日本郵政社長西室を座長に超反動的な懇談会 「安倍70年談話」粉砕へ
週刊『前進』06頁(2673号04面04)(2015/03/16)
日本郵政社長西室を座長に超反動的な懇談会
「安倍70年談話」粉砕へ
2月25日、安倍が8月に出すとしている「戦後70年首相談話」を検討するための私的諮問機関「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」(略称・21世紀構想懇談会)の初会合が行われた。
極右安倍人脈を多数集めて
懇談会のメンバーは安倍が指名した16人で構成(表参照)され、座長に日本郵政社長の西室泰三が、座長代理に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の座長だった北岡伸一が互選された。その他、安倍の最も親しい極右イデオローグの中西輝政や元防衛大学校長・西原正など安倍人脈が多数含まれている。中西は、かつての戦争を「民族の栄光」(ヒトラーの言葉だ!)などと「賛美」して恥じない正真正銘の極右ファシストだ。「戦後70年新談話」の狙いは、言うまでもなく、かつての戦争や「植民地支配と侵略」に対する「痛切な反省」と「お詫(わ)び」を明記した1995年村山談話(および旧日本軍軍隊「慰安婦」について「お詫びと反省」を明記した93年河野談話)を清算することにある。日帝が「自衛のため」「国の存立のため」と称して再び戦争に突き進んでいくためには、かつて「満蒙(まんもう)は日本の生命線」とか「帝国の自存自衛のため」と掲げて行った一連の侵略戦争を居直り、歴史を歪曲して正当化することが不可欠なのだ。それは戦後の労働者階級人民が闘いの中で連綿と継承してきた「二度と戦争を許さない」という決意に対する許し難い挑戦であり、重大なイデオロギー攻撃である。
だがこうした安倍の策動は、対米関係においても、アジア諸国との関係においても、日本と世界の労働者人民との関係においても巨大な矛盾を爆発させずにはおかない。
米・中・韓との矛盾は危機的
西室、北岡、中西らを動員した安倍の「戦後70年談話」策動は、米帝、欧州帝、中国・韓国などアジア諸国との対立を激化させ、日帝の大恐慌下での国際的孤立化を一層深めるものだ。もともと反米極右の安倍は村山・河野談話を一貫して憎悪し、これらを政府見解から撤廃することを狙ってきた。
だがその動きに対し、2013年1月に米紙『ニューヨークタイムズ』の社説が「(談話見直しは)安倍氏の恥ずべき衝動的行為」と批判したのを皮切りに、安倍の歴史修正主義は国際的な非難の的となった。さらに同年4月、安倍が「(村山談話を)安倍内閣としてそのまま継承しているわけではない」「侵略の定義は定まっていない」などと発言すると、国内外から激しい弾劾の声が上がり、米議会調査局も安倍を「歴史修正主義者」と規定した。
この事態に焦った安倍は「村山談話を全体として継承する」と苦しまぎれに訂正せざるをえなくなった。以後、今日まで安倍は同じコメントを繰り返しているが、「全体として継承する」と言いつつ実際にはまったく異なる新談話を出すことで、「結果として過去の談話は骨抜きになる」(首相特別補佐官・萩生田光一)ことを狙っているのは明らかだ。
何より日帝の危機は、国鉄闘争を先頭とする階級的労働運動を解体できず、労働者人民の渦巻く怒りの声に包囲されたまま今日の大恐慌を迎え、戦争に突入せざるをえなくなったことにある。ここに敗戦から70年を迎える日帝の歴史的破産が刻印されているのだ。
今春〜夏に向けて安倍の戦争策動への全人民的な怒りと闘いは、戦後史を画する規模で必ず爆発する。その中心に闘う労働組合が登場することが求められている。
3月闘争の勝利の地平を打ち固め、全国から3・29三里塚闘争へ結集しよう。そして「動労総連合を全国に」の闘いを基軸に4月統一地方選に勝利しよう。5〜6月安保国会決戦の爆発へ攻め上ろう。
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「21世紀構想懇談会」メンバー
西室泰三 日本郵政社長北岡伸一 国際大学学長
飯塚恵子 読売新聞米国総局長
岡本行夫 元外交官
川島真 国家安全保障局顧問
小島順彦 三菱商事会長
古城佳子 東大大学院教授
白石隆 政策研究大学院学長
瀬谷ルミ子 紛争予防センター理事長
中西輝政 京都大学名誉教授
西原正 元防衛大学校長
羽田正 東大副学長
堀義人 グロービス経営大学院学長
宮家邦彦 元外交官
山内昌之 明治大学特任教授
山田孝男 毎日新聞政治部特別編集委員