三浦半島教組大会の報告と総括 民営化反対と非正規職撤廃貫きストで闘う組合うみ出す転換点 革共同教育労働者委員会
三浦半島教組大会の報告と総括
民営化反対と非正規職撤廃貫きストで闘う組合うみ出す転換点
革共同教育労働者委員会
5月16日に開かれた三浦半島地区教組(三教組。神奈川県横須賀市、逗子市、三浦市、葉山町の公立小中学校および市立高校の教職員で構成)の定期大会は、現場組合員が安倍の戦争・民営化・労組破壊に絶対反対で闘う路線を選択し始める重大な転換点となりました。組合員の時代への危機感、日々の労働への誇りと真剣さが、連合路線=「参加・提言・改革」で産業報国会化に突き進む体制内指導部を圧倒し始めています。国鉄闘争6・7全国集会の感動、動労総連合が示した自己解放のエネルギーは拠点建設でゼネストを切り開く巨大な可能性を示しました。階級的労組拠点をつくることは可能です。動労総連合建設と一体で、ストライキで闘う労働組合をつくり出すために、三教組定期大会決戦の報告と総括を提起します。
戦争・民営化絶対反対の怒りが執行部を包囲
大会決戦は、現場組合員の大きな意識の変化と活性化を生み出しました。「反対だけを言うのは独善的運動」とまで言い切る体制内指導部に強いられてきた「あきらめ」が、ついに打ち破られ始めました。
「『大会はすごかった。執行部に反対で声を上げている人たちこそ労働組合よ』と同僚から電話がきたよ」(A分会)。「こんな時代に反対の立場を取り切らない執行部でいいのかな」(B分会)。「まともな論議もさせない。反対派を排除することしか考えていない。何かの拍子に戦争が起こってもおかしくないのに、こんな執行部でいいの?」(C分会)。「非正規化の推進を、書記長は表明したのと同じ」(D分会)。「学校の民営化もひとごとではない」(E分会)――。大会直後から今日まで、多くの分会で反響が続いています。
〝安倍の公務員労組解体や戦争教育に「参加」も「提言」もあるか!〟という「絶対反対」の決起とともに、組合員が大きく動き出しました。闘う執行委員候補を「不正選挙」で排除し、階級的労働運動の圧殺を狙う体制内指導部の昨年来のもくろみを打ち破り、組合員の怒りが体制内指導部を包囲し始めたのです。
非正規解雇攻撃に対し死活をかけて闘いぬく
最大の教訓は、「戦争と民営化に絶対反対! 非正規職撤廃」を徹底的に闘い抜くことで、ゼネスト指導部とストライキで闘う労働組合を生み出すことができるという確信をつかんだことです。
職場課題を路線的に闘い抜くことで、「民営化絶対反対・非正規職撤廃」を労働組合存立の根幹にかかわる問題として組合員は深くとらえ始めました。
一つに、学校事務の「共同実施」について「絶対反対」で闘うのか否かをめぐり、体制内指導部と激突しました。
彼らは、これまで「差別・分断・合理化につながる」と言ってきた学校事務の「共同実施」について、一転して推進を打ち出しました。事務職員の反対の声をかえりみず「合理化に反対するのは労働組合として当然なので削除した」と詭弁(きべん)をろうし、「県内の状況(三教組以外推進)を注視しながら対応」とぺてん的な方針を示します。これこそが改憲情勢下の戦争推進労組への変質です。
これに対し、青年からベテラン組合員、事務職員や教員を問わず、誠実かつ必死の訴えが組合員をとらえ、「絶対反対」の修正案は可決まであと11票に迫りました。
二つに、非正規労働者の解雇攻撃に対し、労働組合の死活をかけた課題として闘いが呼びかけられたことです。
今春、横須賀市F小学校で、特別支援学級の担任として働いていた欠員臨時的任用職員の仲間が、任用期間中にもかかわらず、児童の転出とそれに伴う閉級を理由に退職届を強要され、事実上解雇される事態が起きました。
そもそも正規職で充(あ)てるべき教職員定数を「欠員補充」で非正規職の臨任職員で充てていることが問題です。近年は、学級数の変動可能性が高い特別支援学級への配置が増え、横須賀市の中学校では15年度、半数が非正規教員という異常さです。非正規を政府・当局が〝安上がりな調整弁〟と位置づけていることは明白なのです。
