ローカル線を切り捨て 動労総連合建設で反撃を

週刊『前進』06頁(2694号02面03)(2015/08/24)


ローカル線を切り捨て
 動労総連合建設で反撃を


 国鉄分割・民営化を突破口に始まった新自由主義の攻撃は、地方をとことん衰退させた。それを逆手にとり、さらなる地方破壊に乗り出しているのがJRだ。JR東日本会長の清野智は今年1月、社内報のインタビューで「昨年は、都市消滅や人口減少問題で国民的議論ができるようになった画期的な年だった」と言った。そして3月ダイヤ改定で、北陸新幹線開業に伴う並行在来線の第三セクター化や千葉支社管内での特急廃止など、ローカル線切り捨てに本格的に踏み込んできた。
 これは国家政策のもとで強行されている。増田寛也元総務相を中心とする日本創成会議が昨年5月、896自治体が消滅するというレポートを出して以降、安倍政権は「選択と集中」を呼号して地方の切り捨てに公然とかじを切った。
 これを最も露骨な形で実行しているのがJR北海道だ。

北海道で6割超の線区廃止

 「JR北海道再生推進会議」は6月26日、ローカル線放棄をあからさまに唱える提言をJR北海道に出した。同提言は、国鉄分割・民営化に際して赤字ローカル線廃止の基準とされた「輸送密度2千人未満」を今のJR北海道に当てはめれば、全線区の6割以上がそれに該当するという。輸送密度とは、鉄道営業距離1㌔当たりの1日の平均乗客数のことだ。
 同提言は「鉄道特性を発揮できない線区の廃止」など「『選択と集中』に基づき事業運営を行う厳しい経営判断を自ら下していくことが求められ……聖域のない検討を行うことが必要」と言う。6割以上の線区を廃線にしろということだ。
 11年5月の石勝線トンネルでの列車火災事故で安全の大崩壊が突き出され、13年9月以降、線路の検査データの組織的改ざんが発覚したJR北海道は、14年6月に「(JR北海道の)再生に向けて、安全対策等の実行に関して監視し、助言を行う」としてJR北海道再生推進会議を設置した。そのメンバーには北海道知事の高橋はるみや日本郵船会長で経団連副会長の宮原耕治、北海道商工会議所連合会会頭の高向巌などが入っている。この会議は結局、ローカル線廃止のお墨付きをJRに与えるための機関に完全に変質した。
 JR北海道は赤字線の廃止を次々と実行に移している。8月10日、JR北海道は留萌(るもい)線の留萌―増毛(ましけ)間を16年秋に廃止すると沿線自治体に通告した。今年1月に高波の被害で不通となった日高線の鵡川(むかわ)―様似(さまに)間についても、工費は同社が負担できる限度を超えるとして、復旧を拒んでいる。
 来年3月予定の北海道新幹線開業に際しては、江差線の五稜郭―木古内(きこない)間が第三セクターの「道南いさりび鉄道」に移管される。さらにJR北海道は、数十の無人駅を廃止し、十数カ所の駅を無人化する方針を打ち出している。

被災地の鉄道復旧拒むJR

 JR東日本も7月24日、東日本大震災で津波の被害を受けた気仙沼(けせんぬま)線の柳津(やないづ)―気仙沼間と大船渡(おおふなと)線の気仙沼―盛(さかり)間について、鉄道での復旧はしないと正式に表明した。この区間は専用の道路を走るBRTと呼ばれるバス代行運転が行われているが、JRは鉄道での復旧を望む地元自治体の意向を公然と踏みにじったのだ。
 今年2月にJR東日本は、津波の被害で不通となった山田線の宮古―釜石間を放棄し、第三セクターの三陸鉄道に移管すると決めている。
 JR東日本は11年7月の豪雨で不通となった只見(ただみ)線の会津川口―只見間(福島県内)の復旧も意図的に怠っている。10年に土砂災害を受けた岩泉線(岩手県内)を、復旧せずにそのまま廃止した手法を繰り返そうとしているのだ。
 他方でJRは、膨大な費用をつぎ込んで常磐線の全線開通を強行している。福島第一原発事故をなかったことにし、福島の人びとに帰還を強いる安倍の攻撃を、最先頭で担っているのがJRだ。

常磐線の全線開通を許すな

 8月20日、JR水戸支社は、18年までに開通させるとしている常磐線の夜ノ森―双葉間について、空間線量は最大30㍃シーベルト毎時にも達すると自ら認めつつ、除染の効果を試験するための大規模工事に着手した。同区間にある震災で損壊した第一前田川橋梁(きょうりょう)の撤去工事も、6月末から始まっている。もはやこれは殺人行為だ。こうした攻撃に動労水戸は8・29いわき行動を突破口に全面的な反撃に立つ。
 動労千葉は3月ダイ改での特急廃止に対し、銚子と館山での集会を成功させ、地域の怒りの先頭に立った。地方破壊の攻撃に階級的労働組合が立ち向かえば、それは地域の生きるための団結の拠点になる。動労総連合を全国につくりローカル線切り捨てに反撃しよう。
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