公立小中学校の統廃合許すな 地域丸ごと民営化と闘おう

週刊『前進』06頁(2667号03面04)(2015/02/02)


公立小中学校の統廃合許すな
 地域丸ごと民営化と闘おう


 文部科学省は1月19日、学校統廃合の基準を見直す「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引(案)」(以下「手引案」)を公表した。この10年で公立小中学校の1割に当たる3千校超が統廃合されているが、今回の基準見直しは、これを一層激しく進行させる。
 これは戦時下の階級戦争となった3・14JRダイヤ改定=JR大再編―ローカル線切り捨てという労組破壊・地方解体の攻撃と完全に一つだ。ストライキで闘う動労総連合を先頭に自治体・教労の労働組合が基軸となり、安倍の社会丸ごと民営化・地方破壊に対し、社会丸ごとの総反撃をたたきつけよう。

5千校超の廃校1万8千人削減

 今回の基準見直しは、60年ぶりとなる重大な転換だ。「学校規模」12〜18学級としてきた「適正規模・配置」の基準を維持しつつ、1学年1学級以下の小中学校は「学校統合等により適正規模に近づけることの適否を速やかに検討する必要がある」と、きわめて強い表現で各自治体に学校統廃合を迫った。さらに、「通学距離」小学校4㌔、中学校6㌔としていた基準に加え、バス通学を想定して「おおむね1時間以内」と通学時間を示し、より遠くの学校との統合を促進する。
 財務省は昨年10月、全国約3万の公立小中学校をすべて標準的な規模に統廃合すると、学校数は5462校減少し、教員数は小学校だけで約1万8千人減らせるとの試算を発表した。連合会長・古賀やJR東海名誉会長・葛西らが委員に名を連ねる財政制度等審議会の「27年度予算編成等に関する建議」(14年12月)では学校統廃合を「学校のランニングコスト(設備維持費や人件費のこと)の削減につながる」と露骨に位置づけた。教職員をモノ扱いし、金のために公教育を破壊する許し難い内容だ。
 学校統廃合は、「896自治体消滅」の恫喝のもと、自治体を公立学校の大民営化競争にたたき込み、地方丸ごとの民営化・地方崩壊を全面化させる大攻撃だ。

学校施設複合化で民営化を狙う

 安倍政権は、「骨太方針2014」(14年6月)、教育再生実行会議「第五次提言」(14年7月)などで学校統廃合方針を強力に進めてきた。昨年末に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」でも、「活力ある学校づくりの実現」と公教育の民営化をうたい、学校統廃合に言及し、「きめ細やかに支援する」と盛り込んだ。
 こうした中で文科省の「手引案」は、「域内の公共施設全体を対象として策定される『公共施設等総合管理計画』等との調整を図る」「児童施設、社会福祉施設、役場施設等と学校施設の複合化を検討」「幼稚園や保育所等との複合化によって保幼小等の連携や接続を一層促進」と、地域丸ごと民営化の中心に学校統廃合を位置づけた。杉並区の児童館全廃、学校の複合施設化から学童クラブ、特養老人ホームなどの民営化を進める「杉並区立施設再編整備計画」はこの先取りだ。
 公務員解雇・総非正規職化、労組破壊、地域破壊と対決する大決戦だ。

安倍「教育再生」攻撃粉砕しよう

 さらに学校統廃合は、安倍「教育再生」攻撃の全面貫徹を狙う。
 「手引案」は一つに、教育再生実行会議の「提言」を実施するものだ。
 「首長部局との緊密な連携」と銘打ち、教育委員会制度改悪で新設された「総合教育会議」を統廃合の推進機関とした。
 さらに、「小中学校段階を一体的に捉えて一定の児童生徒数を確保する」と小中一貫教育導入も推進する。これは〝学校統廃合は小中一貫教育を導入するいい機会だ〟と、地域の激しい怒りと危機感を抑え込もうとするものだ。だが、小中一貫教育校新設による統廃合にしても、これを先取りしてきた品川区では、狭い敷地に多くの児童・生徒が押し込まれ、小学校5、6年生には教科担任制や定期試験が導入されるなど、現場の矛盾が大噴出している。
 二つに、公立小中学校民営化の推進だ。「手引案」は、統合による「魅力ある学校づくり」を掲げ、小中一貫教育と一体で「コミュニティ・スクール」の「積極的導入」を打ち出した。コミュニティ・スクールとは、保護者、地域住民、教育委員会、校長などからなる「学校運営協議会」によって運営される公立学校のことだ。そこでは、校長が作成する学校運営の基本方針(教育課程の編成等)の承認や学校運営、教職員の任用についても関与する。
 民間資本は「学校運営協議会への参加を通じたコミュニティ・スクールへの関与」(日本総研)を虎視眈々(こしたんたん)と狙っている。公設民営学校への突破口だ。
 三つに、教育統制と労働組合破壊を一挙に進めようとしている。「手引案」は、「学校統合は教育活動や学校運営の在り方を変える大きな契機」と捉えている。「先進的なカリキュラムの導入」による英才教育や道徳教育の強化や、「管理職や教員と学校事務職員等の役割分担を大胆に見直す」として職場の階層化と団結破壊、学校事務の民営化・外注化を狙う。
 しかし、安倍政権は地方破壊に対する怒りの爆発に恐怖している。労働組合が立ち上がれば巨大な反乱となる。動労千葉、動労水戸を先頭に闘いは開始された。民営化絶対反対の階級的労働運動の拠点建設を前進させ、国鉄・公務員決戦で安倍政権を打倒しよう。
このエントリーをはてなブックマークに追加