福島県民健康調査 小児甲状腺がん138人に 「事故の影響ない」の主張許すな
福島県民健康調査
小児甲状腺がん138人に
「事故の影響ない」の主張許すな
1巡目A判定の23人が発症
8月31日に開催された福島県の県民健康調査検討委員会において、甲状腺検査により甲状腺がん及び疑いと判定された子どもが138人にのぼると発表された。
今回公表されたのは今年6月末までのデータで、2013年3月までの「先行検査」で甲状腺がん・疑いと診断された子どもが113人。14~15年にかけて行われている2巡目の「本格検査」でがん・疑いと判断された子どもが25人だ。
これほど早いスピードで小児甲状腺がんが急増していること自身、実に恐ろしい、そしてけっして許せないことだ。
さらに、本格検査でがんと判定された25人のうち10人は先行検査でA1判定(結節やのう胞を認めなかった場合)、13人がA2判定(5㍉以下の結節や20㍉以下ののう胞を認めた場合)だったことも重大だ。
A1、A2判定の子どもは「2年後の検査まで経過観察」とされ、2年間は検査もなく放置される。この間に甲状腺がんを発症しているのだ。A1、A2判定であっても、2年も間を置かず、もっと密にていねいな検査を行わなければならないことがはっきりした。
転移が多発していることも明らかとなった。
96人中88人に転移見つかる
同会合に福島県立医大教授の鈴木眞一が「手術の適応症例について」という文書を提出した。今年3月末までに甲状腺摘出手術を行った104例のうち、福島県立医大が手術を実施したのは97例。うち術後に良性と判明した1例を除く96例の症例をまとめたものだ。
それによれば全症例96例のうち、術後病理診断でリンパ節転移は72例(74%)、甲状腺外浸潤があったのは38例(39%)にのぼり、リンパ節転移や甲状腺外浸潤、遠隔転移のないものは8例だけだった。
これほどの事態が明らかになっても、検討委員会座長の星北斗(県医師会副会長)は「(これまでの傾向などから)現時点では福島で見つかった甲状腺がんは原発事故の影響とは考えにくい」と言い放った。
政府や県当局、それにつらなる御用学者らは「甲状腺がんは予後のいいがん」とか、「過剰診断の結果、多く見つかっている」と言い続けている。しかしこれほど深刻ながんの急増と転移の多発が3・11原発事故による被曝の結果であることはあまりに明らかだ。
福島県外でも子どもたちの健康被害が次々と明らかになっている。
北茨城市でも3人ががんに
茨城県の北端、福島県に隣接する北茨城市が8月25日、14年度に実施した甲状腺の超音波検査で3人が甲状腺がんと診断されたと発表した。3・11事故当時0~18歳だった市民が対象で、3593人が受診した。約1197人に1人というとんでもない高率で甲状腺がんが発見されたのだ。
ほかにも栃木県日光市の甲状腺検査でC判定(甲状腺の状態等から判断してただちに2次検査を要する場合)が4人、千葉県松戸市でもC判定が1人など、県外でも健康被害が広がっていることがわかっている。
政府・環境省は福島県外の子どもの甲状腺検査は実施しないことを決めているが、放射線には県境などない。福島県以外の子どもたちも、ただちに甲状腺検査を実施しなければならないのだ。
診療所を全国で支えよう!
3・11から4年半、子どもたちを放射能から守るための活動がますます大切になっている。「避難・保養・医療」の原則を貫くふくしま共同診療所の活動を支え、全国各地で保養活動を広げよう。被曝労働と対決する労働組合を全国につくり出そう。川内原発1号機に続く再稼働を狙う安倍政権を打ち倒そう。
(里中亜樹)
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