関西全域を破滅させる大暴挙 高浜原発再稼働阻止を

週刊『前進』06頁(2672号04面02)(2015/03/09)


関西全域を破滅させる大暴挙
 高浜原発再稼働阻止を


 原子力規制委員会は2月12日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働に向けた「審査書」を正式決定した。再稼働は「夏以降」や「11月」と報道されている。絶対に許せない。安倍と規制委が鳴り物入りで進めてきた九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働策動は労働者人民の怒りで立ち往生状態だ。さらに怒りを爆発させ、川内原発、高浜原発の再稼働を阻止しよう。

「原発銀座」で大事故が発生すれば破局だ

 原発は燃料のウランの採掘から使用済み燃料の「処分」までのすべての過程で被曝労働を不可避としており、人類とは絶対に相いれない。さらにいったん事故が起これば、被害は計り知れない。4年前の福島原発事故は収束のめどもたたないのが現実だ。いまだ13万人もの労働者人民が避難を強制され、現在、疑いも含めて117人の子どもが甲状腺がんであることが判明している。福島のとてつもない現実を前に、原発の再稼働など到底許されない。
 高浜原発で事故が起これば、被害は地元福井県だけでなく、京都府、滋賀県、岐阜県にまで及ぶ。関西1450万人の水がめである琵琶湖が放射能で汚染されれば関西圏全体に壊滅的な被害がもたらされる。
 また、高浜原発のある福井県の若狭湾沿岸は「原発銀座」と呼ばれる。高浜を始め、大飯、美浜、敦賀の4原発と高速増殖炉「もんじゅ」を合わせ、計14基の原発が立ち並ぶ原発密集地帯だ。どれか一つでも大量の放射性物質を放出する事故を起こせば他の原発からも撤収せざるをえなくなり、破局的な事態となる。それは絵空事ではない。3・11福島では福島第一原発が制御不能となり、南に約10㌔離れた福島第二原発や、さらに南隣にある茨城県の東海第二原発も放棄せざるをえなくなる寸前にまで至ったのだ。
 福井県で原発事故の連鎖が起きれば、日本だけでなく東アジア、世界中を高濃度の放射能で汚染する超大惨事となる。

避難させずに被曝を強制する「避難計画」

 安倍政権は昨年10月、内閣府に原子力防災を担当する部署を新設した。「50人体制で13の立地地域で広域避難の調整や支援にあたる」としており、福井県にも1月に職員7人を派遣した。
 各自治体が「避難計画」を作成する際の指針となるのが「原子力災害対策指針」(規制委員会が2012年に作成、その後3度改定)である。この対策指針にこそ安倍や規制委員会の言う「避難」なるものの本性が示されている。対策指針は、「原子炉格納容器の障壁が喪失」するような大量の放射性物質が放出される事態になっても「避難の準備」を指示するだけで、避難指示は出さないとしている。労働者人民を〝避難させずに被曝を強制する〟極悪の計画だ。
 その上で、京都府舞鶴市が2013年3月に作成した「避難計画」を批判する。
 高浜原発のすぐ南西に位置する舞鶴市はほぼ全域が高浜原発の30㌔圏に入り、8万数千人が生活している。福井県内で同じく30㌔圏に入る4市町の合計5万数千人よりも多い。
 舞鶴市の計画はまず、「国の指示に基づき」「指示」を行うとして、国の指示に忠実に従うと宣言している。市民を避難させず、被曝させることをいとわないということだ。
 その上で、最大の問題は要介護者や入院患者の避難など絶対に不可能なことだ。以下、舞鶴市の「計画」を見てみる(数字は2012年4月1日現在)。
 舞鶴市の「福祉施設(入所施設)は41施設、合計1394人。「病院等施設」は18施設、合計1693床。事故が発生した場合、これだけの要援護者を避難させることが必要となる。さらに35の「福祉施設(通所施設)」に通う合計1019人の避難も必要だ。これらの人たちの避難には救急車や介護者用車両が必要だ。それだけの車両など準備できないのはあまりにも明白だ。また、市内の保育所、幼稚園は35園、合計3029人。小中学校は25校、合計7665人。子どもたちの即時避難も不可能だ。市の計画は、とりわけ放射能への感受性の強い子どもたちへの被曝強制そのものだ。
 避難には最大2千台のバスが必要と見積もられているが、市内のバス会社が保有するのは約80台だ。これでどうやって避難するのだ。市の担当者は「避難計画は一応形にはなっているが、課題は山積だ」と語っているが、「形」にもなっていない。机上の空論ですらない。舞鶴市や高浜市を始めとする地元では「わしらは見殺しにされる」という、生きるためのぎりぎりの怒りと闘いが沸き起こりつつある。
 日帝・安倍がここまでして原発の再稼働にしがみつくのは大恐慌の「恐慌の中の恐慌」への突入と、中東侵略戦争参戦下で、原発の輸出と核武装を進めるためだ。
 特に高浜3号機、中国電力伊方原発3号機(愛媛県)などはプルトニウムを燃料として使うプルサーマル発電であり、この再稼働は2018年の日米原子力協定の改定を見すえ、プルトニウム確保を死守するためのものだ。

職場生産点から動労水戸のように闘おう

 地元の人たちの切迫した危機感・深い怒りと結びつき、再稼働を阻止する力は労働組合の闘いにこそある。動労水戸の「被曝労働拒否」「常磐線の延伸阻止」の闘いは原発労働者、除染労働者を始めとした労働者と結びつき、福島圧殺攻撃と闘い、再稼働を阻止する闘いだ。動労水戸に学んで闘おう。
 原発事故の際、原発労働者とともに被曝を強制されるのは地元の自治体、教育、交通運輸労働者などだ。だからこそ自治体、教育、交通運輸の労働者は「被曝労働拒否」「再稼働反対」で闘おう。組合丸ごとの闘いをつくり出そう。そうすれば再稼働を阻止し、すべての原発をなくすことができる。
 3・11反原発福島行動'15(郡山市)に全国から結集し、さらに3・15動労水戸支援共闘結成集会を大成功させよう。その力で労働組合の強固な団結をつくり上げ、川内、高浜原発の再稼働を必ず阻止しよう。
(北沢隆広)
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