焦点 今国会成立狙う派遣法改悪案 労働者に〝生涯派遣〟を強制

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週刊『前進』06頁(2684号05面03)(2015/06/08)


焦点
 今国会成立狙う派遣法改悪案
 労働者に〝生涯派遣〟を強制


 安倍政権は集団的自衛権行使に向けた安保関連法案と並び、労働者派遣法改悪案と労働基準法改悪案を今国会で押し通そうとしている。これらは、労働者を総非正規職化し、首切り自由と無制限の長時間労働にたたき込むことを狙うものだ。戦争と労働法制改悪は一体だ。労働組合を解体・再編し、労働者を生存ぎりぎりのところに突き落とすことによって、労働者を戦場に駆り立て、戦争動員することは初めて可能になる。
 現在、労働者派遣法改悪案は衆院厚生労働委員会で審議されている。同法案は昨年2回、国会に提出されたが廃案に追い込まれた。安倍は今国会でなんとしてもこの悪法を成立させる構えだ。この法案を成立させた上で、長時間労働と過労死を強制する労基法改悪案(「残業代ゼロ法案」)の成立に突き進もうとするのが安倍の狙いだ。
 派遣法改悪案の中身は、①これまで「通訳」や「事務用機器操作」などのいわゆる「専門26業務」以外については、派遣先企業は3年以上は派遣労働を受け入れることができなかったが、その規制を廃止する、②同じ派遣労働者が3年を超えて同一派遣先での同一部署に就労することはできないことにする、③派遣先企業が3年を超えて派遣労働を受け入れる場合、労働組合や労働者代表からの意見聴取を条件とする、④派遣元に無期雇用されている派遣労働者などについては3年の期間制限を適用しない――などだ。
 この改悪で、派遣先企業は労働者を入れ替えれば何年でも派遣労働を使い続けることができるようになる。他方、派遣労働者は3年たてば必ず職を失うことになる。従来の「専門26業務」についても、派遣可能な期間は3年となる。そのため、法案の成立に先立って、雇い止め解雇を通告される26業務の派遣労働者が続出している。
●派遣法・非正規職撤廃へ
 派遣法改悪がまかり通ったら派遣労働者は生涯、派遣労働に縛り付けられる。それだけでなく、3年ごとに解雇の不安におびえなければならない。派遣先や職種を変えるたびに労働条件が低下していくことは明らかだ。派遣法改悪は、非正規職化と首切りをセットにしたすさまじい攻撃だ。
 この法案について連合は、事務局長談話で「政府法案の成立阻止に向けて、組織の総力を結集(する)」と言っている。だが、安倍が設定した政労使会議で「雇用ルールの見直し」に了承を与えたのは連合だ。
 全労連は今回の改悪案を「常用代替防止という労働者派遣の大原則を揺るがす」と「批判」する。しかし、それは派遣法を根本において容認するものでしかない。派遣法の目的は、直接雇用労働者を派遣に置き換えることの禁止にあるのではなく、戦後労働法制の根幹におかれてきた「中間搾取(ピンはね)禁止」の原則を解体することにある。派遣法と非正規職撤廃の立場に立たない限り、資本の攻撃には立ち向かえない。
 労働者が取るべき立場は、国会審議に法案の行く末をゆだねることでは断じてない。自らの団結と闘いで、安倍政権もろとも法案を粉砕し尽くすことだ。
●ゼネストこそが勝利の道
 労働者派遣法が施行されたのは、国鉄分割・民営化が強行される直前の1986年だ。ここから、労働者を非正規職化する攻撃が本格的に始まった。今や非正規労働者は全労働者の4割に迫っている。それを9割、10割にまで進めようとするのが、今回の派遣法改悪案だ。
 だから、これへの反撃は国鉄決戦を基軸に日本におけるゼネストを実現し、安倍を打倒することにある。国鉄闘争全国運動の6・7全国集会の大成功でその突破口をこじ開けよう。6・7集会は同時に、再度のゼネストに向かう韓国・民主労総、とりわけ鉄道労組との民営化反対の国際連帯を打ち立てるものだ。民主労総も、パククネ政権が強行する解雇自由・総非正規職化を狙う「労働構造改革」と真正面から闘いぬいている。
 株価と国債の暴落は時間の問題だ。資本家階級は、それをひたすら労働者を犠牲にすることでのりきろうとしている。生きるために労働者がゼネストで総反撃する時代が来た。安保関連法案と安倍政権もろとも、派遣法改悪案を粉砕しよう。

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