一坪共有地裁判 3証人採用かちとる 更新意見で県を追及
週刊『前進』06頁(2687号05面04)(2015/06/29)
一坪共有地裁判
3証人採用かちとる
更新意見で県を追及
6月18日、千葉地裁民事第5部(裁判長・鹿子木康=かのこぎ・やすし)で、一坪共有地裁判が開かれ、反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生がともに闘った。
この日は裁判長の交代に伴う更新手続きとして、弁護団が意見表明を行った。
この裁判は反対同盟の鈴木幸司さん(故人)、いとさん夫妻が共有権を持つ駒井野の一坪共有地について、2006年に千葉県が、明け渡しを求めて起こしたものだ。千葉県企業庁は「新産業三角構想」による「成田国際物流複合基地計画」の一環として、一帯の土地を造成しNAAに譲渡するので、この一坪共有地を明け渡せというのだ。
だがそんな大げさな事業計画は、提訴から9年たち、とっくに破綻している。130億円という膨大な債務を残し、県企業庁は今年で解散と決まっており、それを引き継ぐ事業体も明らかではない。県側はその事実を再三指摘されながら現状説明すら行わず、関連文書の提出要求にも応じず、訴訟を継続している。
一坪共有地は、空港反対運動の中でつくられた「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合所有であり、共有者個人から買収することはできないものだ。県はそれを、「全面的価格賠償方式」を適用し、金銭補償の形をとって共有権を強奪するというのである。まさに市東さん農地裁判と同様の、裁判所を使っての事実上の公用収用であり、とんでもない違憲・違法だ。ただちに却下されなくてはならない。
以上のような弁護団の鮮明で鋭い意見表明に対し、県の代理人らは一言も反論できず、暗い表情でうつむいている。
さらに今回、弁護団の7人の証人申請に対し、専門分野を持つ以下の3人の証人が採用された。
①清水和邦・福井県立大学教授(「土地を持つ会」の民法上の性質などについて証言)、②小長井良浩弁護士(土地を持つ会の会則の作成、成立の経過などについて証言)、③鎌倉孝夫・埼玉大学名誉教授(経済学的観点から成田空港の〝公共性〟の虚構について証言)。
次回期日を9月3日午後1時30分開廷とし、清水証人の尋問を行うことを確認して閉廷した。
千葉県弁護士会館で報告集会が開かれた。まず司会の伊藤信晴さんが、市東さん農地法裁判での突然の控訴棄却に対する激しい怒りをこめて、反対同盟の「弾劾声明」を読み上げた。
続いて葉山岳夫弁護士を始め弁護団が発言し、3人の証人採用をかちとったことを重要な前進として確認した。そしてさらに、県企業庁役人や元NAA幹部などの敵性証人を採用させなければならないことを強調した。
最後に伊藤さんがあらためて、元反対同盟・石毛博道などの第3滑走路建設誘致策動を弾劾し、空港周辺住民と結合して闘いを進めることを明らかにし、この日の闘いを締めくくった。