とめよう改憲と戦争、つぶせ裁判員制度 5・19国会前行動―クレオ集会へ

週刊『前進』10頁(2680号06面01)(2015/05/04)


とめよう改憲と戦争、つぶせ裁判員制度
 5・19国会前行動―クレオ集会へ

(写真 4月10日の「新捜査手法反対」霞が関―新橋デモ  )


 5月19日、安倍の戦争法案を阻止する国会前行動と弁護士会館クレオでの集会に結集しよう。主催は、闘いの先頭に立つ「憲法と人権の日弁連をめざす会」と「裁判員制度はいらない!大運動」だ。「めざす会ニュース第157号」に掲載されたアピールを転載します。(編集局)

とめよう改憲と戦争、
つぶせ裁判員制度!
5・19国会前行動からクレオ集会へ
2015年4月24日
憲法と人権の日弁連をめざす会
(代表 弁護士・高山俊吉)

戦争は常に「自衛」の名で始められる

  安倍政権は、「存立危機」「重要影響」「国際平和共同対処」事態など、ことさらに人を惑わす語を振り回しながら、一連の戦争法案を国会に提出しようとしています。
 「昨年7月1日の集団的自衛権容認の閣議決定の基本方針に基づき」(自公合意)、自衛隊の活動を一挙に拡大する法制です。
 ときの内閣が、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」を認定すれば、「自衛の措置」と称して「武力の行使」つまり戦争行為をする。
 「周辺事態」という限定を取り払い、ペルシャ湾から地球の裏側まで、「国際社会の平和と安全」「他国軍隊の支援」「邦人救出」等の名目で、資源・市場・勢力圏をめぐる大国間の戦争に自衛隊が割り込むことが可能になる。
 自衛隊の他国軍支援だけは「国会の事前承認」と報じられていますが、「これは大した話ではない。安保法制の大筋の部分ではまったく譲っていない」というのが首相官邸幹部の談です(4・22『朝日』)。
●戦争は政治の延長
 あの侵略戦争に対する日本とアジアの人民の怒りは、革命(「国体」の廃絶)を怖(おそ)れた支配階級に憲法9条を強制しました。大前提は、近代以降の戦争は常に自衛の名のもとで行われてきた歴史です。「他国のための戦争反対」とは、この真実を直視しない、結局戦争翼賛に至るスローガンにほかなりません。
 安倍政権は「安全保障環境の悪化」と言い立てます。しかし、戦争は別の手段をもってする政治の延長である、という格言があります。私たちは「戦争に行きつく政治」そのものを、靖国参拝や尖閣諸島(釣魚島)問題のなかに見抜き、排外や国家主義を打ち破って戦争法案を葬りましょう。

戦争国家の弾圧体制「新捜査手法」

 「新捜査手法」法案はすでに国会に提出され、「一括採決」が企(たくら)まれています。特定秘密保護法とあいまって、かつての「治安維持法」体制を上回る戦争遂行の監視国家づくりです。同時に、刑事裁判を歪(ゆが)め、被告人の防御権を奪うものです。
 第一に、盗聴法の徹底的な改悪。全国の警察施設で警察官が立会人なしで盗聴できる。しかも、盗聴対象となる犯罪は詐欺・窃盗・傷害などを加え飛躍的に拡大。「犯罪予防」のあらゆる口実で、全市民社会の盗聴が可能となります。
 第二に、「司法取引」。捜査機関が、被疑者や被告人に対し自分の刑を軽くする代わりに「他人の刑事事件に関する事実」を明かすよう「取引」するという制度です。
 他人を売り渡すことを奨励し、権力が狙った人物に犯罪をでっち上げることが自在にできるようになり、弁護人も協力を求められます。さらに、「匿名証人」。被告人・弁護人に氏名や住所を明かさない証人を認める。警察署や検察庁からビデオリンクの証言が許され、おとり捜査官が身分を隠して嘘(うそ)の証言をすることも容易になります。
●取調べの「録音・録画」とは
 現在、取調べの録音・録画制度の導入が「可視化」として宣伝されています。しかし、これはあくまでも自白調書の任意性を検察官が立証するための手段でしかありません。
 被疑者・弁護人にとっては「完全黙秘」が最良の武器です。ところが、この「録音・録画」は、連日取調べが続こうとそのことは不問に付される仕組みであって、黙秘権の解体につながります。
●日弁連執行部の裏切り
 日弁連執行部は、昨年、この法案を「全面可視化の第一歩」と評価し、過半数に近い単位会と多くの弁護士の反対の声を無視して賛成しました。さらに、日弁連会長は、法案の国会上程直後の3月18日、「改革が一歩前進したことを評価し、改正法案が速やかに成立することを強く希望する」との声明を出しています。日弁連の会員弁護士と労働者人民に対する裏切り以外のなにものでもありません。
 この治安体制は、仲間どうしを疑心暗鬼に追い込み、人のつながりを破壊します。弁護士と人々の団結を固め現代の治安維持法案を阻みましょう。

