桜井よしこ広島講演粉砕を 戦争と明文改憲への反革命運動
週刊『前進』06頁(2690号05面03)(2015/07/20)
桜井よしこ広島講演粉砕を
戦争と明文改憲への反革命運動
大恐慌の激化と労働者階級人民の安保法制絶対阻止の闘いによって日帝・安倍政権が重大な危機に陥る中、安倍の盟友であり極右ジャーナリストの桜井よしこが反動的に登場している。本紙では2回にわたり桜井を暴露・批判した。1回目は、桜井が8月6日に広島で予定する「反核平和、70年の失敗」と題する講演を弾劾し、2回目はUAゼンセンを先兵にした改憲と徴兵制に向けた労組再編の狙いを取り上げた。今号では3回目として、桜井の呼びかける「美しい憲法をつくる国民の会」の1000万人賛同運動を断罪する。安保法制阻止へ闘い、8・6広島闘争で桜井よしこの反革命講演をたたきつぶそう。
「美しい憲法をつくる国民の会」を設立
昨年10月、「美しい憲法をつくる国民の会」なる団体が設立された。この団体の共同代表の一人が桜井よしこだ。代表発起人には、葛西敬之(JR東海名誉会長)や「沖縄2紙をつぶせ」発言の百田尚樹(作家)などが名を連ねる。団体の運動目標は、2016年7月に実施される予定の参議院選挙で改憲国民投票を実現し、過半数の賛成で改憲を成立させることであるという。そのために、①1000万人の賛同者の拡大、②「憲法改正の早期実現を求める」国会議員署名と地方議会決議、③「県民の会」を設立し世論を喚起する運動を推進するとしている。明文改憲の実現のために支配階級が民間反革命運動を組織し始めたのだ。
この団体の実体は、「日本会議」という極右団体だ。そもそも安倍政権自身が、閣僚19人のうち15人を日本会議国会議員懇談会のメンバーが占める政権だ。その安倍政権は今年2月以来、来年の参院選後に改憲を発議し国民投票を行うという改憲スケジュールを打ち出している。「緊急事態条項」などの3項目で1度目の国民投票を行い、2度目で9条改憲に踏み込む戦略を鮮明にしている。日本会議の1000万人賛同運動は、これと歩調を合わせたものだ。 だが、日本の労働者階級人民はこんなものに屈する存在では断じてない。日本会議の1000万人賛同運動を労働者人民の怒りで爆砕しよう。
安倍を代弁し東中国海での資源戦争叫ぶ
安倍の支持率が急落する中、桜井は安倍の代弁者として国益・排外主義を声高に叫び、戦争・改憲に突進せよとわめいている。『産経新聞』7月6日付での「中国拠点 東シナ海でも」と題する桜井の寄稿では、朝鮮半島を始め東アジアでの侵略戦争突入を狙う安倍の本音を代弁している。桜井は、東中国海で中国のガス田開発と構造物建設が進んでいることについて、「中国がわが国の貴重な資源を奪」おうとしているとし、集団的自衛権行使は資源戦争のためであることを明らかにした。また、中国とは「相いれない価値観の壁がある」と対中国の戦争衝動をあらわにした。
さらに、「米国統合参謀本部が4年ぶりに『国家軍事戦略』を改訂し、国際法や国際秩序を覆す国としてロシア、イラン、北朝鮮に加えて中国を名指しした」ことを歓迎した上で、「オバマ大統領が決断しない」、米国の中国への「気兼ね」が目立つ、と米帝オバマに毒づき、それが「日本にとって戦後最大の危機」だとし「日本の国益を自ら守らなければならない」とわめいている。
これは、安倍の安保法制や改憲など「戦後レジームからの脱却」が日帝独自の侵略戦争態勢への突入を狙う、対米対抗的な本質をもつものであるという本音をむきだしにしている。
さらに桜井は、『週刊ダイヤモンド』5月30日付の自らが連載するコラムで、現行憲法は「日本を完全に無力化するという憎しみの政策とでもいいたくなるようなGHQの過酷な対日政策」によって与えられたものであると、戦勝国に強いられた戦後憲法への反発と憎悪をあらわにしている。
だが桜井は、憲法制定過程を根底で規定したのが1947年2・1ゼネストを組織するまでに攻め上った戦後革命だったことをまったく見すえることができていない。
戦後革命以来の力関係転覆狙う悪あがき
日帝は第2次世界大戦で日本人民310万人の命を奪い、アジア人民2千万人を虐殺した。「帝国の自存自衛」を掲げて行われたこの侵略戦争の階級的本質は、天皇を頂点とする1%の資本家と地主の利益のために99%の労働者・農民を殺し合わせる戦争だった。その責任を何一つとることなく戦後も生き延びたのが今日の安倍晋三にまで続く日帝支配階級だ。労働者階級は、敗戦直後から無数の労働組合を結成し、朝鮮・中国・アジアでの日帝支配からの解放・革命闘争と一体で、戦後革命に立ち上がった。この闘いが日帝を打倒寸前まで追いつめる中で、支配階級に戦後憲法を強制したのだ。この憲法は、帝国主義の国家が「自衛」などを口実に侵略戦争をする権利を認めておらず、内乱・革命を国家暴力で鎮圧する条項を持っていない。
以降、支配階級はこれに象徴された階級的力関係を転覆しようとしてきた。戦後70年を貫くものは、その野望を労働者階級人民の闘いが幾度も粉砕し破産させてきた歴史だ。
とりわけ、80年代の国鉄分割・民営化阻止闘争以来の国鉄闘争が敵の明文改憲の狙いを30年にわたり破綻させてきた。国鉄分割・民営化は、当時の首相・中曽根康弘自身が「国労をつぶし、総評をつぶして、立派な憲法を安置するために行った」と後に語ったように、労働運動を解体し改憲を実現することを究極目標としていた。動労千葉を先頭とする国鉄闘争の不屈の継続がその狙いを根底で粉砕してきた。
今日、資本主義・帝国主義が大恐慌と戦争を爆発させる中、日帝はいまだ9条の明文改憲ができず敗戦帝国主義の制約を突破できていない。安倍や桜井は、この階級的力関係を転覆しようとあがいている。
「戦後史の決着点」が到来した。労働者階級は戦後革命において未完に終わったゼネストと日帝打倒のプロレタリア革命を今度こそやり遂げ、戦後史に労働者階級の側から決着をつけよう。7・5大集会は、階級的労働運動と国際連帯で戦争・改憲を阻止するという歴史的な「東京宣言」を発した。ここに勝利の指針がある。戦争・改憲絶対阻止の1000万人署名運動をすべての職場・大学・街頭で展開しよう。8・6広島闘争で桜井よしこの講演をたたきつぶそう。
(芦原英信)