騒音問題で国を追及 三里塚第3誘導路裁判 〝成田空港に公共性なし〟
週刊『前進』08頁(2689号06面02)(2015/07/13)
騒音問題で国を追及
三里塚第3誘導路裁判
〝成田空港に公共性なし〟
7月7日、千葉地裁民事第3部(廣谷章雄裁判長)で第3誘導路裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、天神峰の市東孝雄さんを追い出すためだけに造られた第3誘導路への怒りを胸に、この日の闘いに臨んだ。
航空法をも無視した暴論を主張
航空法第39条には、「空港等の設置によって他人の利益を著しく害してはならない」と書かれている。成田空港、とりわけ第3誘導路が、地元住民の利益を著しく害していることは明白だ。ところが被告・国は、空港に「公共性」があり、それなりの補償金を払えば問題ないと臆面もなく言う。とんでもない暴論だ! 今回弁護団は、準備書面を陳述し、このインチキ「公共性」論を根底から批判した。成田空港の整備が「国際競争力強化だ、経済成長だ」と空叫びしても、航空需要は減り続け、成田は国際競争にも敗退し、羽田との競合にも敗れ、地盤沈下の一途をたどっている。対して、市東さんの有機農業は、人間の生活・生存の基盤に位置するものだ。この営農の存続を妨げる空港に公共性、公益性など何ひとつない。
また国は、騒音被害は「他人の利益の侵害」に含まれないと主張し始めた。そして反対同盟が行った成田空港周辺での騒音調査結果や、自衛隊機飛行差し止めを認めた第4次厚木基地爆音訴訟判決での被害認定基準にも難くせをつけてきた。
実際には、厚木の航空機騒音は北海道大学の松井利仁教授の測定・分析によって、WH0(世界保健機関)が定めた「欧州夜間騒音ガイドライン」をはるかに超え、広範な住民の健康に深刻な悪影響を与えたことが証明された。そして成田の夜間騒音の被害は「厚木の10倍以上」(松井教授)という深刻な現実が暴かれたのだ。
弁護団の追及に対して、十数人も頭数をそろえた国とNAA(成田空港会社)の代理人弁護士たちは沈黙を続けるのみ。弁護団は騒音問題でさらに追い詰めることを予告した。次回期日を10月1日として閉廷した。
沖縄、福島と連帯して7・15国会へ
千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に葉山岳夫弁護士が立ち、航空機騒音が高血圧、心筋梗塞(こうそく)などの健康障害をもたらすことを証明した松井教授の分析・報告を「衝撃的」と述べ、今後も騒音問題を一大焦点に闘うことを確認した。
さらに葉山弁護士は、6月30日に下された動労千葉に対するJR採用差別事件の最高裁上告棄却を弾劾した。「不当労働行為を認定しながら、解雇撤回・JR復帰を認めなかった反動決定だ。一方で安倍は戦争法制を進めている。だが、こうした群がる反動を打ち破ることで大きな展望が開ける」
さらに弁護団全員が発言し、人民の生活を侵害し破壊する国家、国策が掲げるインチキな「公共性」を断罪した。
動労千葉、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、「安倍自民党政権はぼろぼろだ。7・15国会闘争に総結集して闘おう」と熱く呼びかけた。
最後に伊藤さんが「国会とともに沖縄、福島でも国家権力との非和解的な闘いが進んでいる。この中で市東さんの闘いは決定的だ。三里塚は連帯しともに闘う」と述べ、集会を締めくくった。