団結街道・やぐら裁判
　市とＮＡＡを追及
　〝廃道は前例のない暴挙〟

　１月20日、千葉地裁民事第３部（廣谷章雄裁判長）で、団結街道裁判とやぐら裁判の弁論が連続して開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、２０１５年最初の裁判闘争を闘った。
　午前10時30分、団結街道裁判が開廷。
　成田市は、天神峰・市東孝雄さんの耕作地と自宅を直線で結ぶ団結街道を、２０１０年６月、夜陰に乗じて暴力的に封鎖・廃止し、その土地を成田空港会社（ＮＡＡ）に格安で売り飛ばした。「道路法10条の廃道要件を満たした」と市は言うが、「いつの時点で要件を満たしたのか」という弁護団の求釈明に対し、今回成田市は準備書面を出してきた。
　その内容は、「一般交通については、代替道路の供用開始時に満たしていた。原告・市東さんに対しては告示をした２０１０年３月に満たした」というものだ。
　「まともな釈明になっていない！」と弁護団がすかさず追及に立ち上がった。対象者を分け、それぞれ別々の廃道要件を別々の時期に「満たす」という解釈は、あまりにもデタラメだ。
　だが市の代理人弁護士は、何を指摘されたかわからないような表情だ。裁判長も困惑顔で「これでは〝２段階〟のように読めてしまう。そういう意味ではないですよね」と助け舟を出すが、取り繕えるものではない。
　農民が日々営農に使用している道、耕作地に接している道を行政が廃止するなど、前例のない大暴挙だ。
　封鎖以前に実施された反対同盟の調査では、団結街道を１日１５０台以上の車両が通っていた。
　まさに「一般交通」にも、市東さんら地元民にも必要不可欠な生きた道路だったのだ。市東さんは現在、団結街道と比べて約３倍もの道のりの「代替道路」の往復を日々の農作業で強いられている。「それがいやなら農業をやめて出ていけ」というわけだ！
　弁護団はさらに、反対同盟の市東さん本人や萩原富夫さんを始めとした証人調べを行うよう裁判所に求めた。そして、成田空港建設に関連する市道廃止の他の事例についての文書類を市側に提出させるよう迫った。
　次回期日を３月24日として閉廷した。

同盟の所有物だ

　続いて11時から天神峰やぐら裁判が開廷した。市東さんの天神峰耕作地の一角に立つやぐらや看板は、反対同盟の所有物であり、市東さん個人のものではない。ところが農地裁判一審で千葉地裁・多見谷裁判長は市東さんに向かってこれらを撤去しろと命じる判決を下した。その誤りを認めさせるために反対同盟が起こした確認訴訟がこの「やぐら裁判」だ。
　被告ＮＡＡはこの間、一転して反対同盟が所有者であることを認めた上、「確認訴訟の利益はない」と却下を求めてきた。そして反対同盟に対して新たに「やぐら・看板を撤去しろ」と要求する訴訟を起こすにいたった（新やぐら裁判＝２月16日に第１回弁論）。
　これこそ強盗の居直りだ！　農地裁判控訴審は「やぐらは市東さん個人の所有物」としたまま続いている。
　今回弁護団は準備書面で、ＮＡＡの矛盾だらけで無責任な主張と対応を厳しく指摘し、裁判所に「反対同盟が所有」との確定判決を出すよう強く求めた。今回で結審となり、判決期日は同じ３月24日となった。

３万署名達成を

　近くの会場で報告会が開かれ、反対同盟事務局の伊藤信晴さんが司会を務めた。
　最初に葉山岳夫弁護士が裁判の要点を解説し、ＮＡＡが起こした新たなやぐら訴訟を市東さん農地裁判と並ぶほどの大裁判闘争として取り組む姿勢を明らかにした。
　さらに各弁護士が発言し、成田市とＮＡＡの混乱・矛盾・動揺を反対同盟の闘いが引き出した結果として確認し、勝利への決意を表した。
　動労千葉、関実、市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、特急列車の大幅な廃止・削減を打ち出したＪＲ東のダイヤ改定攻撃に対して、千葉県内の各地域から続々と怒りの声が巻き起こっている状況を報告した。そして成田市中心部の栗山公園（旧市営グラウンド）での３・29三里塚全国集会開催を歓迎し、「地域住民の総反乱」をめざしてともに闘う決意を示した。
　最後に伊藤さんが「反対同盟は動労千葉とともに２０１５年の激動情勢を切り開いていく。その突破口は農地取り上げ反対の３万人署名だ」と、署名目標達成への再度の奮起を促し、３・４農地裁判控訴審弁論―３・29全国集会への大結集を訴えた。
　午後から反対同盟と支援連絡会議は、恒例となった千葉市繁華街での３万人署名情宣に立ち、寒風をはね返して労働者・市民に農地取り上げ反対、安倍政権打倒を熱烈に訴えた。