これに対して、二つの分会が共同で「定数内臨任の解雇を許さず、希望者全員の正規職化にむけてたちあがる大会決議」を提案し、代議員全体を巻き込む論争をつくり出しました。
「組合としてできることはない」と断言した体制内指導部の対極で、現場組合員の誇りが大会の枠をも超えてあふれ出ました。「学校で働く労働者の人権が守られないのに、どうして子どもたちの人権が守られるのか」「長い目で見守らねばならない特別支援の子どもたちに、非正規労働者を安易に充てるのは、労働者にも子どもたちにも侮辱だ」「1人の労働者を守れないで何が組合か!」――。「大会でたいへんなことを聞いてきた」と驚きをもって分会に報告した組合員もいました。
動労総連合建設と一体で安倍倒す教組拠点を
総括の核心は第一に、「非正規職撤廃」は公務員決戦の決定的な内実であるということです。
「産休先生」という言葉があるように、年度途中に仲間が職場を離れることは「仕方のないこと」とさえとらえられてきました。しかし「産休代替」と今日の臨時的任用制度の多用とは、根拠法も異なります。当局は6カ月の任用期間で更新は1回(地方公務員法第22条)とされている臨任制度を悪用し、年度末に「空白の1日」を設けることで雇用契約を反復する違法行為を横行させてきました。それにとどまらず、仕事がある時だけの雇用が実態だったのです。これが私たちの職場の日常だったのです。労働者の原点に返るという自らの変革が組合員の意識の変革へとつながることを経験したことが大きな教訓です。
第二に、国鉄闘争の地平に学ぶことです。非正規職撤廃は、動労千葉・動労水戸―動労総連合が切り開いてきた階級的労働運動の地平です。動労神奈川の非正規の青年労働者が国鉄闘争に獲得され、動労総連合建設に立ち上がっています。今大会では、この闘いを職場で実践する決意を込めて立ち上がりました。
さらに、民営化と安全崩壊・地域破壊=公教育破壊に対して、反合理化運転保安闘争路線を教労現場で実践する時です。
第三に、大会決戦を韓国・民主労総ゼネストと団結した闘いとして位置づけたことです。民主労総のハンサンギュン委員長が「正規労働者が生き残る道は下請け労働者と一緒に闘うこと。下請け労働者が生き残る道は一緒に労働組合に団結する道しかない」と訴えているように、「非正規職撤廃」は日韓労働者の国際連帯であり、ゼネストとゼネスト指導部をつくりだす決定的路線です。
第四に、体制内指導部が非正規化も民営化も認め、侵略戦争すら容認しようとしている最大の根拠が「資本主義は永遠」とする時代認識にあるということです。それゆえに、労働者が社会の主人公として躍り出るこの時代においては、資本の先兵として労働者の怒りと決起を圧殺するのです。
彼らを時代認識のレベルで打倒しなければなりません。労働者党の細胞と機関紙『前進』の決定的意義がここにあります。「社会の主人公は労働者だ」というマルクス主義で「党と労働組合の一体的建設」を進めることがストライキで闘う労働組合を建設する道です。そのためにも労働者党=革共同の建設をともに担いましょう。
秋の賃金確定闘争の戦術配置=ストライキ批准は、毎年批准率が9割を超えています。「ストライキで闘おう」は組合員の声なのです。今こそ「ストをさせろ!」の声を上げ、ストライキで解雇撤回、民営化粉砕の巨大な団結した力を示し、日教組を現場労働者が取り戻そう! 労働組合の力で、戦争に突き進む安倍を打倒し、崩壊する新自由主義を打倒しよう!
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▼学校事務の「共同実施」 学校の事務を共同処理する拠点校やセンターに各学校の事務職員を集中的に配置する。拠点校以外の学校では、事務職員が非正規職員に置き換えられたり、配置されなくなる。学校事務外注化の突破口。日教組は待遇改善・定数改善の方策として推進している。