原発新増設を狙う 「廃炉」キャンペーンと対決し 原発推進の安倍打倒を
週刊『前進』06頁(2666号04面01)(2015/01/26)
原発新増設を狙う
「廃炉」キャンペーンと対決し 原発推進の安倍打倒を
1・25川内(せんだい)原発再稼働阻止全国闘争は大高揚をかちとり、2015年国鉄・反原発・安保決戦の幕が切って落とされた。安倍は今、再稼働策動とともに「リプレース(建て替え)」と称して「廃炉」キャンペーンを開始している。これは原発新増設、原発推進が目的だ。
核燃サイクル計画は維持へ
2012年、日帝政府(民主党政権)は原子炉等規制法を改定し、原発の運転期間を原則40年稼働、最大20年の稼働延長(計60年の運転期間)を明文化した。今、7・1集団的自衛権行使の閣議決定で「戦争する国」へ踏み切った安倍政権は、川内原発再稼働を突破口にぼろぼろの原発推進体制の再構築を狙い、この原子炉等規制法の大改悪を根拠に40年でも60年でも原発を動かそうとしている。日帝は、「いつでも核武装できる」ことを目的として原発・核燃サイクル計画を推進してきた。世界戦争の時代が始まった国際争闘戦の激化のなかで、その大破産は、日帝にとって帝国主義陣営からの脱落と死以外の何ものでもないからだ。
地元鹿児島県と全国の労働者人民の川内原発再稼働反対、原発廃炉の声は高まる一方である。
核武装と原発輸出が国策だ
追いつめられた日帝は、「再稼働ばかり目立つので、廃炉も同時に進める姿勢を見せることが重要」(経産省官僚、朝日新聞1・11付)と言い放ち、廃炉をちらつかせて原発の再稼働を何がなんでも推し進めていこうとしている。電力資本は、老朽原発5基の廃炉を14年度内に決定する方向で動き出した。廃炉対象原発は、関西電力美浜1、2号機(福井県)、九州電力玄海1号機(佐賀県)、中国電力島根1号機(島根県)、日本原電敦賀1号機(福井県)である。いずれも運転開始から40年前後の超老朽原発であり、出力が50万㌔ワット台以下の小さな原発だ。これら5基は低出力で、新規制基準が要求する対策の費用面で、再稼働しても採算がとれないとして延長申請の対象にしなかっただけにすぎない。
昨年12月の「経産省原子力小委員会の中間整理」で明らかになったように、「核武装と原発輸出」を国策とする日帝にとって、原発は廃炉でなく存続・拡大が至上目的なのだ。老朽原発をできるだけ稼働し続け、やむをえず廃炉にする場合でも新型・大型の原発に「リプレース(建て替え)」する。さらに新増設を推し進めるというのだ。このどこが「原発依存度については可能なかぎり低減させる」だ。
高浜1、2号機は「運転延長」
その一方で、40年を超える原発のうち、関電は高浜原発1、2号機だけは、廃炉でなく運転延長の申請を予定し、そのための特別点検を開始した。いずれも82万㌔ワットの高出力で、再稼働しても採算がとれるからと言っている。しかし、老朽原発の稼働引き延ばしは、事故の危険を一挙に増大させるのみだ。核燃料を抱える原子炉圧力容器は、放射能を閉じ込めておく最重要の鋼鉄製装置である。ところが、運転期間が長くなればなるほど、放射線の影響で材質が脆(もろ)くなる。老朽原発では冷却水喪失の事故が発生すると、非常用冷却水の炉心注入が圧力容器を急冷してガラスのように破壊し、放射能を外部に大量に放出する重大事態が引き起こされる。この脆性(ぜいせい)破壊の危険性を専門家たちは従来から指摘し、原発即時廃炉を強力に求めてきた。
しかし、日帝国家と電力資本どもは、玄海原発1号機をはじめ多数の老朽原発を強引に稼働し、全国の労働者人民を原発大惨事の危険にさらし続けてきたのだ。その反省もなんらせず全原発即時廃炉とは真逆の再稼働のための廃炉など、本当に怒りにたえない。
3・11で大事故を起こした福島第一原発のうち、1号機は運転開始が1971年の老朽原発そのものだった。東電は事故原因が地震でなく津波と強弁し続けている。だが事故発生時、「老朽化が進んでいた無数の配管がばさばさ落ちてきた」と現場労働者は証言している。配管破壊が事故原因だったに違いない。同機は3・11直前に原子力安全・保安院が60年間運転を想定して40年を超える長期運転を認可していた。無謀の極みと言うほかない。
さらに「廃炉コスト」問題がある。日帝は「原発の電気は安い」と吹聴(ふいちょう)しながら原発推進を強行してきた。
3・11反原発福島行動'15へ
だが、この発電コストには廃炉費用など稼働打ち切り後の要素は排除されている。「廃炉を円滑に進めるための会計関連制度の課題」(2014年11月、資源エネルギー庁)に掲載の資料(表参照)によれば、施設解体撤去の着手時期や廃止措置期間でも原発が突出して長期であり、廃止費用でも原発は同等出力の場合、火力発電所に比して10倍かかる。この原発の廃炉費用や解体着手・廃炉期間は、もっと巨額で長期になると言われている。さらにいまだ溶融燃料の所在すらわからない福島第一原発の解体・廃炉の費用と期間は、前代未聞の計り知れないものとなる。何よりも半永久的な管理が必要な核廃棄物問題がある。
「原発発電コスト安価」の大うそを垂れ流して原発の建設・推進を強行し、3・11の大犯罪を引き起こした日帝国家・資本家どもに核犯罪の責任を絶対に取らせよう。地上に置かれた原爆=原発の再稼働などもってのほかだ。
このような資本家階級と労働者階級は絶対に非和解である。国鉄決戦とともに反原発闘争も、その勝利の道が資本家階級の打倒、労働者階級の権力樹立のプロレタリア革命にこそあることを指し示している。一切の力を投入し、「動労総連合を全国に」の闘い、そして川内原発再稼働阻止、全原発即時廃炉の闘いの爆発をかちとろう!
被曝と日々対決し闘う福島の思い・怒りを自らのものとし、3・11反原発福島行動'15へ総結集しよう。
(河東耕二)