朝鮮半島で核戦争狙う米日帝 民主労総と連帯し絶対阻止を

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週刊『前進』06頁(2695号05面01)(2015/08/31)


朝鮮半島で核戦争狙う米日帝
 民主労総と連帯し絶対阻止を

戦争をあおる米韓合同演習

 8月25日未明、韓国と北朝鮮の高官会談が終了し、北朝鮮側が「準戦時状態」を解除すると同時に韓国側が拡声機による北朝鮮向け「宣伝放送」を中断することで合意した。22日から続いた「マラソン会談」には、韓国からキムグァンジン大統領府国家安保室長とホンヨンピョ統一相が、北朝鮮からファンビョンソ軍総政治局長とキムヤンゴン朝鮮労働党統一戦線部長が出席し、異例の「2プラス2」協議が連日、夜を徹して行われた。
 極度に高まっていた南北の緊張が本格的な戦争へと発展することは、ひとまず回避された。だが今回の事態は、日米韓軍事同盟による戦争策動とこれに対する北朝鮮の絶望的な対抗が、今や朝鮮半島で恐るべき大戦争を引き起こしつつあることをまざまざと示した。
 韓国パククネ政権は今月4日、軍事境界線上で地雷が爆発し韓国軍兵士2人が負傷したのを受けて、これを北朝鮮の仕業と断定し、拡声機による北朝鮮への宣伝放送を11年ぶりに再開した。これに対し北朝鮮は、地雷爆発への関与を否定し、韓国が拡声機放送を続けるなら軍事行動をとるとして、「準戦時状態」を宣言した。
 パククネ政権はこの緊張下で挑発的な宣伝放送を続けつつ、17日から米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」を強行した。米軍3万人、韓国軍5万人、さらに韓国の公務員労働者40万人を動員した世界最大規模の軍事演習であり、「正規戦に備えた演習作戦計画と戦時危機管理措置の熟達」を目的とした文字通りの「戦争演習」だ。
 そして20日、韓国軍参謀本部は、北朝鮮が韓国の京畿道(キョンギド)ヨンチョン郡を砲撃したため韓国軍がこれに応戦し、全軍が最高レベルの警戒態勢に入ったと発表した。24日、韓国国防省は記者会見で「米軍の戦略資産の展開時期を検討している」などと述べ、核兵器搭載可能な米軍B52戦略爆撃機の出動をほのめかした。
 後述するように、米韓両軍は核兵器による北朝鮮への先制攻撃を含んだ作戦計画をすでに作成しており、これに対応して日帝・安倍が今国会で成立を狙う戦争法案は「核兵器の輸送も法文上は可能」(防衛大臣・中谷元の答弁)というものだ。この核戦争策動を絶対に許してはならない。

民主労総などが抗議の声明

 こうした中で、韓国では民主労総や韓国労総を含む労働・社会団体など32団体が17日、「戦争の危機を高める米韓合同軍事演習の即時中止」を求める記者会見を行い、声明を発表してパククネ政権に抗議した。
 声明は、今回の軍事演習が「全面戦争計画である作戦計画5027、非常事態対応計画である作戦計画5029、状況に応じた抑止戦略、局地挑発対応計画」などの作戦計画を統合した「新たな作戦計画5015を完成する」ためのものであると指摘している。中でも「状況に応じた抑止戦略」とは、北朝鮮からの「攻撃兆候」が見えただけで米韓が核攻撃を含む先制攻撃に踏み切るもので、「戦争を抑制するのでなく、逆に衝突の危機を実質的な戦争へ拡大させうる危険千万な戦略である」と弾劾している。さらに「局地挑発対応計画」とは、「局地的衝突を全面的に拡大させる無謀で挑発的な計画」であり、総じてこうした内容をもつ軍事演習が大々的に進められるならば「衝突の可能性が現実のものとなることは自明である」と警告している。
 さらに声明は、日本の自衛隊による集団的自衛権行使についても言及し、今回の演習が「韓米日三角軍事同盟の構築のための訓練」であることを指摘している。
 今、民主労総はこうしたすさまじい戦争情勢の真っただ中で、排外主義をあおり戦争挑発を続けるパククネ政権と真っ向対決して11月ゼネストを準備している。8月15日の全国労働者大会には1万人の組合員が結集し、「韓米日軍事同盟反対!」の声を上げた。(本紙前号で既報)

労組を先頭に戦争法阻止へ

 「北朝鮮と韓国の間で数日間緊迫状況が続いている。安保法案が成立することで国民の平和な暮らしを守れる」――官房長官・菅義偉は22日、青森県弘前市での講演でこのように強調し、朝鮮半島の戦争危機を格好の口実として、安保法案の今国会成立を強行する意図をあらわにした。
 また安倍も、この間の国会答弁で「北朝鮮が潜水艇で日本に工作員を派遣し、首都でテロを行うことも考え得る」などと虚構を並べたて、たとえミサイル発射などの兆候がなくても、北朝鮮の港から潜水艇が動いた時点で「存立危機事態」と認定できると露骨な先制攻撃論を展開している。
 支持率の急落、国会審議の度重なる紛糾、中国ショックに伴う株価の大暴落、そして何より労働者人民の怒りと闘いに追いつめられた安倍政権は、中国脅威論や朝鮮半島情勢の緊迫を最大限に利用して排外主義・国防意識をあおり、危機を突破しようと必死になっているのだ。
 だが、ウソとペテンの安倍政治はもはや通用しなくなり、次々とボロを出し始めている。26日の参院特別委で防衛大臣・中谷は、自衛隊が米艦防護を行う基準について、「総合的に判断する。邦人が輸送されているかどうかは判断要素の一つだが絶対的なものではない」と述べた。米艦防護はあくまで日本人保護が目的だとしていた従来の政府答弁を覆した。
 そもそも戦時において軍艦が民間人を乗せて避難させるなど現実にはありえない。ところが安倍は、集団的自衛権行使の事例として、朝鮮半島有事の際に米艦が日本人を乗せて輸送するケースを「子どもを抱いた母親」のイラストを用いて例示し、「日本人を乗せた米艦を防護できなくていいのか」などと再三強調してきた。だがこんな主張は〝情感〟に訴えて人びとをあざむくための悪質な印象操作にすぎないことが、中谷の答弁ではしなくも暴露されたのだ。
 今や安倍打倒情勢は煮詰まった。闘う労働組合が先頭に立ち、戦争法阻止の9月決戦を爆発させよう。ゼネストへ進む民主労総と固く連帯し、朝鮮侵略戦争を絶対に阻止しよう!
(水樹豊)
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