9月決戦で労働運動の新時代開き11月集会1万人大結集かちとろう 韓国・民主労総と連帯しゼネストへ 大原武史
週刊『前進』06頁(2696号02面01)(2015/09/07)
9月決戦で労働運動の新時代開き11月集会1万人大結集かちとろう
韓国・民主労総と連帯しゼネストへ
大原武史
はじめに
世界経済は、中国バブルの崩壊が明白になり、「恐慌の中の恐慌」から大恐慌の本格的爆発へさらに大破局の道をひた走っている。この大破局は、帝国主義が帝国主義であり、スターリン主義がスターリン主義である限り免れることはできず、世界戦争に転化していくのだ。その巨大な渦の中で、世界の資本家階級に対する労働者階級人民の生存をかけた闘いが非和解的に激化・発展している。世界大恐慌の本格的爆発がプロレタリア世界革命の情勢を引き寄せている。しかし、大恐慌が自動的にプロレタリア革命の勝利をもたらすわけではない。客観情勢に主体的条件の形成が重なることで、初めて革命は勝利できるのである。戦争・原発・非正規雇用をめぐる安倍政権と労働者階級人民の激突も非和解的に発展している。この労働者階級人民の闘いが自分たちを超えて進み、打倒されてしまう恐怖が、日本共産党スターリン主義とSEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)幹部らを突き動かし、国家権力・警察との一体化へと駆り立てている。この社会には非和解的な階級対立、階級闘争が存在し、日々激突している。その和解できないものを和解させようとするところに彼らの本質的な破産がある。非和解的関係は、労働者階級人民と、資本家階級及びその国家権力との本質的な対峙関係そのものなのだ。
7月国会決戦を、若き全学連を先頭に労働組合旗を林立させて闘いぬいたわが革命的勢力は、8・6広島―8・9長崎闘争、8・10―11川内原発再稼働阻止闘争、8・15「労働者市民のつどい」を通して組織的・路線的飛躍をかちとり、すべての体制内勢力を圧倒する前進を切り開いてきた。特に重要な勝利は、この激戦を闘いつつ、8月14日に障害者就労支援事業所「オープンスペース街(まち)」に対するデッチあげ逮捕・弾圧を完全黙秘・非転向の闘いで粉砕し、2人の女性労働者の奪還をかちとったことである。さらに8月26日、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会が都労委闘争で、亡くなった田口守組合員の解雇撤回を始めとする完全勝利をかちとった。
二つの攻防に党と労働組合の団結した闘いで勝利したことは重要だ。国会闘争を始めとする全国的政治闘争と一体で、資本との攻防の最前線である職場・キャンパスで一歩も引かずに闘い、勝利する――ここに客観情勢に対する主体的条件の形成の核心がある。
2010年代中期階級決戦は、「戦後70年」をめぐる決戦であると同時に、ロシア革命100年、『資本論』150年というマルクス主義とプロレタリア世界革命をめぐる歴史的決戦である。この大きさを踏まえ、9月決戦を突破口とする今秋決戦の核心的な重要課題を提起したい。
最高裁に不当労働行為を認定させた動労千葉
動労千葉のJR採用差別訴訟において、6月30日に最高裁は上告棄却の反動決定を出した。だが、最高裁は採用差別が明確な不当労働行為であったことを確定せざるを得なかった。これは、1985―86年の動労千葉の分割・民営化絶対反対のストライキの圧倒的正義を確定させた。不当解雇(採用差別)の違法性をひっくり返せなかった最高裁は、違法であっても解雇撤回の必要はないというところに反動を集中している。ここに安倍政権と国家権力による動労千葉解体の反動的な意思が貫かれている。だからこそ、この決定的勝利の意義の大きさをはっきりさせるべきである。
