社会保障解体を許すな <保育> 保育所・幼稚園の統廃合と民営化で安全崩壊が深刻
社会保障解体を許すな <保育>
保育所・幼稚園の統廃合と民営化で安全崩壊が深刻
■4月から新制度導入
4月からの子ども・子育て支援新制度導入を前に、保育所・幼稚園の統廃合・民営化と非正規職化が進み、いっそう深刻化する安全崩壊の現実に怒りが広がっています。
名古屋市は園舎建て替え費や公務員の削減を掲げて、19年度までに公立保育所を118園から78園に減らす計画です。市内を1~2中学校区ごとに78のエリアに分割し、保育士が子育て中の親の相談にエリアを回るとしています。医療・介護、福祉など社会保障施設を統廃合し民営化する「地域包括ケアシステム」の攻撃と一体です。そこから外れる40園は閉鎖か民間譲渡され、職員には大量解雇と今以上の労働強化が襲いかかります。
横浜市も公立保育所86園のうち54園を「ネットワーク事務局園」に指定し、「待機児童ゼロ」と称して急造される新設の民間保育所を下支えし、公立が培ってきたノウハウを伝えていくとしています。しかし現場からは「予算も職員も減らして役割を果たせるのか」という不安と怒りの声が上がっています。
民営化の攻撃も全国で一気に進んでいます。
仙台市は4月から認可保育所6園の運営を株式会社に委託し、東京・板橋区も15年度中に新たに株式会社が運営する認可保育園を7園開く予定です。京都市は認可保育所260園のうち1割以下に減った公立保育所の民間移管の新たな計画を発表しています。公立保育所を最後的に一掃する攻撃です。
■小規模保育が乱立
新制度で0~2歳児の定員6~19人の小規模保育や、企業が従業員用に開設している事業所内保育施設も認可されることになります。園庭もなくマンションの1室を使うだけの民間施設の広告が街にあふれています。
都内のある小規模施設は正職員の保育士が3人、補助職員が4人。週6日を常時4人態勢で回すために休暇も取れず、事業者は職員を増やす余力もありません。責任者は「大規模な施設なら人繰りがつきやすいが、小規模はかなり厳しい」と話しています。
■夜間保育で事故激発
人員不足と非正規職化、コスト削減で、保育の安全崩壊はいよいよ深刻です。信じられないことが多発しています。
宇都宮市内のある認可外保育施設では人手不足で子どもが毛布にくるまれ縛られたまま放置され、昨年7月には生後9カ月の乳児が宿泊保育中に死亡しました。郡山市でも10年に同様の事故が起こっています。別府市では園児を夜間にベッド下の収納スペースに閉じ込めたり、ひもでつないだりしていたことが報道されました。どれも夜間保育中のことです。
すべてが現場労働者の責任にされています。そうではありません。問題は民営化・非正規職化、人員削減で、労働環境がこれほどまでに破壊されているということです。
安倍は休日・夜間保育を推奨し、「24時間保育」をうたう保育所も増えています。子を持つ親も、休日・夜間を問わず低賃金ゆえのダブルジョブ・トリプルジョブで働き続けろということです。「残業代ゼロ・過労死促進」法案とともに8時間労働制の解体であり、子どもを産み育てる条件はいよいよ奪われることになります。
これが安倍や経団連、連合が唱える「経済の好循環」「労働生産性向上」の本質です。
■戦略特区で追加緩和
政府は国家戦略特区の追加規制緩和法案を国会に提出します。保育士不足対策と称し、地域限定保育士の試験を政令指定都市でも認め、3年間はそこでしか働けないが、その後は全国で通用する資格とするというのです。資格なしの「子育て支援員」導入とともに、保育士資格制度を解体し総非正規職化して労組を破壊する攻撃です。
民営化・非正規職化は事故を激発させます。新自由主義は鉄道とともに保育の安全も社会全体も崩壊させています。国鉄決戦と結合し、保育所で働く全労働者の怒りと団結、職場からの決起が始まっています。それは戦争と民営化・労組破壊に突進する安倍を打ち倒す闘いです。
(大迫達志)