戦争法阻止 6・15国会闘争へ 安倍と中谷が国会の最弱点だ

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週刊『前進』06頁(2684号04面01)(2015/06/08)


戦争法阻止 6・15国会闘争へ
 安倍と中谷が国会の最弱点だ


 5月26日、国会で安保関連法案(「平和安全法制整備法案=10法案」と「国際平和支援法案」)の審議が始まった。また、政府はこれと並んで、すでに12日から審議入りしている労働者派遣法改悪案、労働基準法改悪案などの成立を狙っている。労働者の総非正規職化、首切り自由化と一体で成立が狙われていることに、安保関連法=戦争法の階級的本質が表れている。安倍は国会でペテン的答弁を繰り返しながらのりきろうとしているが、今や労働者階級人民の怒りは日増しに高まっている。安保国会決戦の巨万の爆発で、腐りきった国会もろとも安保法制を粉砕し、安倍政権を打倒しよう。

自衛隊員の戦死続出する

 5月26日の衆院平和安全法制特別委員会での審議開始以来、安倍政権の危機と矛盾が一気に噴出している。安倍や防衛相・中谷元、外相・岸田文雄は次々とボロを出し始めている。
 まず22日、これまで安倍が明言を避けてきた「自衛隊員が死亡するリスクの増大」について、中谷が記者会見で「隊員のリスクが増大することはない」と断言した。
 これを野党に追及された中谷は、「(後方支援は)戦闘行為が発生しないと見込まれる場所で実施するから安全だ」と答弁した。だがそんな「見込み」など現実の戦争では何の意味ももたない。むしろ「後方支援」=補給・兵站(へいたん)を担う部隊は軍全体の生命線であり、攻撃を受けることは不可避となる。そしてひとたび戦闘が始まれば撤退など許されないことは軍事の常識だ。
 そもそも安保法制は、自衛隊が最前線で武力を行使することも可能とする恐るべき戦争法であり、流血と死の戦場で殺し合いをさせられる自衛隊は「リスク増大」どころか確実に大量の戦死者を出すことになるのだ。中谷の大うそは、自衛隊兵士や家族を含む巨万の人びとの怒りを爆発させずにはおかない。
 こうした中、安倍は中谷の答弁能力のなさにいら立ち、求められてもいないのに自らしゃしゃり出て答弁するなど、必死で対応している。だが最も破綻し醜態をさらしているのは、ほかならぬ安倍である。安倍と中谷は安保国会の最弱の環だ。
 安倍は毎回の答弁で質問には答えず、「国民の幸せな暮らしを守るために抑止力を高める」などと5分以上もうそとデタラメの長広舌をふるい、衆院特別委委員長の浜田靖一(自民)から「わかりやすい簡潔な答弁を」とたしなめられた。さらに、民主党・辻元清美の発言中に「早く質問しろよ」と野次を飛ばして謝罪に追い込まれた。
 なお安倍は、辻元が「(私は)人の生死とか戦争とかについて話しているんです」と発言した際にも、「大げさなんだよ」と大声で野次を飛ばした。安倍が隠そうとしている安保法制の本質がどこにあるか、このことからも明らかだ。
  「軍服を着た労働者」である自衛隊兵士は、安倍の戦争で殺し殺されることを断固拒否し、労働者階級とともに安倍打倒に立ち上がろう!

朝鮮侵略戦争参戦が焦点

 こうしたぶざまな国会答弁を続ける安倍に対し、野党は「リスクがあってもそれを超える(法整備の)必要性を強調するのが政府の責任だ」(民主党・岡田克也)「素直にリスクを認め、国民の理解を得るべきだ」(維新・柿沢未途)などと、むしろ安倍の戦争法を後押しする態度に終始している。「戦争絶対反対」を訴える者が一人もいない、腐りきった「おしゃべり小屋」と化した国会に対し、今や労働者人民の怒りは沸点を超えている。
 こうした中で、安倍は集団的自衛権に関して、「一般には許されない」と言いつつ、「例外」として行使できる場合があるというペテン的主張を繰り返している。しかも安倍はその「例外」として、「ホルムズ海峡での機雷掃海」「米艦防護」に加え、新たに他国のミサイル基地に先制攻撃を加える「敵基地攻撃」まで「法理上はありうる」と明言した。武力行使が際限なく拡大していくことは明らかだ。
 ここではっきりさせたいのは、この間の国会審議で触れられていない安保法制に関する二つの核心問題である。
 第一は、安保法制は何よりも朝鮮半島での戦争をきわめてリアルに想定した朝鮮侵略戦争遂行法だということだ。
 もともと日帝にとって集団的自衛権の行使とは「地球の裏側」の話ではなく、まずもって朝鮮半島での戦争に参戦することを念頭に検討されてきたものだ。それを明瞭に示しているのが、1996年に防衛庁統合幕僚会議(統幕)が作成した「統幕の研究」と呼ばれる文書である(表)。
 当時、統幕が徹底的に研究したのは、朝鮮半島で米軍が戦争を始めた場合、自衛隊はどこまでの行動が憲法上可能かということだった。結果は表の通り、96年の時点では、自衛隊の行動は集団的自衛権が行使できないためにかなり限定的になるということだった。99年周辺事態法では、「戦闘地域から離れた場所での後方支援」など対米協力の拡大が図られたが、自衛隊の全面的な参戦には、やはり憲法上大きな制約があった。
 だが今回の安保法制では、朝鮮半島での「戦闘行動への参加」を含め、一切の戦争行為がすべて可能になるのである。この恐るべき実態が国会ではまったく隠されているのだ。

労働者の戦争動員を狙う

 第二は、安保法制はあらゆる産別の労働者を戦争動員する「国家総動員法」だということだ。
 武力攻撃事態法は第8条で「国民の協力」を規定し、「国民は……指定行政機関、地方公共団体または指定公共機関が対処措置を実施する際は、必要な協力をするよう努めるものとする」と定めている。「指定公共機関」とは、「独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関および電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令で定めるものをいう」とされ、現時点でJRや日本郵政、NTT、NHKなど152社が該当する。これは改定案でも引き継がれる。
 さらに改定法案第7条では「国は……存立危機事態への円滑かつ効果的な対処が可能となるよう、関係機関が行うこれらの事態への対処についての訓練その他……を実施するものとする」として、平時から戦争動員に向けた訓練を行うことが新たに明記された。
 この攻撃に対し、4大産別を始めあらゆる産別で戦争絶対反対を貫き、実力で戦争動員を拒否する闘いが求められている。それは連合などの既成の労組指導部を打倒し、ゼネストで闘う労働組合をあらゆる職場に建設するということだ。安保国会決戦の勝負はここにかかっている。
 安倍は労働者階級の怒りがゼネストとなって爆発することを何よりも恐れている。すでに与党内でも動揺が広がり、「安倍政権は(安保法案を)うまく通せないと非常にダメージを受ける」(自民党幹事長・谷垣禎一)と、これまでのような強行採決を続けていくことへの限界が吐露されている。大恐慌下で日帝経済の破滅も早晩不可避だ。労働組合を軸に巨万の人びとが立ち上がれば、必ず安倍は打倒できる。
 6・7国鉄集会の大成功に続き、6・15国会闘争、6・28民主労総連帯集会を成功させ、「戦争・改憲・原発・首切りの安倍を倒そう!7・5大集会」に日比谷公会堂を埋め尽くす大結集をかちとろう!
(水樹豊)
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