「地域包括ケア」うたう医療・介護の統廃合・営利化に協力 2・21〜22自治労地域医療全国集会 安倍の手先=本部打倒を
「地域包括ケア」うたう医療・介護の統廃合・営利化に協力
2・21〜22自治労地域医療全国集会
安倍の手先=本部打倒を
2月21〜22日、新潟市内で自治労地域医療全国交流集会が開催される。安倍政権は、戦争・改憲への突進と一体のものとして、医療と介護の解体、統廃合と全面民営化に出てきた。大量解雇と労組破壊の階級戦争であり、現場の怒りを爆発させて闘う正念場である。安倍の手先となって全面協力する自治労本部を倒し、絶対反対の闘いを繰り広げよう。
「財政再建」「超高齢化」を口実に医療と介護を破壊
安倍政権は14年6月に医療介護総合確保推進法を成立させたのに続き、「医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築」を掲げて、福祉と社会保障の解体、営利化に踏み出した。音頭をとるのは「地域包括ケア研究会」を設立して進めてきた三菱UFJグループなど金融資本だ。最大の重点として医療・介護の統合と病床削減を進め、入院から在宅へ、医療から介護へ、公的介護から「自助努力」とボランティア・市場任せへ、大転換させようとしている。
この攻撃に合わせて、自治労本部は今回の地域医療全国集会で、厚生労働省の官僚や日本看護協会の幹部、学者らを講師に「地域包括ケア」をうたい上げ、現場の怒りを封じて安倍に全面協力しようとしている。
公立病院が消滅
総務省は15年度から、「財政支援で公立病院の統廃合を促す」として、統廃合に伴う工事費には約40%を支援する。一方、その他は20%に下げ、その上、病床数に応じて配る分も減らす。総合病院建設で20億円以上の差が出る。予算で締めつけて統廃合を進めるのだ。
さらに新会計基準が適用され、黒字病院でも一気に赤字とされる。本来、採算性を基準とすべきでないにもかかわらず、資本の論理で公立病院が消えていく。
富山県氷見市民病院や新潟県阿賀野市立水原郷病院、千葉県銚子市立病院などで何が起きたか。指定管理者制度の導入や民間譲渡で「経営効率」が最優先され、分限免職と非正規職化、労組破壊と極限的な労働強化で、離職者がとまらない。
病院統廃合は地域の切り捨てに直結する。安倍の「896自治体消滅」を振りかざした攻撃に対して、動労千葉のように労働組合が先頭で絶対反対の闘いを繰り広げることが求められている。
施設から在宅へ
2月6日、厚労省は4月から介護報酬を2・27%(試算で2234億円)削減する。特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、デイサービスの報酬を減らす一方、在宅での医師や看護師、介護職員らの連携に加算し、随時巡回サービスや訪問介護を増額して、「施設介護から在宅へ」暴力的に転換させようとしている。
すでに「老健わたり」と呼ばれる高齢者が増えている。自宅で暮らせず特養にも入れずに転々と渡り歩かざるをえないのだ。厚労省は退所を一層促し「在宅復帰」率が高い老健に報酬を増やす。
事業者の撤退や労働条件の悪化がさらに進む。介護職員の賃金を「月1万2千円アップさせることを目指す」とするが、その空論性と同時に他の職員との分断であることに怒りが広がっている。
新自由主義政策に対する幻想ふりまく自治労本部
14年6月、医療介護総合確保推進法の成立に当たって、なんと自治労・衛生医療評議会本部は「自治労の考えとおおむね一致している」とまで言い切った。10月10日、塩崎恭久(しおざき・やすひさ)厚労相を本部長に、医療介護改革推進本部が設置された。「人口減少・超高齢化社会」に対応した地域包括ケアシステムの構築と医療保険制度改革が掲げられている。その厚労省保険局総務課長が今回の集会の講師だ。自治労本部がいかに政府と癒着し一体化して進めようとしているか明らかである。
衛生医療評議会発行の14年9月1日付「めでぃかりニューす」は、〝団塊世代が75歳以上となる2025年に向けて、官民を問わないさらなる統合・再編、ネットワーク化、経営形態見直しが行われようとしている〟と論じた。10月1日付では、地域包括ケアシステムについて「自治労が目指してきた『健康なまちづくり』そのもの」であり、「『その人らしく幸せに生きて、満足して死ねる』QOD(死の質)に向けて何をなすべきか」と絶賛している。
安倍は、福島第一原発事故などなかったかのように言いなして、被曝を強制し続けている。集団的自衛権行使の7・1閣議決定の上に、「イスラム国」壊滅戦争の「有志連合」に加わって資金提供し、2人の人質を殺させて中東参戦に突き進んでいる。その安倍に協力して新自由主義による医療と介護の破壊に掉(さお)さすことがどうして「健康なまちづくり」であり「幸せに生きて満足に死ねる」ことにつながるというのか。
集会の「病院財政と労働組合」分科会では、安倍の「財政健全化」攻撃と同じ立場から病院再編と経営体質の強化を主張し、「病院食」分科会では、職場がなくなる統廃合と真っ向から闘うことを否定するために〝安心・安全・おいしい食事は委託会社でもできる、直営のメリットを大いに出していかないと生き残っていけない〟と「働こう」運動を叫んでいる。
まさに労働組合の死であり、産業報国会への道である。現場の怒りを爆発させて、闘う労働組合を再生させる中にこそ労働者の未来はある。
民営化・首切り絶対反対の闘いを巻き起こそう!
大恐慌と戦争に行き着いた新自由主義は、社会全体の崩壊をもたらした。攻撃にさらされているのは、首を切られ、極限的な過重労働と非正規職化を強いられる現場労働者であり、切り捨てられる住民だ。
大恐慌も国家財政破綻も、少子・高齢化、人口減少も労働者の責任ではない。すべては新自由主義が社会の再生産構造すら破壊するところまで奪い尽くしてきた結果だ。
この新自由主義のもとで人びとが幸せに暮らせるなどという幻想を振りまくことほど犯罪的なことはない。資本の支配を倒して労働者階級が権力を握り、生産力と生産手段を奪い返すことで医療も介護もよみがえり社会の再生は始まる。危機に立つのは安倍の側だ。資本主義擁護の立場から安倍の手先に転落した自治労本部・体制内労組幹部を倒し、国鉄闘争を基軸に戦争と民営化に絶対反対しストで闘う労組拠点を全国につくりだそう。
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▼公立病院 都道府県や市町村が経営する。全国に約900あり、病院全体の約1割を占める。
▼特別養護老人ホーム 自宅での生活が難しい高齢者が入り、介護を受ける。全国に約8千施設あるが、入居を待つ人が約52万人いる。
▼介護老人保健施設 在宅への復帰を目指すと定められている。約4千施設。