焦点 社会保障削減の一方で大軍拡 15年度予算案は戦争予算だ
焦点
社会保障削減の一方で大軍拡
15年度予算案は戦争予算だ
1月14日、2015年度予算案が閣議決定された。3年連続で防衛費と公共事業費が増えた。その一方で社会保障費のうち生活保護費などの給付が1兆円近く減らされ、国民負担が増やされた。国家と資本を守る戦争のために人民は命と戦費を出せという攻撃だ。
●社会保障に使われない消費税
15年度予算案では、昨年4月から8%に上げられた消費税による増収が8兆2000億円と計上された。そのうち社会保障の充実に配分されるのは16・6%、1兆3600億円にすぎない。政府は消費増税を決めた「社会保障と税の一体改革」で、消費増税分の2割程度を社会保障の充実に当てると決めたが、それを下回った。消費税収入は全額社会保障に充てるという1989年の消費税導入時の公約は完全にほごにされている。
また消費税は法人税減税による税収減の埋め合わせに使われてきた。17年4月に消費税率を10%に引き上げるのも、15〜16年度に法人税率を3・29%引き下げることへの対応なのだ。
法人税の「実効税率」は約38%とされる。だが巨大企業はこれをまともに払っていない。2013年度、三井住友FGは1479億8500万円の利益を上げ、法人税を300万円(0・002%)納めただけだ。ソフトバンクは788億8500万円の利益、500万円(0・006%)の納税だ。(富岡幸雄=『税金を払わない巨大企業』文春新書の著者)。怒りに堪えない。
●軍備拡大と原発推進
15年度の防衛費は史上最高額に達した。14度補正予算案2110億円と15年予算案4兆9801億円(14年度比2・0%増)を合わせると5兆1911億円で、15年度概算要求額5兆545億円をも上回る。防衛費の膨張は中期防衛整備計画を超えるペースだ。
ステルス戦闘機F35を6機購入するために1032億円、地上警備のための新型哨戒機P1を20機導入するために3504億円を計上する。離島防衛(「尖閣諸島」=釣魚島の略奪)を目的とする水陸機動団などを輸送するMV22オスプレイ5機の購入に516億円、水陸両用車AAV7の30両の購入費が203億円だ。
このほか安全保障分野では米軍普天間飛行場の移設関連費が1736億円(同8・3%増)。辺野古新基地建設強行の意思を示した。
外交予算は14年度比2・9%増の6854億円だ。安倍の「戦後70年首相談話」への地ならし、あるいは反論封殺のために「日本の『正しい姿』の発信」費23億円が配分された。海外での日本研究の支援にも充てる「親日派・知日派の育成」にも71億円が付いた。
政府開発援助(ODA)予算に「国際社会の安定に向けた協力」「法の支配の確保」という事業が加わった。中東歴訪で安倍が「『イスラム国』と戦う周辺諸国への援助」として約束した25億㌦がこれだ。
反自公政権の翁長雄志知事が就任した沖縄県への振興予算は162億円減の3339億円となった。反対派への圧力だ。
逆に原発が再稼働した時などに立地自治体に配る新たな交付金が設けられた。15年度は15億円だ。原発のある自治体に配られる電源立地地域対策交付金も前年並みの912億円だ。これは原発が停止しても稼働とみなして交付されてきた。原発推進の意図があらわだ。
●生活保護費を大幅削減
社会保障費の給付削減、負担増が大幅だ。15年度の生活保護費は2兆8635億円で14年度比188億円減だ。生活扶助は15年度までの3年間で計670億円削減となる。住宅扶助は15年度から3年間で190億円減らす。暖房費にあたる「冬季加算」が減らされた。
介護保険事業者に支払われる介護報酬の総額は2・27%引き下げられた。介護事業の経営は一挙に困難になる。他方、65歳以上の2300万人の介護保険料が引き上げられる。入院時の食事代の自己負担額も上がる。
安倍政権は中東侵略戦争―世界戦争参戦を宣言し、安保関連法制定と戦争予算成立を狙っている。4~6月安保国会粉砕決戦で粉砕し、戦争と改憲を阻止しよう。