耕作権裁判 NAAの違法を追及 弁護団・市東さん更新意見

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週刊『前進』06頁(2686号04面02)(2015/06/22)


耕作権裁判
 NAAの違法を追及
 弁護団・市東さん更新意見

(写真 耕作権裁判の勝利に向けて市東さん、萩原さんがデモの先頭に【6月15日 千葉市】)

 6月15日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれた。「文書提出問題」で審理が中断して、約2年半ぶりの再開だ。高裁反動判決への大反撃の気概に燃えて、反対同盟と弁護団、労農学人民100人がともに闘った。
 午前9時、千葉市内の裁判所に程近い葭川(よしかわ)公園で決起集会を行った。司会の伊藤信晴さんが第一声で、「農地法裁判での控訴棄却判決の背景には安倍政権の焦りがある。戦争へ向けた第3滑走路建設を絶対に許さない」と訴えた。
 動労千葉などの連帯発言に続き、萩原富夫さんがマイクを握った。「東京高裁は判決で〝国策裁判はこうやれ〟と千葉地裁に見本を示し、圧力をかけた。絶対に許さない。空港公団=NAAの違法の数々、証拠偽造をはっきりさせて、耕作権裁判に勝利しよう!」
 強い日差しを受けながら市内デモに出発。「裁判所は訴えを棄却しろ」と大書した横断幕に続き、市東さん、萩原さん、伊藤さんを先頭に千葉地裁へ向け行進した。
 70ほどの傍聴席を満席にして10時35分に開廷。更新手続きとして弁護団が、NAAを圧倒する意見陳述を行った。
 この耕作権裁判は、NAAが成田市南台の市東さんの畑の一部を「不法耕作地」と決めつけて明け渡し請求を行ったものだ。だが違法を働いてきたのはNAAだ。
 土地の位置特定で彼らは大変な誤りを犯した。市東家が一度も耕したことのない「南台41―9」を契約地だとし、その誤った位置特定の根拠として、彼らが出してきた唯一の証拠である「境界確認書」「同意書」と添付の図面が、偽造されたものと判明した。市東東市さん(孝雄さんの父、故人)の署名も筆跡鑑定で偽造と判明した。この文書偽造の経緯を明らかにするため、弁護団は空港公団(NAAの前身)による元の地主からの土地買収の交渉記録、報告書などをNAAに提出させるよう求めた。
 それに応じて千葉地裁は文書提出命令を発した。だがNAAは「探したが見つからなかった。担当者は故人」と提出を拒んだ。見えすいた大うそだ! この文書提出攻防は東京高裁にもつれ込み、「ないはずがない。提出せよ」との命令が確定した。それでもNAAは提出を拒否。それは文書偽造の自認に等しい。
 市東さんの耕作地すべてに、市東さんの耕作権がある。裁判所は訴訟を棄却せよ!
 弁護団の主張は、言い逃れを許さぬ鋭さでNAAに突き刺さった。
 そして市東さん本人が陳述に立った。「私はこの裁判で提訴され、新聞に〝不法耕作の男〟と書かれた。誠実に農業を続けてきた私に対するこの誹謗(ひぼう)中傷に、夜も眠れないほど苦しめられた。農業は私の誇りであり、農地はかけがえのない私の命だ。裁判長! 私は不法耕作などしていない。私はこの裁判に勝ち、農地法裁判の不当判決の誤りを正す」
 この誇り高く堂々とした陳述に、大きな拍手が起こった。NAAの代理人弁護士は恥辱にまみれ、うつむくばかりだ。
 次回期日を9月14日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で報告集会が開かれ、葉山弁護士が「農地法裁判の最高裁での闘いとともに、この耕作権裁判が決定的に重要になった。本日の圧倒的結集態勢を継続して闘おう」と熱く訴え、〝反撃の開始〟を全員が実感した。
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