動労総連合建設し反合・運転保安闘争を 京浜東北線 工事用看板に電車が激突 「川崎駅事故」くり返すJR東

週刊『前進』06頁(2684号02面01)(2015/06/08)


動労総連合建設し反合・運転保安闘争を
 京浜東北線 工事用看板に電車が激突 「川崎駅事故」くり返すJR東


 JR東日本でまたも重大な事故が起きた。6月1日午前1時ころ、京浜東北線の鶴見―新子安間で、大宮発桜木町行きの電車が、線路内に置かれていた工事用看板と衝突して緊急停止した。この電車は京浜東北線南行きの最終電車で、看板と衝突した後、約100㍍走って停止した。人身への影響がなかったため、マスコミはこの事故についてほとんど報道していない。だが、起きた事態は深刻だ。今回の事故は、昨年2月の川崎駅構内事故とほとんど同じ形で発生した。川崎駅事故後、JR東日本が唱えてきた「事故対策」は、何の対策にもなっていなかったのだ。

業務外注化が事故の元凶

 今回の事故の直接の原因は、保線作業を請け負った下請け会社の労働者が、終電後の東海道線下り線に置く予定だった工事用看板を並行する京浜東北線の線路上に置いてしまったことにあった。
 この日は東海道線下り線でレールの下の砕石(バラスト)を取り替える作業が予定されていた。その工事のための看板が、東海道線下り線ではなく、最終電車がまだ通過していない京浜東北線南行きの線路に誤って置かれ、そこに最終電車が衝突したのだ。
 今回はたまたま保線労働者の人身事故には至らず、乗客・乗員にも負傷者は出なかった。車両にも損傷はなく、電車は35分後に運転を再開した。だが、もし看板の付近に作業に従事する労働者がいたとすれば、大惨事になっていたところだ。実際にも電車は重さ1・4㌔の看板にぶつかっている。これ自体が大変な事故だ。
 看板には、線路閉鎖されていることを示す言葉が書かれていた。線路閉鎖とは、作業中に列車が進入してくることによって起こる事故を防ぐため、その範囲を列車進入禁止にする措置だ。しかし、あろうことかその看板は、線路閉鎖の手続きもなされていない線路に立ち入るという、あってはならない行為によって設置されたものだった。
 これは、労働者個人に責任を押しかぶせて済む問題では断じてない。深刻なのは、JR東日本が昨年2月23日未明に川崎駅構内で起こした事故と同じ事故を再び繰り返しているということだ。
 川崎駅事故では、京浜東北線の回送電車と作業用車両が衝突し、回送電車が脱線・転覆した。この事故は、最終列車がまだ通過していない京浜東北線北行きの線路に、線路閉鎖の手続きも終わっていない段階で工事用車両を入れたことによって起きた。業務は6社もの下請け会社にばらばらに外注化され、指揮命令系統は寸断されて、大事故に至ったのだ。
 今回の事故でも、バラストを取り替える作業は外注化されていた。外注化で指揮命令系統は破壊され、労働者同士が意思を通わせることもできなくなった。線路閉鎖されていない線路に立ち入るという初歩的なミスは、それによって起きたとしか考えられない。
 事故が発生した鶴見―新子安間は、京浜東北線と東海道線、横須賀線が並走する区間だ。どの線路が工事の対象となっているかは、真っ先に全員に周知され、確認されなければならない事柄だ。だが、それさえ行われていなかった。
 また、すべての線路で最終電車が通過し終わらなければ、線路に立ち入らないというルールが適用されていれば、事故は防げたはずだ。だが、そうした措置はとられていなかった。安全を無視しても外注会社に仕事を急がせるJRの姿勢は、川崎駅事故後もなんら変わってはいない。
 川崎駅事故の後、JR東日本は「関係者間の指揮命令系統の明確化」「当社社員による工事施工立ち会いの強化」などの「当面の対策」を打ち出した。だがそれは、JR自身の責任は逃れた上で、下請けの労働者に責任を押し付けるものでしかなかったのだ。事故の全責任はJRにある。

転籍を強いる子会社再編

 外注化は安全を根本から破壊する。にもかかわらずJRは、一層の外注化に突き進もうとしている。そのために強行されようとしているのが、大規模な子会社再編だ。
 JR東日本は、千葉鉄道サービス(CTS)、水戸鉄道サービス(MTS)、高崎鉄道サービス(TTS)から駅業務を受託する部門を切り離し、7月1日にJR東日本ステーションサービス(JESS)に統合することを企てている。JESSは首都圏における駅業務受託専門会社として13年4月に設立されたJR東日本の100%子会社だ。この子会社再編で、CTSなどには、清掃と車両の検査・修繕部門しか残らなくなる。
 この過程で駅業務に従事するCTSなどのプロパー社員(直雇い社員)に対しては、「CTSに残れば清掃に行くしかない」という恫喝で、JESSへの転籍が強いられている。JESSでは昇給は生涯でたった3回しかない。それも数千円程度だ。転籍で労働条件は大幅に低下する。
 ついに転籍強要に踏み込んできたJRは、運転保安にかかわるものも含むすべての駅業務を外注化し、それを突破口にいずれは車掌や運転士に至る鉄道の全業務を外注化しようと狙っている。
 12年10月に強行された検修業務の外注化は、今年10月で3年を迎える。出向は原則3年とされている。その節目となる10月を前に、外注化との攻防はさらに激化する。
 国鉄闘争全国運動6・7集会を突破口に動労総連合建設をさらに強力に推進し、全国のJR職場から反合・運転保安闘争を巻き起こそう。外注化を軸とした第2の分割・民営化攻撃を粉砕しよう。韓国・民主労総、とりわけ鉄道労組と連帯し、日本のゼネストをなんとしても押し開いて、民営化に総反撃しよう。
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