原発事故避難者への帰還強制と被曝労働うち破る労組の闘いを 全産別で動労水戸に続こう

週刊『前進』06頁(2678号04面01)(2015/04/20)


原発事故避難者への帰還強制と被曝労働うち破る労組の闘いを
 全産別で動労水戸に続こう

(写真 4月10日夜、季節外れの冷たい雨を吹き飛ばす勢いで恒例の反原発金曜日行動が首相官邸前で闘われ、原発再稼働阻止・安倍打倒の声があふれた)

 安倍政権が福島圧殺攻撃の突破口と位置づける原発事故避難者への帰還強制攻撃が、とてつもない矛盾と破綻を深めている。これは日帝の生き残りをかけた原発再稼働・海外輸出と一体の攻撃だ。「被曝労働拒否をたたかう動労水戸支援共闘」を結集軸として、被曝労働の最前線に動員される福島の労働者階級の中に闘う労働運動を復権させることが待ったなしに求められている。4大産別を軸に、職場と地域に根ざした不抜の労組拠点を建設することが、福島圧殺攻撃を打ち破る分厚い階級的力関係をつくる。その中にこそ、原発労働者が自らの力で闘う労働組合を建設し、誇りと団結を取り戻す道がある。

仮設住宅すら奪われる楢葉への避難指示解除

 福島第一原発から20㌔圏内に位置する楢葉(ならは)町は、4月6日から7月5日までの3カ月間、「ふるさとへの帰還に向けた準備のための宿泊」と称して住民の夜間滞在を認める措置を開始した。避難指示解除と帰還強制の布石であり、全町避難自治体としては初の避難指示解除が狙われている。昨年の動労水戸の常磐線竜田延伸阻止の闘いと町民の反対に痛撃された松本幸英・楢葉町長は、「帰町宣言」という言葉を避けつつ、「(帰町の判断について)国にしっかりとした判断を行うよう求めておりますし、今後も訴え続けてまいります」と表明し、形ばかりの「復興事業」と引き換えに帰還政策の推進を政府に哀願している。
 一方で、住民の多くが要望している公営住宅の町外建設と仮設住宅暮らしの解消は遅々として進んでいない。実際に仮設住宅を訪ねると、「壁が断熱素材ではないので、夏は暑く冬は寒い」「壁が薄く、隣家の声や物音が気になる」「小さい子どものいる世帯は特に近隣に気を使って生活しなければならず、やむなくアパートに引っ越している世帯も多い」という声が聞かれる。
 仮設住宅の入居期限は現在では1年更新であり、更新されなければ住居すら奪われるのだ。住み慣れた土地と家を原発事故で奪われた上に、政府の進める帰還政策によって仮の住まいまでも奪われることに対し、強い怒りが渦巻いている。
 昨年の楢葉町民アンケートでは、「直ちに帰還を望む」という意見は全体の1割にも満たない。町民のコミュニティが破壊されたままの帰還など成立しないのだ。
 帰還強制の最前線に立たされる自治体・教育・インフラ労働者は「業務命令」で高線量地帯での被曝労働を強制される。実際、避難先・帰還先の二重の業務を抱え、極限的な過重労働の中で過労やメンタル疾患・大量離職が相次いでいる。闘う労働組合をよみがえらせ、団結の力でストライキを武器に被曝労働拒否を闘うことは、帰還強制を根底から粉砕し、共同性を復権する力となる。

国道6号と常磐道開通で「除染廃棄物」を搬入

 安倍政権は昨年の国道6号線の一般車両通行解禁に加え、今年3月1日には高速道路・常磐自動車道の全線開通を強行した。これは双葉・大熊町への建設が強行されている中間貯蔵施設への除染廃棄物の搬入経路として使われる。
 福島第一原発の敷地内に入場する車両は一定の基準の線量管理のもとで運用されているが、その脇を通る6号線は完全にフリーパスで一般車両が通過している。高線量地帯を通過する車両の被曝にとどまらず、放射性物質が付着した車両が汚染を拡大させる。
 6号線と常磐道は福島第一原発で働く労働者にとっての重要な通勤ルートでもある。現在でも朝晩の6号線は原発労働者の車両で渋滞している。原発で不測の事態が起こった際の「生命線」でもある道路を、一般車両が何の制限もなく通過していることの危険もある。
 福島第一原発以北に位置する、常磐線相馬―原ノ町駅間の列車は、相馬―浜吉田駅間が現在も不通のため、仙台車両センターに列車を入れることができない。そのため、JR水戸支社の勝田車両センターの労働者が出張して車両の検査を行っている。JR東日本は、6号線と常磐道の開通に伴って、危険回避のための迂回(うかい)路をやめて常磐道・6号線の使用を指示してきた。すべて、2020年東京五輪に向けて原発事故を「なかったこと」にするためである。

常磐線全線開通による被曝労働の拡大許すな

 昨年の動労水戸の常磐線竜田延伸阻止闘争は、原発事故避難者の圧倒的な支持を得て、原発労働者・除染労働者との結合をかちとる原動力となった。それは労働組合の「命・安全・地域」を守るための闘いが、全人民をひとつに団結させられることを証明した。その力関係が、原発再稼働と福島切り捨てを策する安倍政権を万力のごとく締め上げている。
 追いつめられた安倍政権は、3月10日、「常磐線全線開通」を政府方針として決めた。小高―原ノ町間(9・4㌔)は16年春まで、浪江―小高間(8・9㌔)は17年3月まで、竜田―富岡間(6・9㌔)は18年3月までの開通をそれぞれ目指すとしている(上図)。
 これを受けてJR東日本は、除染労働と同等の「除染電離則」を適用しての線路・施設補修作業に着手し、下請け労働者も含めた被曝労働を拡大しようとしている。これに対して、国労に至っては、わずかな「手当」が出ることを成果だと主張している。
 4月3日のJR北海道・青函トンネル内列車発煙事故、4月12日のJR東日本・山手線電化柱倒壊事故など、外注化による重大事故が続発している。外注化と闘わない労働組合が被曝労働と原発再稼働を推進しているのだ。
 今こそ動労水戸の被曝労働拒否の闘いをあらゆる職場・産別に大胆に持ち込み、被曝労働強制との闘いを組織しよう。資本主義体制の存続を前提とする体制内勢力を粉砕し、内部被曝を許さず、動労水戸・ふくしま共同診療所という被曝労働と闘う拠点を結集軸に、安倍政権への全人民の怒りをひとつにする時だ。  一切の闘いを、拠点建設と党建設に結実するものとして意識的に闘い抜こう。動労総連合を全国に建設し、JR体制を打倒することが、プロレタリア世界革命に向けた日本労働者階級の歴史的使命である。
(革共同茨城県委員会)
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