戦時司法への大転換を狙う「新捜査手法」法案を葬ろう 革共同救援対策部

週刊『前進』06頁(2675号06面01)(2015/03/30)


戦時司法への大転換を狙う「新捜査手法」法案を葬ろう
 革共同救援対策部


 3月13日、安倍政権は司法取引、証人隠蔽(いんぺい)、取り調べの録音・録画を新たに導入した「刑事訴訟法」と、盗聴を拡大するための「盗聴法」の大改悪を閣議決定し、国会へ提出した。上川法相が「時代に即した新たな刑事司法を構築するもので、速やかに成立させたい」とあけすけに語っているように、この法案は、日帝の危機の深化、戦争の時代への突入の中で、警察や検察の捜査(弾圧)や、刑事裁判のやり方を戦時型へと根底的に変え、国民総動員ができる戦争国家への大転換を狙ったものである。法案の成立を絶対に許すな。4・10緊急デモ(正午/日比谷公園霞門集合)に決起しよう。

盗聴やり放題、司法取引で党と労働組合の解体狙う

 攻撃の核心は、革命党、労働組合、人びとのつながりや集合体の組織を破壊することにある。そして反戦・反核闘争、労働運動、人権運動などの闘いを圧殺することにこそある。
 第一に「盗聴法」の改悪で、盗聴できる対象「犯罪」を飛躍的に拡大させようとしている。1999年に成立が強行された「盗聴法」は、反対運動の高揚によって薬物や銃砲刀剣など四つの「犯罪」類型に限られていた。それを今回は、傷害、窃盗、詐欺などを含む9類型を加え、ほとんどすべての事件に盗聴対象を拡大した。
 さらに、盗聴する場所は警察施設内でも可能とし、通信事業者の立ち会いなしで行えるようにし、警察がやりたい放題盗聴できるように改悪しようというのだ。
 国家権力は労働者階級人民の団結を最も恐怖している。盗聴の拡大は、警察が人びとの会話を盗み聞きして情報を収集し、あらゆる組織・団体への監視・弾圧が目的だ。
 第二に「司法取引」の導入である。
 これは、逮捕された被疑者や起訴された被告人が、警察や検察に他人の「犯罪」を密告すれば、検察官が不起訴にしたり、刑を軽くすることを約束する制度である。まさに、仲間や友人を国家権力に売り渡すことを奨励するもので、究極の団結破壊である。また、国家権力がターゲットにした人間をデッチあげるための不正きわまりない弾圧手法となる。
 戦後司法とは、公正や公平性、人権保障などを大前提にして成り立ってきた。「新捜査手法」とは、そうした建前もかなぐりすて、国家暴力をむき出しにしたダーティーな弾圧手法を法制化しようとするもので、戦時司法への転換そのものだ。
 第三に、匿名(とくめい)証人=証人隠しである。証人が拒めば、その証人は自らの名前も住所も明らかにする必要がなくなる。また出廷して証言することを拒めば、別の場所(警察署や検察庁でも)から、ビデオリンクによって証言することができるのだ。
 「司法取引」と「匿名証言」を重ね合わせれば、潜入捜査やおとり捜査に手を染めた警察官が身分を隠してデッチあげ証言することも可能になる。

