つぶせ!桜井よしこ広島講演 安倍の改憲攻撃の旗を振り連合の産業報国会化を先導
つぶせ!桜井よしこ広島講演
安倍の改憲攻撃の旗を振り連合の産業報国会化を先導
8・6広島―8・9長崎闘争は、日帝・安倍の戦争法・改憲と労組破壊攻撃を打ち破る大闘争となった。なんと8月6日、桜井よしこは被爆70周年の広島で「反核平和70年の失敗」と題した講演集会を開催しようとしている。その副題は「憲法9条は中国軍拡も北の核兵器も止められなかった!」だ。さらに安保関連法案を「合憲」と強弁する数少ない憲法学者の百地章(ももち・あきら、日本大学教授)が「世界情勢は変わった、憲法9条が平和を脅かす」と題する講演を予定している。まさに広島・長崎の闘いに対する暴力的襲撃だ。絶対に許せない。労働者人民の怒りを爆発させて闘いぬこう。
「戦争する国」に向かって
7月闘争が戦後最大の決戦としてせり上がった。追いつめられた安倍が行き着いたのは、「戦争をする国」をつくるために労働運動を解体し、産業報国会化しなければならないということだ。
その危機感を最もよく表しているのが、桜井よしこが昨年11月3日付産経新聞に寄稿した「民間労組、官公労と決別を」と題する文章だ。
桜井は元ニュースキャスターだが、JR東海会長の葛西敬之同様、安倍の側近である。「官公労と決別を」とは、安倍や葛西ら権力中枢の意思を体現したものだ。
桜井は「日本が大きな曲がり角に立ついま、労働組合はどのような考えに立脚すべきか」と問い、「企業とともに働き、国益を忘れてはならない」とうたうゼンセン同盟(UAゼンセンの前身)のようになるべきだと言う。
ゼンセン同盟は06年第5回大会で、「他国またはテロによって国家の主権が侵され、国民を守れない事態にならないように国家権力は国家の安全保障体制を保持する義務があることも憲法に明記せよ」「現行憲法の改正を是とする方向を支持する」と見解を発表した。桜井はこれを「立派な内容だった」と持ち上げ、「改憲支持を明確にしたゼンセン同盟はいまUAゼンセンとなり、(連合内)最大勢力である」と強調している。
しかし、続けて「だが連合自体は憲法論議は継続するが改正は時期尚早という立場で、UAゼンセンの主張は置き去りにされたまま」「民間労組の主張が通らないのは原発問題も同様」だと言って民間労組は「何のために運動をしているのか」と現状を嘆いている。
さらに桜井は、「連合内の民間労組組合員は540万、自治労や日教組などの官公労は120万、9対2で民間労組が圧倒するにもかかわらず、連合は基本的に官公労に引っ張られている」「地方各地で反基地、憲法改正反対運動が展開され、地元の自治労や日教組が前面に立って旗を振る」「憲法改正を高らかに支持したUAゼンセンの理念は、連合、その地方組織、彼らが事実上の主軸となっている多くの組織で全否定されているのだ」と、労働者階級の闘いに根底から打撃を受けているのである。
そして最後に、「UAゼンセン以下民間労組は連合から分かれ、再び健全な労組に立ち戻ることで、日本を自らが信ずる方向に変えて行くことができる。官公労と決別し、連合を分裂させよ」と危機感を持ってあからさまに訴えているのだ。
桜井は、UAゼンセンのように「企業防衛、愛国主義、憲法改正、原発推進」を「労働運動の理念とせよ」と主張する。これは現代の産業報国会の思想そのものだ。
UAゼンセンは資本と政府の手によってつくられた労働組合だ。UAゼンセンは、元々は繊維関係の産業別労働組合にすぎない。しかしそれが流通・情報・化学などの労働組合をのみ込み、この数年で150万人の日本最大の労働組合に育成された。
そして組合員の半数以上が非正規職労働者であり、女性だ。その組織化の方法は、会社とユニオンショップ協定を結んで従業員を丸ごと組合員にするというやり方で、非正規職労働者や女性労働者の反乱を起こさせないためにつくられた労働組合だ。まぎれもない帝国主義労働運動である。
