知る・考える 用語解説 「896自治体消滅」/沖縄戦
週刊『前進』06頁(2686号04面05)(2015/06/22)
知る・考える 用語解説
「896自治体消滅」/沖縄戦
「896自治体消滅」-地方切り捨てをさらに促進
〝2040年までに全国の市町村の半数、896自治体が人口減少で消滅する可能性がある〟と叫ぶキャンペーン。民間研究機関の日本創成会議が提唱し安倍政権やマスコミが大宣伝している。新自由主義による社会崩壊の進行を逆手にとって労働者人民を脅し、〝少子・高齢化で社会保障費が増え、財政を圧迫している〟として、地方を切り捨て、学校や自治体施設の統廃合と民営化、規制緩和と医療・介護、年金など社会保障費の削減を極限まで進めることを狙う。
JRが「地方消滅」を赤字路線の廃止と全面外注化の口実とするなど、巨大資本が社会を食いものとし、放り出す「根拠」としている。連合や自治労本部など腐敗した労組幹部も「危機」を叫んで国や資本の民営化攻撃に協力している。
社会をこれほどまでに崩壊させたのは新自由主義である。地方の過疎化は87年の国鉄分割・民営化によるローカル線廃止が決定づけた。非正規職化は全社会的な貧困をもたらし、生産労働人口は90年代半ばから減少に転じた。それは労働者が子どもを産み育てることすら困難にした資本主義の最末期の姿である。
プロレタリア革命だけが社会を再生させる。動労千葉のローカル線切り捨て反対の闘いは労働組合を軸に地域を守り新自由主義を倒す総反撃の始まりである。
沖縄戦-軍隊は住民の命を守らない
太平洋戦争末期の1945年、沖縄を戦場として日米両軍が激突し、住民を巻き込んで行われた戦争。沖縄県民の死者は計12万人以上、当時の県民の4分の1に上った。犠牲の多さだけでなく、戦争のむごたらしさを極限的に示した。日本は敗北が明白になっているのに、「国体(天皇制と資本制国家)の護持」のための時間稼ぎ、捨て石作戦として沖縄戦を選び、全住民を動員した玉砕(ぎょくさい)戦法を採った。米軍は54万人を動員し、4月1日に沖縄本島に上陸した。日本軍は次第に敗退して南部に追い詰められ、6月23日、牛島司令官らが切腹して組織的抵抗は終息したが、住民は降伏を許されず玉砕を命じられた。
戦場でも避難したガマ(自然の洞窟)の中でも、住民の命より軍隊の維持が優先された。乳飲み子を抱いた母親が「子どもに泣き声を立てさせるな」と命じられ、わが子を窒息死させることさえも起きた。至るところで集団死が強制され、日本軍による住民虐殺も多数に上った。「軍隊は住民を守らない」という血の教訓がそこにある。
今日の沖縄基地問題も、この沖縄戦が原点である。「沖縄戦を繰り返すな」とは、戦争を必要とする資本家階級とその国家を打ち倒すべき時が来ている、ということだ。