取り調べの録音・録画は「捜査権」強化と完黙解体

 第四に、取り調べの録音・録画である。日弁連執行部や体制内勢力は、これがあたかも冤罪防止になるとか、強制的な取り調べの抑止になるなどと評価しているが、まったくそうではない。
 そもそも、取り調べの録音・録画は、2000年来の司法改革攻撃の流れにあるもので、警察庁も法務省も最高裁も実施を進めている。盗聴拡大や司法取引と一体の「捜査権」の強化であることは明白だ。
 今年の3・11福島行動を前に、反原発のビラまきをしていた学生を傷害事件をデッチあげて逮捕したり、京大同学会書記長であることを理由に作部羊平君を逮捕・起訴したように、国家権力はデッチあげ逮捕や政治弾圧を激化させている。また、代用監獄制度のもとで20日間もの長期勾留を強制し、その間、取り調べと称する転向強要や供述を強制しているのだ。
 この国家権力の違法・無法な弾圧と、人権無視の制度をそのままにして取り調べの録音・録画をすれば適正な取り調べになり、冤罪がなくなるなどというのは偽りだ。
 さらに、録音・録画は供述することが前提になっている。「真実の自白をさせるために」導入するのだと言われているとおり、完全黙秘の否定・解体につながることは明白である。
 今回の録音・録画の導入は裁判員裁判と検察官の独自捜査の事件のみで、全事件の2〜3%といわれている。しかも裁判で証拠として出すのは、供述場面だけでいいことになっている。要するに、裁判員裁判の簡略化・迅速化を一層促進するために、裁判で「供述」の信用性を争うことをなくし、録音・録画の提出だけで済ませてしまえというものだ。まさに、国家権力の刑罰権を強化するためのもの以外の何ものでもない。
 こうした戦時型治安体制への転換攻撃は、帝国主義の危機、その延命形態である新自由主義の破綻の現れだ。むき出しの国家暴力でしか階級支配ができない支配階級の脆弱(ぜいじゃく)性と不朽性・凶暴性への広大な怒りを結集させ、治安弾圧の激化を打ち破ろう。

完黙・非転向の貫徹こそ治安弾圧を粉砕する道だ

 動労千葉、動労水戸は外注化・非正規職化、労働組合破壊攻撃と不屈に闘いぬき、階級的労働運動を前進させている。労働者階級の「生きさせろ」の怒り、フクシマ・沖縄の怒りは根底的だ。全学連は法大闘争での126人の逮捕に全員が完黙・非転向で闘い、暴処法弾圧裁判では無罪を確定させ、戦争・改憲攻撃と最先頭で闘っている。
 星野文昭同志は40年間の獄中闘争を非転向で貫いて、100万人民との結合へと奪還闘争を大前進させ、迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判被告団は28年間、不屈の裁判闘争で日帝・最高裁―寺田体制と真っ向から対決している。
 さらに「憲法と人権の日弁連をめざす会」は、司法改革攻撃=日弁連解体攻撃と絶対反対で闘い続けて司法改革攻撃を破綻させている。「救援連絡センター」は、完黙を原則とした救援運動で45年間、国家権力の弾圧との闘いの中心に存在し続けている。新たな陣形で戦争国家化と闘う「現代の治安維持法と闘う会」が結成され、直ちに最先頭に躍り出ている。
 完黙・非転向と階級的団結の拡大で治安弾圧を粉砕しよう。完黙・非転向は国家権力の違法・不当な弾圧に対して、自らと仲間と組織を守る闘いである。さらに国家の危機と国家犯罪を大衆的に暴き、戦争と改憲攻撃と対決する労働者階級人民の怒りを広大につくり出していく闘いである。完黙・非転向こそ、弾圧と闘う労働者階級人民の最大の武器であり、勝利する道だ。あらゆる治安弾圧を粉砕して前進しよう。
 「新捜査手法」導入法案への怒りを大結集して闘おう。安倍政権は今国会で戦争法案の審議を前に、法案を早期に成立させることを狙っている。日弁連も3月18日、「改革が一歩前進したことを評価し、改正法案が速やかに成立することを強く希望する」なる会長声明を出した。司法改革攻撃に屈服し変質・腐敗した体制内勢力の姿であり、徹底的に弾劾する。
 「現代の治安維持法と闘う会」は、4月10日(金)の緊急デモを広く呼びかけている。また、4月4日の「救援連絡センター」総会もきわめて重要だ。「新捜査手法」絶対反対と完黙の原則を鮮明に、戦時型治安弾圧と全力で闘おう。安倍政権の戦争と改憲を阻止しよう。

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