岸・水谷・岩本らの「スパイ本」に明白だが、党からの脱落者やスパイ分子が最も憎悪し攻撃を集中しているのが動労千葉とその闘いである。デマや反革命的な中傷を行い、労働組合と党の内部に対立と不信を持ち込むことが、権力とその手先のやり方なのだ。だからこそ不断の路線的一致の闘いと団結形成がきわめて重要なのである。
「街」弾圧粉砕や鈴コン闘争の勝利は、「動労千葉のように闘おう!」を合言葉にして闘った勝利である。この勝利は、国会闘争を最先頭で担う全学連の闘いとともに、6・30最高裁決定に対する根底的な反撃なのだ。
また動労水戸は、動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線を土台に「被曝労働拒否」の路線を確立し、猛然たるストライキを打ち抜いて闘ってきた。その迫力でJR資本と安倍政権を震え上がらせ、福島の人びとと結びつき、原発・除染労働者を獲得している。8・29いわき闘争は、その地平を実証した。8・23国鉄闘争集会で打ち立った動労総連合の新しい旗が、JRいわき運輸区抗議闘争の前面に立った。こうしたすべての闘いとその勝利が、6・30最高裁決定に込められた動労千葉解体攻撃の反動的意図を粉砕している。すべての闘いは、動労千葉組合員が闘い抜いてきた動労本部からの分離・独立(1979年)と国鉄分割・民営化反対の歴史的ストライキから始まっている。これをけっしてあいまいにしない揺るぎない党の団結こそ、現情勢に対する基軸的回答である。
大恐慌―戦後体制の破局をゼネスト・世界革命へ
中国ショックを引き金にして、世界経済は「恐慌の中の恐慌」から大恐慌の本格的爆発に向かっている。各国の財政破綻と経済危機は深刻化し、争闘戦の戦争への転化の情勢が音を立てて進行している。安倍と一体の基軸資本JRは、国鉄分割・民営化の破綻がさまざまな形で露呈し深刻化する中で全面外注化による資本増強を図り、「選択と集中」と称して都市部の巨大再開発と地方切り捨て、海外展開にのめり込んでいる。そして、労働者の協働性を解体する外注化によって、鉄道会社の生命線である安全を崩壊させ、連続的に重大事故を引き起こしている。原発と軍需産業の基軸資本である東芝も、その矛盾と反人民性を粉飾決算問題として爆発させ、深刻な危機に陥っている。これは個別資本の危機にとどまらず、日本帝国主義の存亡、国際争闘戦の敗退に直結する体制危機そのものである。中国・天津の8・12大爆発事故は、新自由主義政策の破綻であり、スターリン主義国家の根底的矛盾の爆発である。中国経済の落ち込みはこの間、中国市場と対中貿易に延命を託してきた米日欧など国際帝国主義に大打撃を与えている。
プロレタリア世界革命の圧殺の上に成立してきた戦後世界体制の加速度的な崩壊が再び革命情勢をもたらしている。だからこそ国家暴力によって治安弾圧と搾取の強化、戦争体制の構築が進められているのだ。
日本共産党やシールズの中心メンバーは警察権力と公然と手を組み、警察に「全学連と革共同を弾圧せよ」と哀願している。その階級的本質は、労働者階級人民の自己解放闘争の圧殺、プロレタリア革命の抑圧にある。彼らは、労働者階級が真に怒りを爆発させて資本主義の枠を突き破って決起する情勢の到来を心底恐怖している。スターリン主義反革命そのものだ。凶暴ではあるが、本質的には無力であり、労働者階級の闘いで必ず打ち破れる。
だから党は労働者階級人民の怒りの先頭に立ち、それを体現し、一切の反動と敵対を打ち破って前進しなければならない。その中に「新たな戦前」をめぐる攻防の核心があり、1930年代の国際階級闘争の血の敗北をのりこえる現実過程がある。この激闘の中で党への支持が根底的に広がり、1人また1人と、人生をかけた結集が生み出されていくのだ。すでにその過程が始まり、労働者階級の未来を担う青年、学生が続々と党に結集しつつある。
