向・転籍の攻撃が進んでいる。職場は親会社と下請け、正規と非正規に分断され協働性が破壊される。JRに示されるように、それは安全崩壊による大事故の続発をもたらす。低賃金・無権利の労働を強いられる非正規職労働者は結婚や出産、育児ができず、生活そのものが成り立たなくなっている。
 改悪労働者派遣法による総非正規職化の攻撃は生産年齢人口と総人口の減少をさらに極限的に促進し、このブルジョア社会自体を破滅させるものでもあるのだ。
 今や派遣労働者を含めた非正規職労働者の問題は、正規職労働者自身が真正面から取り組むべき課題だ。

非正規労働者は革命の主体

 現に動労千葉は外注化と徹底的に闘いぬくことで、外注先の非正規労働者との団結をつくり出している。動労連帯高崎は9月12日、JRと外注先の労働者が固く団結してともにストライキを打ちぬいた。動労総連合を全国につくり出し、外注化・非正規職化と対決する闘いは、大恐慌と新自由主義の破産のもとで全労働者が団結し、スクラムを組んでゼネストとプロレタリア革命を切り開く闘いである。
 『前進』夏季特別号で提起されているように、非正規職労働者は誇り高い革命の主体だ。
 「非正規職労働者には労働者階級自己解放への根源的な欲求があふれ、人間が人間として生きるための労働を奪い返し、団結する力がある。非正規職労働者こそ、闘う労働組合をつくり、新自由主義を打倒する階級的共同性をうち立てることができる。ストライキに立ち上がり、民主労総のようにゼネストを実現する先頭に立つことができるのである」「それは全産別で、非正規職労働者を組織する階級の指導部、ゼネスト指導部をつくり出すことでもある」
 改悪派遣法を断じて許さず、安倍政権を打倒し、ゼネストとプロレタリア革命へ突き進もう。
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