新自由主義うち破る国際連帯 公共部門の民営化攻撃と闘いパククネ打倒に立つ民主労総 日韓労働者の団結で戦争を止めよう
新自由主義うち破る国際連帯
公共部門の民営化攻撃と闘いパククネ打倒に立つ民主労総
日韓労働者の団結で戦争を止めよう
世界は巨大な革命情勢に突入している。2014年の国際連帯闘争は画期的な地平を切り開いた。大恐慌が深まり、大失業の波が世界をおおい、大国による資源略奪・勢力圏確保の戦争が再び火を噴いている中で、日韓米3国とドイツの闘う労働者の連帯を土台に、このすべてを根底からくつがえすプロレタリア世界革命への力強い進撃が始まったのだ。以下、韓国民主労総との連帯に焦点を当て、2015年の国際連帯闘争の課題と展望を明らかにしたい。
戦争か革命かの選択が問われる時代を迎えた
世界大恐慌は日々進行し、今や「恐慌の中の恐慌」と言うべき新たな段階に突入した。この大恐慌は新自由主義的帝国主義の最後的破産と崩壊の開始であり、資本家階級の延命をかけた攻撃が労働者階級をますます大失業と貧困にたたきこみ、社会そのものの崩壊を引き起こしている。この帝国主義の危機爆発のただ中で、中国や北朝鮮など残存スターリン主義の体制崩壊の危機と労働者人民への抑圧も、著しく強まっている。
さらに、世界経済の収縮が進む中で、資源の略奪と市場・勢力圏の確保をめぐる帝国主義間・大国間の争闘戦が、ロシアや中国をも巻き込んで、すでに現実の戦争となって火を噴いている。ウクライナや「イスラム国」をめぐる中東での戦争は、第1次・第2次大戦に続く新たな帝国主義世界戦争への導火線となろうとしている。続いて朝鮮半島をはじめとする東アジアが、米帝と日帝による北朝鮮・中国への戦争挑発を引き金に、一触即発の情勢に急速にたたき込まれている。
他方では、新自由主義のもとで全世界的に成長してきた労働者階級の大隊列が、世界のいたるところで「生きさせろ!」の根源的な叫びとともに続々と決起を開始した。ストライキやデモ、工場占拠や路上占拠、農民と一体となった暴動的決起などが次々と沸き起こっている。特筆すべきは中国で、スターリン主義の支配を揺るがすプロレタリアートの巨大な決起が全土にわたって始まっていることだ。さらに国際帝国主義の心臓部であるアメリカ国内で、労働者階級とオバマ政権との全面激突が開始された。
11月労働者集会が体現する日本の階級的労働運動の前進は、こうした全世界での闘いと一つにつながっている。労働者に国境はないこと、世界を変革する力は労働者階級の国際的に団結した闘いの中にこそあることが、今こそ強力に示されるべき時が来たのである。
新自由主義に総反撃の口火切る鉄道労組スト
この中で、最も激しく動いているのが韓国と日本の情勢である。韓国でも日本でも、支配体制が総崩壊を開始し、階級情勢全体が巨大な革命的激動期に突入した。
日帝・安倍政権の危機は衆院選をへてますます深まっている。2015年は間違いなく、戦争・改憲と労働運動圧殺に突き進む安倍と日本労働者階級との大決戦の年となる。韓国・パククネ(朴槿恵)政権の危機も安倍とまったく同じ、否、もっと深刻である。
そもそも今日の韓国の支配体制は、パククネの父親であるパクチョンヒ(朴正煕)に代表される軍事独裁政権が、1987年の労働者大闘争によって実力で打倒された上に成り立っている。現在のパククネ政権を支えるサムスン財閥や現代財閥などの大ブルジョアジーは、90年代後半以来の韓国における新自由主義攻撃の全面展開によって、米帝資本と結託して韓国社会全体を支配する巨大な存在へとのし上がった。彼らは87年の「民主化」で築かれた階級関係の反革命的転覆を必死に狙っているが、そのためにあがけばあがくほど、労働者人民との非和解的対立は深まる一方だ。