裁判員制度は完全に破綻した

●「やりたくない」が87%に」
 寺田最高裁長官はこの新年の挨拶で、制度は「概(おおむ)ね安定した運用が積み重ねられている」と評価しました。だが、最高裁自身が1〜2月にかけて行った意識調査では、「参加したくない」が87%と、昨年からさらに1・8ポイント増加した。日本世論調査会が3月に実施した全国面接世論調査でも、「裁判員制度は一般社会に定着している」がわずか3%だった。出頭率の平均は1/4に近づき、1割以下のケースも頻発しています。
 圧倒的多数の民衆から拒否され、極少の権力に親和性を持つ人達によってかろうじて支えられている状況です。
 「国民の健全な社会常識を刑事裁判に直截(ちょくせつ)に反映させる」として導入された制度。重罰化は進み、検察の求刑を超える判決が施行前の約10倍となっています。施行前と比べ、無罪率は全体で2割超下がり、覚せい剤事件を除くとさらに大幅な低下です。
●破綻はもはや修復不能
 最高裁は2月、死刑を言い渡した裁判員裁判を取り消し無期懲役に変更した2件の高裁判決について、「裁判員裁判であっても先例から外れた判断をすることは認められない」として、高裁判決を支持しました。もはや制度破綻が修復不能であることの自認です。
 一方で、裁判員の精神的負担による急性ストレス障害、意識喪失などの被害は続出しています。裁判員に量刑の判断までさせるため、検察側が重罰を得ようと事件の残虐性の立証に励む結果です。この被害を減らそうと、証拠写真をイラストや模型で代用する動きがあります。しかし、科学的・機械的記録が建前である写真を、主観的評価の入ったイラスト等で代用できるはずもありません。裁判員の負担を口実とした証拠の制限とも相まって、証拠裁判主義も破壊されています。
 私たちは、裁判員制度は民衆動員を図る「現代の赤紙」、簡易・迅速・重罰化の戦時司法への転換であり、改憲攻撃であると訴え、即時廃止を呼びかけてきました。いよいよそのときです。
●勝利する道
 この「安保法制国会」は戦後史の分岐点です。改憲と戦争を許すのか。弁護士のあり方が曖昧(あいまい)さなく問われています。人権侵害と戦争に絶対反対で立ち向かうことが、私たち弁護士の気概であり魂です。全国3万5000弁護士の渾身(こんしん)の決起を!
 「労働運動を解体し、もって新しい憲法を床の間に飾る」という中曽根元首相の言は、裏側から私たちの勝利の道を示しています。世界恐慌下、「生きさせろ」と闘う世界中の人々、辺野古新基地建設阻止の全島ゼネストに向かう沖縄、安全崩壊に対決するJR労働者と固く連帯して進みましょう。韓国では民主労総80万組合員がパククネ打倒のゼネストに本日を期して突入しています。

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現代の治安維持法 〝盗聴、司法取引、証拠隠し〟を許さない
集団的自衛権関連法案(参戦法案)を阻止しよう
「現代の赤紙」裁判員制度を即時廃止へ
弁護士・弁護士会つぶしの「法曹有資格者」制度反対
■集会
 5月19日(火)午後6時30分開会
 東京・弁護士会館2階クレオ(千代田区霞が関1―1―3/東京メトロ丸ノ内線霞ケ関駅B1出口)
 ○講演 「戦後史の分岐点」
 森 英樹さん(名古屋大学名誉教授・憲法)
■国会前行動
 同日 午後3時〜4時(衆議院第2議員会館前)
 主催 憲法と人権の日弁連をめざす会/裁判員制度はいらない!大運動
 協賛 許すな!改憲大行動/現代の治安維持法と闘う会

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