「朝鮮有事」と戦争法 日米が大規模な上陸訓練 「5015」は全面戦争の計画だ
週刊『前進』08頁(2697号04面03)(2015/09/14)
「朝鮮有事」と戦争法
日米が大規模な上陸訓練
「5015」は全面戦争の計画だ
(写真 「敵地上陸」に向けた米軍・自衛隊の連携を確認【9月2日 米カリフォルニア州】)
戦争止める力は労働組合に
国会前を始め全国で戦争法案絶対阻止の行動が連日闘われる中、9月8日に告示された自民党総裁選は、対立候補の動きを圧殺して安倍の無投票再選となった。「中国ショック」を引き金とする世界大恐慌の激化の中で、危機を深める極右・安倍政権のもと戦争法を強行して戦争へ突き進む以外に、日本帝国主義とその支配階級が生き残る道は残されていないということだ。これを受けて自民・公明は幹事長会談を行い、15日の中央公聴会の開催、16日の特別委と17日の本会議での採決に向けて調整を開始した。だがNNNが4日〜6日に行った世論調査では、安保関連法制の今国会成立に対し「よいと思わない」との回答が前月より7・8㌽も急増して65・6%に達し、「よいと思う」24・5%を2・7倍も上回った。安倍が強行採決の暴挙に踏み切るなら、労働者階級人民の怒りは本質的にゼネスト―革命までやむことのない永続的な闘いとなって爆発することは不可避だ。
戦争を本当に止める力は、議会内での駆け引きや「野党共闘」などにあるのではなく、労働者階級が労働組合のもとに団結し、戦争阻止・自国政府打倒のゼネストに立ち上がることにある。闘う労働組合が先頭に立って、今こそ戦争絶対反対の全人民的な怒りをゼネストへ転化しよう。
すでに安倍は「朝鮮半島有事」を視野に入れた具体的な戦争準備を着々と進めている。
8月31日から今月9日にかけて、自衛隊と米軍およそ4000人が参加する大規模な上陸訓練が米カリフォルニア州で行われた。自衛隊は陸海空総計1100人のかつてない大部隊が参加した。
訓練では、自衛隊が米軍に先んじて「敵地」に上陸し、攻撃目標を無線で米軍に知らせ、沖合からの艦砲射撃や空爆を誘導するといった、従来の自衛隊の任務体系には存在しなかったきわめて実戦的な内容が盛り込まれた。いわば自衛隊が米海兵隊に代わって「敵地上陸」の殴り込み部隊を担うということだ。
「離島奪還」は朝鮮半島上陸
表向きは「離島奪還」を名目としているが、この訓練が朝鮮半島への上陸作戦を想定していることは明らかだ。事実、訓練を取り仕切った米海軍第3艦隊司令官ノラ・タイソン中将は「南中国海だろうが、世界のどこだろうが、どんな課題にも対応できるよう日本や他の同盟国と体制を整えている」と記者会見で強調している。そのほか、9月に入ってから陸上自衛隊・饗庭野(あいばの)演習場(滋賀県高島市)での実弾射撃訓練が再開され、また同・日本原演習場(岡山県奈義町、津山市)で5年半ぶりとなる日米共同訓練が今月中に行われることとなった。
朝鮮半島では、南北の軍事的緊張が極限的に高まる中で、8月下旬に大規模な米韓合同軍事演習が強行され、特にその中で新たな全面戦争計画として作戦計画「5015」の作成が進められている(本紙第2695号参照)。安倍はこうした具体的な戦争準備と一体で戦争法の今国会成立を画策しているのだ。
中東参戦狙う安倍を許すな
さらに安倍の戦争法案は、現在ソマリア沖や南スーダンに派遣されている自衛隊を、ただちに実戦可能な戦闘部隊として中東での戦争に参戦できるようにするものだ。すでに防衛省はジブチの自衛隊基地を「中東有事」に対応できるよう強化することを打ち出した。中東では米帝と「有志連合」のイラク・シリア空爆が激化し、とりわけ7月から本格的に参戦したトルコ軍がクルド人の拠点地域を集中的に空爆したことで、膨大な難民がヨーロッパへ逃れる事態となっている。一切は米帝を始めとする帝国主義の中東侵略戦争とその破産・泥沼化が招いた事態だ。さらに英仏なども難民問題を口実にして空爆を激化させている。その中で日帝も本格的な参戦を狙っているのだ。
今こそ国境を超えた労働者階級の団結で戦争を止め、社会を根底から変革する闘いに立ち上がろう。戦争法阻止・安倍打倒の闘いを爆発させ、労働者階級の実力で戦争を止める巨大なゼネスト情勢を今秋決戦で切り開こう!
(水樹豊)