徴兵制叫ぶUAゼンセン
そしてUAゼンセンは、連合本部に対して、「主権国家である以上、徴兵制をとらないということは、自ら戦わないことを表明することになり、不適当だから削除しろ」と要求している。つまり、徴兵制を認める労働組合が水面下で育成され、それと一体で集団的自衛権や改憲の攻撃が進んでいるのである。
安倍は政権を取って以降、連合を分裂させることに全力を挙げてきた。これまでの恒例であった連合会長との会談を拒否し、政労使会議という連合を組み敷く枠組みをつくり、「官製春闘」に連合を取り込んだ。今年の連合新年交歓会には、初めて経団連会長や日銀総裁までが参加し、連合の産業報国会化に向かって突き進んだ。
しかし、それがまったくうまくいっていない。日帝・安倍は連合会長・古賀伸明を10月で退任させ、その後任に基幹労連出身の現在の神津里季生(こうづ・りきお)事務局長、そして神津の後任には逢見直人(おうみ・なおと)副会長を就任させようとしている。次期の連合事務局長に内定した逢見は、12年からUAゼンセン会長を務める人物だ。
さらにこの人事が連合内の役員推薦委員会で報告された6月26日の夜に、安倍は逢見と総理公邸で極秘に会談している。会談は2時間にわたって行われ、国会で審議中の安保関連法や労働者派遣法改悪や「過労死」法案など労働法制について議論し、今後も定期的に意見交換することで一致したという。本当に許しがたい。
UAゼンセンを先兵にして連合を分裂させ、改憲と徴兵制を推進する労働運動をつくり出す意図を持って会談が行われたことは明白だ。
こうした連合の産業報国会化の攻撃が、JRにおける「第2の分割・民営化」攻撃と一体で進んでいるのだ。
国鉄闘争が安倍打倒の力
安保法制の採決策動は安倍打倒の怒りをさらに燃え広がらせる。しかも日帝経済の大崩壊も不可避の情勢だ。「生きさせろ」と闘う労働者の決起と戦争への怒りがひとつになって革命的決起へとつながることを日帝支配階級は恐れている。階級的労働運動の登場こそが戦争法を葬り、安倍を打倒する最大の力だ。安倍も桜井も労働者をなめている。日本の労働者は「二度と戦争はしてはならない」という強烈な怒りと意思をもっている。それはUAゼンセンの現場労働者とて同じだ。
そして何より、労働者の置かれた現実の深刻さ、帝国主義の危機の深さがある。これまでは「痛みに耐えれば豊かな社会がやってくる」と幻想をあおることもできた。だが新自由主義のすべてが破産した。一握りの資本家だけが巨額の利益をあげ、膨大な労働者が突き落とされてきた。労働者は経験と闘いの中から、安倍が何をやろうとしているか、国家の本質に気がついている。
アベノミクスの崩壊が始まり、雇用を破壊し、年金・社会保障を破壊し、地方を破壊し、労働者が生きるための基盤をすべて破壊しながら安倍は戦争に突き進む以外にない。「生きさせろ」という要求がますます安倍との非和解的な激突となり、その中で労働運動が力を取り戻す条件が生まれているのだ。
動労千葉を先頭に、国鉄分割・民営化に30年にわたって絶対反対で闘ってきた意味は本当に大きい。国鉄闘争は連合が産業報国会として完成することを阻んできたのだ。
安倍や葛西、桜井が恐怖しているのは、新たな国鉄闘争の発展のもとに労働者の怒りが結集し始めていることにある。動労千葉鉄建公団訴訟の6・30最高裁棄却決定をはね返し、国鉄闘争全国運動の本格的発展をかちとろう。職場で資本と闘い、労働組合をよみがえらせよう。動労総連合を全国につくり出すことは戦後階級闘争の歴史的決着をかけた決戦である。安倍の戦争法・改憲、労組破壊と一体となった、第2の国鉄分割・民営化攻撃に立ち向かい、全面外注化阻止・非正規職撤廃の闘いの歴史的爆発をかちとろう。動労千葉、動労水戸を先頭に7・15国会包囲大闘争に総決起しよう。
(鷹村大介)