安倍は「美しい国」だの「国民を守る」だのと空虚な言葉を並べ、国家暴力で戦争と被曝を強制し、労働と生活を破壊している。非正規雇用が全労働者の38%、2千万人に達した。女性の非正規雇用は全女性労働者の57%を占める。貧困家庭の子どもが325万人に達している。子どもの6人に1人だ。「1%」のブルジョアや富裕層が高級品を満喫する一方、労働者階級の子どもたちには欠食が増加している。福島の原発事故避難者約10万人には賠償を打ち切って帰還を強制する攻撃が強められている。福島切り捨てだ。沖縄は「基地の島」「非正規雇用の島」であることを強制されている。いったいこのどこが「美しい国」であり、「国民の命と暮らしが守られている」というのか! 絶対に許せない。
われわれは戦争法案に対して絶対反対で闘う。絶対反対闘争は、ブルジョア国会での「法」の成立強行などで決まるのではなく、労働者階級の団結した闘争において貫かれるのだ。実際、国鉄分割・民営化の根拠法である「国鉄改革法」は、動労千葉を軸とする国鉄労働者の不屈の闘いで打ち破られたではないか。安倍の「戦争法」は、成立前から違憲だと弾劾され、「国鉄改革法」ほどの説得力もない。こんなものに屈するのは民主主義でも何でもない。日本共産党は「国鉄改革法23条」に全面屈服し、職場から反撃することを一切放棄して解雇者を切り捨てた反革命党派であり、労働者の敵、裏切り者である。そういう党が、不屈に闘い抜いてきたわれわれを「過激派」とか「挑発者」などと非難し攻撃している。このような卑劣な党を労働者階級人民が信頼するはずがない。
11年3・11大震災と原発事故が呼び覚ましたものは、労働者階級人民の深い悲しみ、怒りとともに「戦争の記憶」である。虚偽など一切通用しない根源的な怒りによって、人びとは体制内勢力から急速に離反している。そして、信頼できる勢力と生命力を解き放つ闘いの場を求めて流動化している。ここに情勢の核心がある。われわれは共産主義者として、戦争・被曝・貧困に対する労働者階級人民の深い怒りを満身で受け止め、他者と自己に対する誠実さを貫き、労働者階級人民の希望と団結の要になる秋(とき)を迎えている。韓国・民主労総ゼネストと連帯し、階級的労働運動が切り開いた国際連帯闘争を思い切って発展させよう。
1千万人組織化に向け党と労組の一体建設を
1千万人と結びつく党の組織化方針は、この時代の本質をダイナミックにとらえる方針である。狭いセクト的対抗でも、空論でもない。労働者大衆自身がそれを絶対に必要とし、実現できると確信するならば必ず実現できる目標、方針である。「革命は革命家の執念に宿る」という言葉は、そう思い込むことが重要だとだけ理解されがちだ。しかしこの言葉には、マルクス主義の革命的な核心が貫かれている。
人間労働と革命の定立
人間は労働なくして一日も生きられない。人間は、自分の労働だけでなく他者の労働を不可欠の前提としてのみ生きられる存在である。自らの成長の過程はもとより、衣食住から労働自体に至るまで、他者の労働なしには成立しない。だからこそ人間は労働を通して社会を形成し、歴史をつくってきた。労働を「資本のための賃金労働」に狭めず普遍性においてとらえるとき、人間が労働を通じて社会的共同性を結び、同時に自己をつくり上げてきたことが明確になる。人間は、労働において目的を立てて自然に働きかけ、生産活動を行う。ここに他の生物との根本的違いがある。いったん頭の中で立てた目的を、労働を通じて生産物として実現する。自己の外の自然に対し、自分自身と生産手段を合目的に統御する強い意志――ここに労働を通して社会を成し、歴史と自己を形成してきた人間の特質があるのだ。この人間的特質は、特に危機の時代には人間の本質や生きる目的を根本から問い直すところに現れる。そこで現在を一度抜け出し、昔の歴史的教訓や遠い将来のあるべき姿から現在をとらえ返し、今成すべきことの再定立が図られるのである。
マルクスは、こうして立てられる自由な目的定立と自由への願望が自由への最初の行動なのだと言う。そして、「決断」という勇気と英知を人間に迫る困難を自分に突きつけることが、人間が人間であるための最低の条件だとしている。さらに諸個人の立てた目的と結果の背離を克服する過程を通して、一層自由な目的定立ができるようになると言っている。つまり、革命の定立と実現は、人間の強靱(きょうじん)な意志と執念において始まるのである。
