トラブル発生 噴火のおそれ 川内原発をただちに止めろ! 稼働10日で細管が損傷 直近50㌔の桜島で火山活発化

週刊『前進』06頁(2695号04面01)(2015/08/31)


トラブル発生 噴火のおそれ 川内原発をただちに止めろ!
 稼働10日で細管が損傷
 直近50㌔の桜島で火山活発化

 8月10〜11日を頂点にした闘いに敵対して11日に再稼働が強行された九州電力・川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)は、たちまち20日にトラブルを起こした。建設後31年以上たち、4年以上運転できずにいた老朽原発を再稼働させること自体が危険極まりないのだ。原発労働者を先頭に全労働者・人民の怒りで川内原発をストップさせよう。 

31年超の老朽原発の危険認めず規制委が適合決定

 2011年の福島第一原発事故の衝撃から日本の労働者階級人民が学んだことは、原子力発電なるものが原爆と一体のものであり、「核と人類は相いれない」ということである。私たちは、福島の怒りから学び全原発廃炉をかちとることを誓ったのだ。
 川内原発1号機の再稼働は2013年9月に関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が労働者階級人民の怒りの前に停止して以来、約2年間、1基の原発も再稼働できなかった力関係を安倍政権が転覆しようとしかけたでたらめ極まりないものだ。
 原子力規制委員会は福島第一原発事故の原因究明もなされない中で「新規制基準」なるものを策定し、川内原発1、2号機を突破口に、関西電力高浜3、4号機(福井県高浜町)、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を次々に新規制基準に「適合していると認められる」としてきた。だが、それ自体が空論である「避難計画」は規制委を含めてどの機関もチェックしない。誰も事故に対する責任を取らない新自由主義の極致とも言える暴挙だ。
 再稼働強行過程でもさまざまな問題が噴出してきた。
 川内原発1号機は1984年7月4日に営業運転を開始した、すでに31年を超える老朽原発だ。原子炉等規制法は、原発を30年以上運転する場合、電力会社が保守管理方針を策定し、規制委がこれを認可することを義務づけている。だが九電の書類提出が遅れたことで、認可が大幅に遅れていた。にもかかわらず規制委は「新規制基準に適合している」として認可した。これ自体でたらめだが、規制委が30年超の保守管理方針を認めたのは再稼働が6日後に迫った8月5日なのだ。
 しかも再稼働準備過程の7日に冷却水ポンプ軸の振動に異常値が出て、今回の復水器トラブルと同様のレベル2の事態になった。さらには規制委が6月に実施した保安検査で、過酷事故時に使用する発電機などの点検方法が不十分だと指摘していたことが判明するなど、ずさんなやり方が頻発していた。その揚げ句の果てに今回の復水器の事故が起きたのだ。

復水器細管のもろさ露呈 2次冷却水に海水が混入

 今回の事故は以下のように報道されている。
 8月20日午後2時過ぎ「復水器」と呼ばれる装置を流れる水の成分の異常を知らせる警報が鳴った。九電は復水器内の蒸気から戻した水に海水の塩分が混じった可能性が高いと判断。調査の結果、24日に復水器の中の細管(直径25㍉)5本が損傷し、細管内を流れる海水が外側の2次冷却水に混入していたと発表した。そして5本の細管を含め計69本の細管(全部で7万8千本以上あるうちの約0・5%)に栓をして海水が入らないようにし、復水器を復旧した。九電はこれにより遅れてもフル出力運転は可能だと主張している。
 原発は原子炉で発生した蒸気でタービンを回して発電する。この、使い終わった蒸気を冷やして水に戻し(復水)再利用するための装置が復水器である。見方を変えれば原子炉の冷却器であり、車のエンジンを冷やすためのラジエーター(放熱器)のようなものだ。
 原子炉から蒸気として出る膨大な熱を一気に冷やすために復水器の中には8万本近い細管が通っていて、その中を秒速2㍍もの高速で海水が流れている。そして細管は熱を伝えやすくするため厚さが0・5〜1・2㍉メートルしかない。復水器から出てきた海水は最大7度も暖められた「温排水」となり、原発の排水溝から流れ出ていく。
 数万本の薄い細管の中を高速の海水が流れることから、復水器は原発の弱点の一つだと言われている。海水にはムール貝やフジツボなどの幼生や細菌が含まれている。フィルターでこすようにしていても取り切れない貝の幼生や細菌が細管内に付着して繁殖し、それが高速の水流を変えることで細管が削られ、穴が開く事故が絶えない。明らかになっているだけでも50件以上のトラブルがあったとされている。
 九電でも1998年に玄海原発1号機で復水器細管の漏洩(ろうえい)や、2011年、同4号機で復水器の異常検知などの事故が起きている。川内原発でも、復水器ではないが蒸気発生器で細管の損傷が過去3度起きている。
 川内原発1号機は老朽原発であり、2011年5月から4年以上も停止している。プラントは使わなければ劣化していくのは常識である。川内原発1号機を稼働させ続けるのは危険極まりない。直ちに停止させなければならないのだ。

巨大カルデラ五つが集中福島事故を繰り返すな!

 5月29日に鹿児島県屋久島町口永良部(くちのえらぶ)島で爆発的な噴火が起き、島にいた住民ら137人は島外に全員避難した。さらに8月15日には、気象庁が鹿児島市の桜島で大規模な噴火が発生する可能性が非常に高くなったとして、噴火警戒レベルを、上から2番目に高い「4」(避難準備)へ引き上げた。日本全国がそうだが、とりわけ九州南部で火山活動が活発化している。
 日本は火山列島だが、とりわけ九州には世界的に見ても巨大なカルデラが五つも集中している(図参照)。カルデラとは、火山から膨大なマグマが噴き出ることでできた巨大な空洞が陥没することで形成される大きな凹地のことである。「大鍋」という意味のスペイン語に由来する。
 日本では、数十立方㌔メートル以上のマグマを噴出するカルデラ噴火は6千年に1回程度起こっている。一度カルデラ噴火が起こると、その周囲100〜200㌔メートルの範囲は数百度の高温の火砕流に襲われ、壊滅状態となる。7300年前の鬼界カルデラの噴火はすさまじく、火砕流が流れた距離は80㌔近くに達した。その時の火山灰が南九州に1㍍も積もり南九州の縄文文化は壊滅したと言われている。
 多くの火山学者は噴火予知は不可能だと言っている。桜島を抱える姶良(あいら)カルデラから川内原発までは直線距離でわずか50㌔メートルしかない。仮にカルデラ噴火に至らなくても巨大噴火で火山灰が数十㌢メートルも積もれば送電線が漏電を起こして停電し、発電機もフィルターが目詰まりして使えなくなり、交通も遮断される。そうなると福島第一原発と同様の全電源喪失の危機が切迫する。このような火山直近の場所に原発を立地するという発想自体がでたらめだ。
 しかし規制委では火山の専門家を入れないで「巨大噴火を予知できる。さらに予知してから噴火までに核燃料を搬出する十分な時間がある」などと言っているのだ。断じて許せない。
 原発労働者の決起をかちとり、川内原発を直ちに停止させよう。
(城之崎進)

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高浜原発の再稼働許すな! 労働者の力で原発を廃炉に!
9・13集会in舞鶴
 9月13日(日)午後1時開場 1時30分開始
 集会後デモ
 舞鶴市総合文化会館(東コミセン)小ホール(舞鶴市字浜2021)
 呼びかけ/9・13集会実行委員会

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