駅全面外注化阻止を 総非正規職化へ子会社再編 JR東 7・1強行実施を粉砕しよう

週刊『前進』06頁(2686号02面01)(2015/06/22)


駅全面外注化阻止を
 総非正規職化へ子会社再編
 JR東 7・1強行実施を粉砕しよう


 JR東日本は駅業務の全面外注化に向け、7月1日に大規模な子会社再編を強行しようとしている。外注化との新たな決戦が始まった。雇用も安全も労働者の誇りも破壊する大攻撃と徹底的に対決し、動労総連合を建設することが決定的に必要だ。今回の外注化の焦点は首都圏の大規模駅だ。今こそ首都・東京に動労総連合の旗を立て、総反撃に立とう。

プロパー社員に転籍強要

 JR東日本は、千葉鉄道サービス(CTS)、水戸鉄道サービス(MTS)、高崎鉄道サービス(TTS)から駅業務部門を切り離し、7月1日にJR東日本ステーションサービス(JESS)に統合しようとしている。JESSは東京、横浜、八王子、大宮の首都圏4支社管内における駅業務受託専門会社として、13年4月に設立されたJR東日本の100%子会社だ。
 CTSなどの支社別子会社には、清掃部門、車両の検査・修繕部門、駅業務受託部門があるが、子会社再編が行われれば、清掃と車両の検査・修繕部門しか残らない。他方、JESSの管轄領域は、千葉、水戸、高崎支社管内を含む首都圏全域に拡大する。JR東日本は、これまで支社単位で進められてきた外注化を、さらに全面的かつ全社統一的に強行しようとしているのだ。
 JR東日本は、雇い止めにされたグリーンスタッフ(契約社員・GS)を、JESSやCTSなどに再就職させる施策をとってきた。GSよりもさらに劣悪な労働条件を強いながら、GSとして培われた駅員としての技能は、JRの手に収めてきたのだ。
 今回の子会社再編にあたり、駅業務に従事するCTSなどのプロパー社員(直雇い社員)に対しては、JESSへの転籍を強いる攻撃がかけられた。GSを経てCTSに再就職した青年労働者は、GS扌CTS扌JESSという形で使い回されることになる。その度に労働条件は低下する。
 JESSでの昇給は雇われてから5年目、10年目、15年目の生涯たった3回だけ、昇給額も5〜8千円程度だ。そのJESSへの転籍を、JR資本とCTSは「転籍に応じなければ清掃部門に行くしかなくなる」という恫喝で労働者に強要した。JRで、ついに大規模な転籍強要の攻撃が始まったのだ。
 CTSなどの駅業務受託部門には、JRからの出向者やJRのエルダー社員(定年退職後の再雇用社員)もいる。こうした労働者にはJESSへの再出向が強いられる。これがいずれ転籍の強要となることも明らかだ。
 首都圏と同様の子会社再編は、東北地域でも7月1日に強行される。

流通子会社に業務を委託

 秋田支社管内で駅業務を受託していた「アトリス」、盛岡支社管内で駅業務を受託していた「ジャスター」から駅業務が切り離され、「JR東日本東北総合サービス」に統合される。同社はこれまでは仙台支社管内の駅業務受託子会社だったが、東北一帯が同社の管轄下に入る。それだけでなく同社は、東北全域の駅構内店舗事業を吸収して一大流通資本に生まれ変わる。つまり、駅ナカでショッピングモールを運営する会社に、駅業務を請け負わせるのだ。
 すでに首都圏でも、中央線の武蔵境駅や国立駅などの業務は、鉄道高架下でショッピングモールを営むJR東日本の子会社「中央ラインモール」に委託されている。
 これらは、安全運行の要としての駅の機能を全面否定するものだ。
 今年3月のダイヤ改定で、JR東日本は駅で行われていた列車への「出発指示合図」を全面廃止した。これは、安全にかかわる厳格な合図であるため、駅長か駅長から権限を与えられた者(主に輸送主任)でないと出せなかった。同時に「業務委託駅における業務の委託範囲拡大」が強行された。人身事故などが起きた場合、それまでは最終的な安全確認は管理駅の社員(JR社員)が行っていたが、業務を委託された駅の社員でも、それを行えるようにした。
 JRは、出札・改札業務に限られていた駅業務の外注化を、駅の全業務に押し広げるための布石を打ったのだ。
 今回の子会社再編にあたりJESSが5月に出した「管理体制の変更について」という文書には、「中長期的には出向社員及びエルダー社員が急速に減少することが想定されるため、次代を担う社員の育成が急務である。従って、当社の社員を中心とした知識・技能の向上を主な目的とし、併せて、地区または管理駅との連携強化、波動業務等への効率性向上及び職場運営機能の向上を目指し、管理体制を変更する」と書かれている。
 これは、JRが大量退職時代に入ったことを見据え、JESSのプロパー社員だけで駅業務を回せる体制を早急につくるということだ。狙いは駅業務の全面外注化=総非正規職化だ。

私鉄上回る極限的外注化

 JR東日本は12年12月、東京、横浜、八王子、大宮支社管内の車両検修業務を請け負う「JR東日本運輸サービス」(JETS)を完全子会社にした。JRが次に狙っているのは、CTSなどの車両検修業務をJETSに統合することだ。そうなれば、JRに残された臨時検査などのわずかな業務も、すべて外注化される。すでに総合車両センターの受託子会社は、今年4月にJR東日本テクノロジー(JRTM)に統合されている。
 その行き着く先は、車掌や運転士を含む全業務の外注化だ。JR自身は持ち株会社になって金融操作だけに明け暮れることになる。近鉄や阪急阪神、西武、相模鉄道などの大手私鉄は「ホールディングス」と呼ばれる持ち株会社の下に鉄道やバス、ホテル、流通業、不動産業、車両検修、保線、清掃などの子会社がぶら下がる形になっている。京阪も来年4月に持ち株会社に移行する。
 相模鉄道では、ホールディングスから相鉄バスに出向している207人の労働者に対して、相鉄バスへの転籍か早期退職かを迫る攻撃がかけられている。相鉄バスに雇用された社員の賃金は、ホールディングスの社員より年収で約350万円も低いという。転籍とは、大幅賃下げと極限的労働強化の攻撃だ。
 駅業務の外注化は大手私鉄ではとことん進んでいる。東武、京王、東急、西鉄は駅業務受託専門の子会社を持っている。東武の場合、子会社で駅業務を経験しなければ車掌や運転士にはなれず、乗務員に登用された時点であらためて親会社の東武鉄道に就職するシステムになっている。
 JRが目指しているのは、それをはるかに上回る外注化だ。だが、そこには大きな矛盾がある。
 08年5月以降、JR東日本は運転士を駅に強制配転する「ライフサイクル」制度を強行してきた。ライフサイクルによる強制配転者がいなければ駅業務は回らない。駅業務の全面外注化は、運転士から強制配転された青年労働者をもJESSに行かせなければ貫徹できない。ライフサイクルを推進してきた東労組カクマルへの青年労働者の怒りは、あらためて爆発する。青年を組織するチャンスでもあるのだ。
 7月1日を焦点に外注化をめぐる決戦攻防が始まった。東京にこそ動労総連合を建設し、駅の全面外注化を阻止しよう。
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