その最大の要因は、民主労総に代表される韓国労働者階級の職場生産点での闘いの不屈の継続・発展にある。とりわけ2013年末の鉄道労組の大ストライキを新たな出発点として、民主労総全体が新自由主義と全面対決する新たな労働者大闘争に攻め上っていく過程に突入しているのだ。
パククネ政権登場以来の2年間をみるならば、対決構造の非和解性は明白である。
パククネは当初、2012年末の大統領選で「経済の民主化」「非正規職問題の解決」「民営化の強行はしない」などのペテン的スローガンを掲げて登場した。その背後には、98年のキムデジュン(金大中)政権以来15年間、3代の政権にわたる新自由主義攻撃が、労働者人民の生存条件を土台から破壊し、社会を崩壊寸前にたたき込んできた現実がある。大量整理解雇の嵐と貧困の増大、非正規職化によって青年の大多数が未来を奪われる一方で、一握りの巨大財閥のみが肥え太っていく構造に巨大な怒りが充満し、一大社会問題に転化していた。パククネは、新自由主義に屈服して逆にその推進者に転落していた野党勢力への労働者大衆の不信と絶望を利用して、逆に自分こそ「改革者」であるかのように見せかけ、権力の座をかすめ取った。
だがこの恥知らずなペテンは就任後、直ちに馬脚を現した。前政権下で始まっていた医療や鉄道など公共部門の民営化攻撃が激化する中、「1%」の財閥の利害を貫くための政権というパククネ政権の正体が誰の目にも明らかになった。さらに国家情報院(前身は軍事独裁政権時の治安弾圧の中心機関KCIA)が大統領選に介入し不正を働いていた事実が暴露され、13年春から夏、パククネ弾劾のデモが一気に燃え広がった。
窮地に立ったパククネは、むきだしの強権に訴えた。13年8月末、軍事独裁政権の打倒以後封印されてきた「内乱陰謀罪」を数十年ぶりに発動して統合進歩党の国会議員を逮捕し、デモの鎮静化を狙った。
続いて9月、全教組(全国教職員労働組合)に対し、解雇者を組合から排除しなければ労組の法的地位を剥奪(はくだつ)するという攻撃を加えた。独裁政治再現への恐怖をあおって人民を威圧するとともに、闘いの中心に立つ民主労総の破壊に全力を投入してきたのだ。
この反革命攻撃を真っ向から打ち破ったのが、13年12月9日から23日間にわたって闘いぬかれた鉄道労組の民営化阻止の大ストライキだった。執行部など30人を超える逮捕令状、8千人もの組合員への処分の脅しをはねのけて貫かれたストは、労働者が職場から強固な団結と不退転の決意をもって決起した時、どれほど大きな力を発揮するかを示した。スト参加者はストが長期化するに伴い、減るどころか逆に増えた。それは鉄道労組2万1千組合員はもとより労働者階級全体に限りない勇気を与え、民営化絶対反対の圧倒的な社会的世論をつくりだした。
大打撃を受けたパククネは12月22日、警察権力5500人を動員して民主労総本部を襲撃し、破壊するという暴挙に訴えた。このあからさまな労働運動弾圧は、組合の枠をも越えて全労働者の怒りに火をつけた。28日にソウルで10万人が参加して開かれた民主労総のゼネスト決意大会には、労資協調派の韓国労総も合流し、徹底抗戦を宣言。14年2月25日のパククネの大統領就任1周年には、労働者階級を先頭にあらゆる人民が総決起した「国民ゼネスト」がたたきつけられた。
セウォル号惨事が怒り解き放つ
この燃え上がる火にさらに油を注いだのが14年4月16日に発生したセウォル号の大惨事である。
