戦争への労組破壊許すな 「896自治体消滅」と対決し闘う公務員労組の拠点建設を

週刊『前進』06頁(2665号03面02)(2015/01/19)


戦争への労組破壊許すな
 「896自治体消滅」と対決し闘う公務員労組の拠点建設を


 世界大恐慌は「恐慌の中の恐慌」に突入し帝国主義の戦争が始まった。「国家機構内部の労働者が戦争に反対していては、政府は戦争をすることができない」(新年号アピール)。安倍の意を受けた桜井よしこは日教組や自治労を攻撃し、政府は「896自治体消滅」問題をもてこに、民営化と公務員労組破壊に全力をあげている。戦争に突進する安倍を倒しプロレタリア革命を開く、国鉄決戦・公務員決戦の本格的幕開けだ。闘う労組拠点建設・権力奪取へ飛躍をかけ総決起しよう。

丸ごと民営化と統廃合で地域社会は一層崩壊する

 12月27日、安倍政権は「人口減少と地域経済縮小の克服」を掲げた「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」、付属文書の「アクションプラン」を閣議決定した。「2040年には全国の市町村の半分、896自治体が消滅する」とおどして、丸ごと民営化と地方切り捨て、社会保障制度の解体、公務員労組破壊を全面化させようとしている。
 今や日本の人口が急速に減少し、地域社会の崩壊が進行している。それは自然現象などではない。すべては新自由主義がもたらしたものだ。
 とりわけ、1987年の国鉄分割・民営化は、ローカル線廃止による地方の過疎化を一気に進めた。労働組合の団結を破壊して無権利・低賃金の非正規職労働者を大量につくりだし、青年労働者を結婚できない、子どももつくれない貧困状態にたたきこんできた。農村はもとより都市部の中小零細企業や商店街も巨大資本のえじきとされ廃業を余儀なくされてきた。そして大恐慌と11年3・11大震災・福島第一原発事故を機にプロレタリア革命に行き着く「生きさせろ!」の闘いが始まった。「896自治体消滅」をふりかざした攻撃は、戦争への突進と一体で地方自治体と公務員労組の解体を狙うむきだしの反革命攻撃である。
 「まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立」を掲げる「総合戦略」と「アクションプラン」は、アベノミクスの「成長戦略」そのものだ。
 企業と金融機関が医療と介護を食いものにする「地域ヘルスケア産業の創出」や、子ども・子育て支援新制度のもと全小学校区約2万カ所で実施する「放課後児童クラブと放課後子供教室」と「小規模保育や家庭的保育」、「働き方改革」による「多様な正社員の導入」、そして規制撤廃のための「国家戦略特区との連携」などが列挙されている。打ち出された「公立小・中学校の適正規模化」で文科省は、統廃合のための基準緩和の検討を始めた。全国で5千校が廃校の対象となり小学校だけで教員約1万8千人の削減を見込むとしている。小学校廃校は地方切り捨てにとどめをさす。社会全体の最後的崩壊に行き着く攻撃だ。

ローカル線切り捨て反対地域を束ね闘う動労千葉

 安倍の階級戦争攻撃はJRにおいてこそ最も激しく労働者に襲いかかっている。JR東日本は、「首都圏70〜80㌔圏に資源を集中する」として、3月ダイヤ改定でローカル線の全面切り捨て、特急列車廃止を強行しようとしている。これに対して動労千葉は、沿線地域に呼びかけて絶対反対の闘いを繰り広げている。
 「すでにローカル線切り捨てで住民の足が奪われ、観光をはじめとする地域の産業は衰退し、人口減少が深刻な問題となっている。……市民が生活していくのに最低限必要な生活基準も維持できないところまで追い込まれようとしている。今回のダイ改は、地方都市の存亡、住民の生活と命がかかった問題だ。この地域で住み、そして鉄道で働く労働者として、地域住民と共に、職場からローカル線切り捨て反対! 2015年3月ダイ改阻止を掲げて、断固として闘うことを宣言する」(動労千葉のビラ)。
 闘いの反響はすさまじく、特急が廃止される館山市や南房総市、銚子市や成田市など12の沿線自治体から、嵐のような反対の決議が上がり、廃止決定撤回を求めてJRへの怒りが噴出している。
 動労千葉の闘い、そして動労水戸の被曝労働拒否、「帰還」強制のための常磐線竜田延伸阻止を掲げたストライキが示すように、闘いの中軸に労働組合がすわることで、地域の怒りを結集し地域丸ごとの決起を実現することが可能となる。ここに「労働者が主人公の社会をつくりだす」地域コミューンの原型がある。
 大恐慌と戦争に行き着いた過剰資本・過剰生産力は資本主義のもとでは絶対に解決できないし、「資本主義としてとどまる限り、資本の過剰は、その国の生活水準を引き上げることには用いられない――というのは、そうすれば資本家の利潤を引き下げることになるから」だ(レーニン『帝国主義論』)。この資本主義を倒してプロレタリア権力を打ち立て、生産力を労働者階級の手に取り戻すなら、命と生活、未来を奪う貧困の問題はただちに解決され、社会の再生が始まる。全国の公務員労働者は動労千葉・動労水戸の闘いに続こう。

非正規職導入絶対反対で職場の闘う団結取り戻す

 全国の自治体で当局と体制内労組幹部が一体となった非正規職導入や民間委託の攻撃に対して、ついに絶対反対の声が職場の多数派となって真正面から激突する闘いが拡大している。それは動労千葉の闘いに続き、「896自治体消滅」攻撃に対する最大の反撃だ。
 これまで自治体当局は財政難を口実に退職者が出ても新規採用をしない「退職不補充」、「住民サービス向上」を口実とした時間延長や業務の拡大などで、恒常的な人員不足と長時間・過重労働を職場に強制してきた。その結果、事故や病休・病欠が続出し、業務破綻と安全崩壊が進行している。そしてこの過酷な現実をもてこに、非正規職の導入と外注化・民間委託が進められてきた。
 それに対して、保育職場や給食調理の職場をはじめ全国で、当局の「欠員補充のために非正規職を導入」する提案を圧倒的多数の労働者が「非正規の拡大は民営化だ」として拒否し、体制内幹部の制動を打ち破って、あくまで「正規職の増員」を求めて激突する闘いが巻き起こっている。団結を固めストライキを求める声が満ちつつある。
 動労千葉派が全労働者に繰り返し訴えてきた民営化絶対反対と階級的団結の路線が、当局の限度を超えた攻撃への怒りを解き放つ大衆的決起をつくりだしつつあるのだ。
 大恐慌と大失業、貧困と社会の崩壊、そして戦争への突入は、革命を一挙に現実のものとしている。「動労総連合を全国に」の闘いを軸に、階級的労働運動の前進をかちとり、全国に無数の労組拠点をつくりだそう。職場の全労働者の決起へ、主流派としての転換と飛躍をかけて、国鉄決戦・公務員決戦を猛然と闘いぬこう。
(大迫達志)
このエントリーをはてなブックマークに追加