「新捜査手法」法案阻止を 安保法制と一体の治安法 労働運動・革命運動の壊滅狙う

週刊『前進』06頁(2690号06面01)(2015/07/20)


「新捜査手法」法案阻止を
 安保法制と一体の治安法 労働運動・革命運動の壊滅狙う

(写真 現代の治安維持法と闘う会が労働者とともに衆院特別委での戦争法案採決強行を弾劾【15日 国会前】)

 衆院での戦争法案採決強行を徹底的に弾劾する。戦争と改憲に突き進む安倍政権に世代を超えた巨大な怒りが広範に巻き起こり、体制内勢力の制動を突き破って爆発している。ゼネスト情勢だ。安倍が戦争法案と一体で狙う戦時治安弾圧立法「新捜査手法」法案は現在、衆院法務委員会で録音・録画、司法取引に関する質疑が終わり、盗聴拡大を巡る審議の最中にある。安倍は今月中にも委員会で採決しようと狙っていたが、遅れに遅れた上、15日は国会を包囲した戦争法案採決強行への怒りに直撃されて、審議が吹っ飛んだ。戦争法制定を粉砕すれば「新捜査手法」もつぶせる。職場・キャンパスを拠点に国会闘争を闘い、委員会採決を阻止しよう。

「世界一安全な日本」に?!

 大恐慌と革命的情勢の急速な深まりの中で、安倍政権は一昨年12月の犯罪対策閣僚会議で「『世界一安全な日本』創造戦略」を打ち出した。20年東京五輪を口実に戦争遂行・革命圧殺を至上目的にした、労働者人民に対する全面階級戦争の宣言である。
 「世界一安全な日本」の創造だと? 安倍がやっていることはいったい何か? 職場で吹き荒れる外注化・総非正規職化、過労死強制攻撃、雇用と安全の崩壊。福島で多発する子どもたちの甲状腺がん、高線量地帯への「帰還」強制と切り捨て、そして原発再稼働と輸出の攻撃。戦争―核戦争のための戦争法案採決強行、改憲・徴兵制と核武装国家化の攻撃。どれもこれも「1%の資本家の利益のために99%の労働者は死ね」という攻撃ばかりだ。このどこが「安全」だというのか。
 脱落帝国主義・日帝は、全労働者人民の「命と生活」を破滅の危機に引きずり込んでも延命しようと、ブルジョア独裁国家の正体をむき出しにして戦争国家・戦時型治安弾圧体制づくりに突進している。これに対し、巨万労働者の怒りの決起が大爆発しつつある。
 動労千葉・動労水戸の外注化阻止、被曝労働拒否の闘いを最先頭にした階級的労働運動の前進は、韓国・アメリカなどの労働者との歴史的な国際連帯を発展させ、1千万労働者との結合を開始し、支配階級を追いつめている。
 「世界一安全な日本」の創造とは、青年労働者をはじめとした現場労働者、フクシマ・オキナワの怒りにますます包囲され、これまでどおりの労働者支配ができなくなっている日帝支配階級の絶望的悲鳴以外のなにものでもない。

生活・行動がガラス張り

 安倍政権の「創造戦略」は、「抗議行動の大規模化等に対応するため」「情報収集・分析機能の強化・高度化を図り、取り締まりを徹底する」と、反原発闘争・反戦闘争、労働運動・革命運動への破壊の意図をむき出しにしている。そのもとで、盗聴法拡大、さらに刑事免責、証人隠し、司法取引の導入を骨子とする「新たな捜査手法」法の制定をたくらんでいるのだ。
 労働者の団結を資本家階級は最も恐れ、その破壊に血眼になってきた。公安警察はこれまでも隠然と盗聴や尾行を行い、デッチあげ弾圧など許しがたい犯罪に手を染めてきた。今度の盗聴法(通信傍受法)大改悪は、立ち会いなしに警察施設で電話の盗聴、メールなどの盗み見を権力の意のままにできるようにするものだ。室内盗聴、GPS捜査、監視カメラ・Nシステムを通した監視、マイナンバー制度の運用などと一体で、労働者人民の生活と行動のガラス張り化を狙っている。
 司法取引は、所属組織・団体の内部情報を警察や検察に売れば、自分の問われている罪を軽くしてもらえるという凶悪きわまりない制度だ。これを衆院法務委員会の審議では、「証拠収集等への協力に関する合意制度」などとごまかし、組織の売り渡しと裏切りを強要する司法取引の正体を押し隠そうと躍起となっているのが安倍政権や法務省・警察官僚である。国家権力のスパイを潜入させ、わなをしかけ、一網打尽を狙う。その下手人は司法取引制度で放免されるというとんでもない仕組みだ。しかも、証人隠しで名前も住所も明かさず、法廷ではなく警察施設で証言できるというものだ。
 警察庁長官・金高雅仁は6月29日の記者会見で暴力団対策にかこつけて「組織のトップを死刑や無期懲役に」と叫び、そのために盗聴法拡大や司法取引の新捜査手法は有効と言い放った。新捜査手法導入の最大の狙いが革命党・労働組合をつぶし、階級的労働運動・革命運動を破壊することであることは明白だ。臨時国会での「共謀罪」制定策動とも連動した戦時治安弾圧攻撃を打ち砕こう。

団結で組織破壊うち破れ

 階級的労働運動の前進に恐怖する日帝国家権力はこの間、動労千葉鉄建公団訴訟での6・30上告棄却、7・1外注化を強行する一方、「詐欺罪」をデッチあげて東京北部ユニオン「街(まち)」分会や群馬での弾圧、スパイ分子を使った組織破壊攻撃をしかけてきた。だが完全黙秘・非転向の闘いと労働者階級の団結の力で打ち破り、6・7国鉄大集会や7・5改憲阻止闘争を大爆発させ、敵の狙いを粉砕した。
 国家権力の組織破壊攻撃は必ず粉砕できる。帝国主義支配への階級的怒りを団結に転化し、徹底討論による路線的一致と実践といった原則的な組織活動を推し進めることを通して、国家権力中枢のスパイ攻撃は暴き出せる。国家権力=警察権力とその手先どもは、自己解放と団結を求める労働者人民の熱情には絶対に勝てない。職場に根を張った非合法・非公然の労働者党をつくり出そう。
 労働者階級にこそ戦争を止め、戦後史に決着をつける力がある。動労総連合の建設を軸に階級的労働運動が世界革命を切り開く時が来た。第2次ゼネストに決起した韓国・民主労総との国際連帯をかけ、戦争法案阻止・安倍打倒の巨万の決起の中で、労働運動・革命運動破壊の「新捜査手法」を絶対に阻止しよう。
(石山修平)
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