大型旅客船が転覆・沈没し修学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲となったこの事件は、新自由主義の資本と国家によって引き起こされた犯罪以外の何ものでもなかった。耐用年数がとっくに過ぎて機器の故障が頻発していた老朽船に、許容量の3倍もの荷物を積み込み、しかも船長をはじめ船員の大半を非正規職にして何の安全対策も訓練もなしに運行させていた。まさに「命より金もうけ」を極限まで推し進めた結果、当然にも行き着いた悲惨な事故だ。それだけではない。なんと国家が行うべき海難救助の業務さえもが、十分なノウハウも持たない民間会社に外注化されていたのである。そのため現場にかけつけた海上警察は何の救助活動もせず、救えたはずの命すら救えなかったのだ。
この惨事が韓国社会に与えた衝撃の大きさは、3・11福島原発事故が日本社会に与えた衝撃に匹敵するものだ。セウォル号遺族の怒りと「真相究明・責任者処罰」の要求は、新自由主義への全労働者人民の根源的な怒りを爆発的に解き放つ水路となった。そしてこの闘いは、民主労総の民営化阻止・非正規職撤廃の闘いと固く結合することで、パククネの退陣要求にとどまらず、新自由主義の完全打倒、社会の根底的変革を求める闘いへと発展し始めた。
パククネ政権の凶暴化統合進歩党へ解散攻撃
2015年、パククネ政権の危機と階級対立の非和解的進展、大激突がさらに決定的に進むことは明白である。この激突は、軍事独裁政権を打倒し「民主化」を実現した87年労働者大闘争の地平をもはるかにこえて、資本の支配を根底からくつがえすプロレタリア革命へと発展していく以外にない。
それは、北朝鮮人民のキムジョンウン(金正恩)スターリン主義政権打倒に向けた歴史的決起の開始をも必ず呼び起こす。帝国主義とスターリン主義による戦後70年におよぶ朝鮮半島の南北分断を、南北朝鮮人民の階級的団結の復権によって最終的に突破し、革命的統一を達成していくものに必ずなる。
さらに、プロレタリア日本革命、日本労働者階級人民の日本帝国主義打倒の闘いと結合し、中国の労働者と農民の中国スターリン主義打倒の大決起とも結合して、東アジアを世界革命の巨大な根拠地に変えていくものとなる。
何よりも韓国経済の危機の進展が今春、最後の一線を越えて進もうとしている。韓国経済の輸出依存度は2013年に46%、貿易依存度は88%ときわめて高い(日本はそれぞれ14・5%と32%)。欧州金融恐慌の再来と中国経済のバブル崩壊は真っ先にこの韓国経済を直撃する。
こうした中でパククネは、階級戦争攻撃の激化に一切をかけている。「思い切った規制緩和」「公共部門の正常化」を掲げ、今やむきだしの全面的な民営化・外注化・総非正規職化に突き進もうというのだ。「創造経済」の名のもとに、「労働争議のない、労働力が安く資本が投資しやすい」経済特区をつくり、それを全国に広げると言っている。解雇の完全自由化、派遣労働の拡大と偽装請負の合法化をも策動し、公務員年金制度の大改悪を突破口に社会保障制度の全面解体の攻撃をも仕掛けている。
12月19日には、パククネの意を受けた憲法裁判所が、「北朝鮮の思想的影響を受けている」ことを理由に問答無用で統合進歩党の解散を決定し、同党から出ている5人の国会議員の議席を剥奪した。国会に議席をもつ政党の強制解散は、かつての軍事独裁時代にすらなかった前代未聞の暴挙である。結社の自由をも公然と否定したこの行為に対し、衝撃とともにすさまじい怒りが今、韓国社会の隅々にまで広がっている。
パククネ政権の絶望的凶暴化は、パククネと支配階級の側にもはや一切の余裕がなくなり、政権末期の状態に入ったことを示している。極右反共主義勢力の総動員は社会を暗黒時代に引き戻す力をもつことはできず、逆に左右の分裂と大激突に火をつける。労働者階級の闘う隊列が今こそ全人民の中心に立ち、「99%」の怒りをすべて結集して現体制の打倒へ総決起していく時を迎えている。