人間を人間たらしめる社会的労働を商品化して資本に従属させる資本主義的生産は、一方で帝国主義段階での過剰資本・過剰生産力を不可避とすると同時に、〈人間的共同性の奪還〉という根源的欲求を不可避的に生み出す。労働力の商品化による資本主義社会の再生産構造は、「カネこそすべて」という、金銭による人間の支配を社会の隅々に貫く。だから、労働者が人間的欲求に基づき行動することに対しては、社会的に重圧がかけられる。
労働組合は革命の学校
党と労働組合の基本的役割は、こうした社会的な全重圧の一つひとつを、団結すなわち人間的共同性において打ち破り、深い喜びに満ちた過程に転化していくことにある。プロレタリア革命戦略として党と労働組合の一体的建設は、この人間的本質において意識的に展開することを通して全体をとらえていく。困難を自分に突きつける勇気ある決断、最大の英知、目的と結果の背離を見据える強靱さ――そのすべての基本的要素が労働組合の実践において問われる。だからこそ、労働組合は「革命の学校」と言われるのだ。人間性を疎外されている労働者が具体的に集い闘う拠点とは、人間的共同性奪還の現実的拠点である。「街」弾圧との闘いは、あらためてこのことをはっきりさせた。労働者を支配や救済の対象とする既成労働運動が曇らせてきた一人ひとりの労働者の決定的存在性。新たな労働者の結集が資本主義社会の現実認識を深め、同時に人間的つながりを拡大する。1人の労働者の決起がこの社会に対する現実的批判そのものなのである。まして闘う労働組合への結集は自らに困難を課する決断を伴う。だからこそ人びとの胸を打ち、さらなる結集を生み出す。
指導部建設の核心問題
こうしたことの確認は、党と労働組合の指導部に、労働者に対する見方、労働者観の根本的転換を迫る。資本主義やスターリン主義の打倒、プチブル反動勢力の打倒という課題は、労働者階級自身の自己解放的行為によって貫徹される。だから、党と労働組合の指導部を特別な位置に置いてはいけない。党は、労働者が2人といないかけがえのない自己として自らを打ち立て生き生きと自分を語り、資本主義社会の墓掘り人として自己変革し飛躍していく過程をともに進むのだ。ここに党と階級の指導部建設の核心がある。職場・国会で闘い各地で国鉄集会成功させよう
戦争法案の強行成立をめぐる闘いは、空前の規模でますます燃え上がっている。必要なことは、党が労働者階級人民の深い怒りの先頭に立つとともに、断固とした勝利の路線を提起することだ。わが党には、半世紀の死闘を通して打ち立ててきた国鉄闘争を基軸とする階級的労働運動路線がある。国鉄闘争を基軸に、労働者階級と全人民のゼネストを訴え実現していくことはまったく可能である。国会前も職場も、まさに堤防決壊情勢である。9月決戦は、戦争法案阻止と常磐線全線開通による帰還・被曝の強制阻止、そして外注化阻止が完全に一体の決戦になる。戦争・被曝・非正規雇用をめぐる決戦を、動労千葉・動労水戸そして動労総連合決戦として闘おう。国会と職場最前線の闘いを、国鉄決戦を基軸に階級的労働運動路線の真価をかけて闘おう。
動労千葉は、CTS(千葉鉄道サービス)の組合員をその戦列に加え、歴史的な外注化阻止と拠点職場廃止攻撃粉砕の闘いに立ち上がる。動労水戸の常磐線をめぐる闘争に、JR東日本本社は震え上がり、団体交渉すら開けない。その中で「いわき合同ユニオン」を結集軸として、原発労働者の本格的組織化に突入する。動労千葉・動労水戸の根底的闘いを軸に、動労総連合が西日本、関東、東北そして東京に打ち立つこと自体が巨大なインパクトになり、ゼネスト情勢を切り開く。動労総連合の旗を職場と国会、すべての闘いの最前線に打ち立てよう! 9〜10月の各地の国鉄集会の成功をかちとり、全党の団結で11・1労働者集会に1万人を優に超える大結集を実現しよう!