知る・考える 用語解説 ランク&ファイル/「官製相場」

週刊『前進』08頁(2685号05面04)(2015/06/15)


知る・考える 用語解説
 ランク&ファイル/「官製相場」

ランク&ファイル-労働現場の団結に力がある

 元は軍隊用語で横列(ランク)・縦列(ファイル)に整列した兵卒のこと。労働運動では、労働組合幹部ではない、職場の一般労働者を指す。
 ランク&ファイル労働運動とは、一般労働者が主役となる労働運動である。労働者の労働こそが社会をつくり、動かしていることの自覚と誇り、仲間への信頼を労働組合組織化の根幹とする。一般組合員は受け身の存在ではなく活動・団結形成・討論・方針形成を主体的に担う。
 これは、体制内的な労働運動が企業組織をモデルにしてつくった「ビジネス・ユニオニズム」といわれるものと根本的に対立する。ビジネス・ユニオニズムの組合では、組合員は組合費を払って労働組合からサービス、救済を得る顧客と位置づけられる。最高幹部は労働者の賃金とかけ離れた高額報酬を得る。
 これに対して、20世紀初頭にアメリカで創設されたIWW(世界産業労働者組合)が本来の労働組合を復権させ、1930年代にILWU(国際港湾倉庫労組)などがさらに意識的にランク&ファイル労働運動をつくり上げた。現在、それを引き継いだ活動家が労働組合権力の奪還に多くの職場で成功している。「労働者階級の解放は労働者自身の事業」というプロレタリア革命の核心を体現する運動がよみがえっている。

「官製相場」-年金や郵貯投入し株高演出

 米欧からの緩和マネーの流入に加え、安倍政権が年金、郵便貯金などを大量に投入して人為的につり上げている現在の株式相場。安倍は、株価が2万円を超えて「景気が着実に回復している」と宣伝しているが、その正体は実体経済の回復を伴わないバブルだ。実際、14年度1年間の経済成長率はマイナスである。
 投入されている公的資金は「5頭のクジラ」と呼ばれている。①国民年金・厚生年金、②3共済年金(国家公務員、地方公務員、私立学校)、③郵便貯金、④簡易保険、⑤日本銀行の資金、である。
 137兆円もの資産を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と30兆円の3共済年金は昨年秋から、国内・国外株での運用比率をそれぞれ12%から25%に倍増させた。資産205兆円のゆうちょ銀行も国債での運用を減らし、株式投資を拡大した。
 年金も郵便貯金も簡易保険もみな、労働者階級がわずかな賃金の中から、老後の生活のために長いあいだ積み立ててきた「虎の子」である。それを安倍政権は犯罪的にも、政権の延命と戦争・改憲攻撃のために、投機の資金に使っている。
 たとえ株価が上がっても年金給付額は増えず(減る一方だ)、郵便貯金の利子も低いままだ。逆に株が大暴落したら大損害を受ける。バブルは必ず崩壊する。
このエントリーをはてなブックマークに追加