福島原発事故の現状 原発現場に労組をつくり被曝と労災なくす闘いを 3・11郡山―3・15上野集会へ
週刊『前進』08頁(2670号04面02)(2015/02/23)
福島原発事故の現状
原発現場に労組をつくり被曝と労災なくす闘いを
3・11郡山―3・15上野集会へ
2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所事故から4年目の3・11を迎えようとしている。今年の3・11反原発福島行動は、日帝・安倍の中東参戦と原発再稼働、フクシマの怒りを圧殺し被曝を強制する帰還強制攻撃との大決戦だ。原発労働者の決起と連帯し、被曝労働拒否の階級的労働運動の発展をかちとり、全原発廃炉に攻め上ろう。
労災事故死が多発する福島原発事故現場
東京電力の原子力発電所では1月下旬、下請け労働者が2人死亡、1人が重症という重大労災事故が相次いだ。福島第一原発では1月19日にタンク天井部から釣幸雄さん(55)が内部に転落して翌日に死亡が確認された。福島第二原発では同20日に新妻勇さん(48)が頭部を挟まれて死亡した。さらに柏崎刈羽原発では同19日に労働者が通路から転落して大けがをする事故が発生した。これら重大労災事故が2日の間に立て続けで起こったことに驚きあわてた東電は、20日午後に緊急記者会見を行った。だが廣瀬直己社長は出席せずに逃げ回り、東電は「基本動作を徹底しろ。気を引き締めろ」などと言って、責任を現場労働者に押し付けた。
福島第一での労災事故の発生状況は東電発表資料によると以下のとおりだという(左図参照)。
東電は建設中の雨水受けタンクの検査を行おうとしたが、タンク内が暗かったことからタンク天板部より太陽光を入れるため釣さんが一人でタンク上部へ登り、天板部にある重さが51㌔もあるマンホールの蓋を動かしたところ、マンホールの蓋とともにタンク内へ墜落(高さ約10㍍)したというものである。
福島第一では全面マスクで視野が狭く、タイベックという防護服を着用して作業がしづらい労働環境にある。にもかかわらず、一人で10㍍の高さのタンクに登り50㌔以上のマンホールの蓋を開ける指示をしたことが今回の事故の直接の原因だ。
そもそも2㍍以上の高所作業については労働安全衛生規則の第518、519条で、足場を組み立てる、網を張る、囲い、手すりなどを設置することが規定されている。そしてそれが著しく困難な時には安全ベルトを使用するとなっている。
福島第一の事故では安全ベルトを使用していなかったという。東電はこれをもって労働者の責任にしようとしている。だが安全ベルトは最後の手段だ。マンホールの蓋は斜めにすれば落ちる長方形だった。円形なら落ちなかったはずであり、構造的な欠陥があったということだ。その上で開口部には囲いや手すりを設置する必要があったが、それもなかった。安全ベルトを使用していなかったのは一人で作業をやらせた東電の責任だ。
福島第二も柏崎刈羽も安全の基本が守られていなかったのが原因だ。東電は東日本全体を巻き込む大事故を起こしておきながらなんら反省せず、労働者の命をないがしろにする違法企業なのだ。
これらの労災事故激発の背景にあるのは、追い詰められた東電が第一原発の労働者数を激増させ、そのしわ寄せが他の原発にも来ているということだ。福島第一原発では一昨年12月に約3400人だった労働者数が、昨年12月には約7千人に倍増し、入出所時にはラッシュになるほどだという。工程表を守ることが優先され、安全が無視されているのだ。
汚染水放出を公言する規制委員会許すな
原子力規制委員会は1月21日に行われた定例会合において、約1千基のタンクに保管する汚染水を「5年以内に最終処分する必要がある」との方針をまとめた。これは汚染水の海への放出を想定したものだ。怒りをもって弾劾する。しかもこの場で規制委の田中俊一委員長は、福島第一原発での作業員死亡事故の原因が、処理水を海洋放出しないでタンクを増やしているからだなどと東電を免罪して話をすりかえ、世論に迎合せず海洋放出してタンクを増やさないようにすべきだと発言した。
会場からは「海洋放出許せない」の声が上がったが、田中委員長は「人が死んでもか」と言い返したという。東電ですら言い出せないでいる汚染水の全面的な海洋放出を居丈高に主張する田中を絶対に許すな。
被曝労働拒否し安全闘争で断固闘おう!
福島第一原発事故は、汚染水対策一つをとってもまったく収束の展望がない。原発事故収束の鍵を握るのは原発労働者だ。その決起と合流した動労水戸の被曝労働拒否の闘いは世界史に例をみない画期的な闘いだ。原発で続発する労災事故を防ぐ力はどこにあるのか。それは安全問題を基本にすえた動労千葉の反合・運転保安闘争から学び、労働組合を組織し原発労働者の誇りを取り戻すことの中にある。
3・11郡山闘争、3・15動労水戸支援共闘発足集会(東京・上野)への総決起をかちとり、原発労働者の労働組合への巨大な結集を実現しよう。
(城之崎進)