こうした情勢の真っただ中で、12月、民主労総は初の全組合員直接投票による選挙で新執行体制を確立する。この選挙過程は、現場労働者の戦闘性が日に日に高まっていることを示すものとなり、まさに「闘う民主労総」がよみがえりつつあることを韓国と全世界に突きつけている。
朝鮮・中東侵略戦争に参戦狙う日帝を許すな
この韓国情勢は、米帝と日帝をも激しく揺さぶっている。今や、北朝鮮スターリン主義の体制崩壊の危機だけでなく、韓国におけるパククネ政権倒壊の危機(それは労働者階級による権力の樹立に直結する)が迫っているのだ。この情勢は、朝鮮半島を第2次大戦直後の戦後革命期以来の大激動にたたきこむものであり、帝国主義のアジア支配を総崩壊の危機に直面させるものである。米帝と日帝は、このことに心底から恐怖している。
日帝・安倍政権の集団的自衛権行使の7・1閣議決定はまさに、こうした情勢をもにらんで出されたものだ。朝鮮半島における革命情勢は日帝打倒の危機を同時につくりだすことを自覚している日帝は、日帝の側から進んで米帝を引き込み、対北朝鮮・対中国の新たな侵略戦争にのりだそうと必死になっている。米帝もまた、日帝の対米対抗的突出を許さないためにも、北朝鮮スターリン主義転覆の戦争に先制的に突入することによって一切を突破しようと全力を挙げている。
さらに中国スターリン主義やロシアのプーチンも、「朝鮮有事」を自己の延命に直結する問題として身構え、あらゆる角度から朝鮮情勢への介入を強めている。
すでに米帝は、14年10月の米韓安保協議で有事の際の在韓米軍による作戦統制権(指揮権)を2015年に韓国軍に移管するとの約束を破棄し、事実上凍結した。米・韓・日の3国間で軍事情報を共有する協定締結にも踏み出している。米日帝国主義による朝鮮侵略戦争突入の危機は目前に迫っている。ウクライナと中東ですでに始まっている戦争に加えて、東アジアがいまひとつの大戦争の発火点になろうとしているのだ。
日本労働運動の飛躍が問われる
今や大恐慌と戦争をプロレタリア世界革命に転化することだけが全世界の労働者人民の生きる道である。ここにおいて、階級的労働運動の前進とともに、労働者階級の国際連帯闘争の飛躍的発展が世界革命勝利の成否を握る鍵となりつつある。
一切は、日本での闘いの前進にかかっている。「動労総連合を全国に」の国鉄決戦を突破口に、動労千葉派が真に力ある勢力として登場し、日本労働運動の主役に躍り出ることだ。韓国民主労総の仲間たちの命がけの決起に応える階級的労働運動の組織的大飛躍を絶対にかちとることだ。この決意をもって2015年の闘いに総決起しよう。
このことは同時に、労働者階級の国際的団結の組織である新たなインターナショナルの建設と、それと一体で進む世界単一の革命党建設の課題を全世界のプロレタリアートに突きつけている。求められているのは時代認識と路線の確立、マルクス主義・レーニン主義の革命的復権だ。革共同の綱領草案と「50年史」を武器に、〈反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命〉の旗を今こそ世界に打ち立てる闘いに挑戦しよう。失うものは何もない。獲得すべきは全世界である。
〔坂本千秋〕
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▼87年労働者大闘争 1987年6月の民主化を求める闘いに続いて韓国全土にわき起こった労働者の大ストライキとデモ。実際にはこれが軍事独裁政権を最終的に打倒する力になった。
▼統合進歩党 民主労総を支持母体とする民主労働党が2011年末、内部分裂し解散すると同時に結成された。指導部が北朝鮮スターリン主義の影響下にあり、新自由主義と絶対非和解で闘うのではなく、労働者階級の闘いを反米民族主義へと流し込む傾向があるとの批判が現場労働者から出されている。