川内原発の再稼働阻止し3・11郡山に総結集しよう NAZENは原点に返り闘う

週刊『前進』12頁(2663号06面01)(2015/01/01)


川内原発の再稼働阻止し3・11郡山に総結集しよう
 NAZENは原点に返り闘う


 安倍政権は衆議院選挙を受け、一気に原発再稼働と原発政策の推進へと突進し始めました。原子力規制委員会は川内原発1、2号機に続いて、高浜原発3、4号機の新規制基準に基づく審査書案を了承しました。さらに電源開発は建設中の原発では初めて、大間原発の「安全審査」を規制委に申請しました。実に14原発21基が申請され、1月中にも川内原発の再稼働が狙われています。そしてこれと表裏一体で福島への「20㍉シーベルト基準」に基づいた帰還強制攻撃です。

労働者が団結し闘う時代

 しかし皆さん、これは反原発運動の危機や敗北を示すものではけっしてありません。自民党の291議席の中身はたった十数%の信任しか得ていない、圧倒的な不信任の現実です。自民党が労働者民衆をだまし政権の「正当性」を確認する機構、政治権力が繰り出す政策に従わせる説得力を生むプロセスとしての選挙制度そのものが崩壊しています。こんなやつらの決めた政策に従う必要などみじんもありません。「アベノミクスは賃上げと雇用増加を生んだ」などというデマも押し通せないほどの失業・倒産。大恐慌の本格化を肌身で実感している私たち労働者の怒り。大恐慌と3・11を経て、民衆は物事の本質を見抜いています。自民党自身が「大勝」などと実感できない現実があります。
 東京8区(杉並区)で鈴木たつお候補に投じられた1万6981票は、安倍政権と財界に対する労働者民衆の怒り、福島の怒りです。原発を止め、社会を変える希望輝く2015年の展望です。一人ひとりが腹を固めて立ち上がることがたくさんの怒りや悔しさを束ねて団結させる時代の到来です。3・11から4周年の「3・11反原発福島行動'15」で巨大な怒りをたたきつけるために、全力で闘おう。
 福島では甲状腺がんの子どもたちが疑いも含めて104人を数えました。セシウムは卵巣に入ると出ていくことはないと言われています。卵巣は妊娠5週目くらいからできはじめるため、妊娠したお母さんの内部被ばくは、まだ生まれてない子のさらにその子にまでダメージを与えます。内部被ばくの強制と隠蔽(いんぺい)は絶対に許されない犯罪行為です。
 問題は、命ともうけを天秤にかけて屈してきた連合です。日本共産党も原発を支えています。「原発労働者の被ばくの安全基準は必要です。財界のもうけの支障にならない程度に」「組合員を被ばくさせるな。下請けの被ばくなら目をつむりますが」――こんなあり方は認められません。命の問題に妥協点はない。これが3・11で学んだ私たちの原点です。
 昨年7・1の集団的自衛権行使の閣議決定は、さらにこのことを鮮明にさせました。若者を戦場に送って同じ労働者と殺し合いをさせ、命を奪う。こんな戦争は絶対に許されません。
 安倍のブレーンである葛西敬之(JR東海名誉会長)の「そろそろどこかで戦争でも起きてくれないことには、日本経済も立ちゆかなくなってきてますなあ」などという扇動の裏では、防衛産業が舌なめずりしています。
 これに対して「海外で戦争する国にさせない」と日本共産党は言い、「防衛」のための戦争には賛成しています。しかし、どの戦争も「防衛」の名で行われました。
 命の問題に妥協点はない。そして、資本家がもうけのために社会や職場を回す「資本主義」というあり方か、労働者が主人公の社会をつくるのか。この歴史選択にも妥協点はありません。社会を変えるのは今だ!
 命より金。こうした新自由主義が成り立っているのは連合が支えているからです。その原点である国鉄分割・民営化に今も反対し、1047名解雇撤回闘争を継続してきた動労千葉を先頭とした国鉄闘争を、選挙闘争と職場からの闘いで貫いてきました。決意の1万6981人とともに、2015年を全原発廃炉をかちとる年としよう!

福島の怒りをわがものに

 安倍は原発の再稼働のためには、被ばくを隠し、福島への帰還を強制しようとしています。「窓を開けるな」「駐停車禁止」などと言いながらの国道6号での一般車両の通行規制の解除や、常磐線の竜田駅までの延伸は絶対に許せません。
 補償や仮設住宅の打ち切りで帰還を強制することと一体で、この3月をもって、高速道路料金の無料措置と公営住宅の貸し出しの打ち切りが狙われています。
 東京に避難する母親たちが塗炭の苦しみを語っています。「夫を残して避難し、夫婦共働きでなんとか暮らしている。土日に高速を使って夫が帰ってくる生活も成り立たなくなる」「公営住宅を打ち切り、一般と同じく抽選を受けてもらうと言われた。これまでも住宅は1年更新で、住民が束にならないと話さえ聞いてもらえない状況だった」「引っ越せば、病気を持つ親や子の相談できる医師との関係や保育園を、仕事の合間にまた一から探さなければならない。ものすごい負担だ」「美味しんぼ問題で、事実を話すことすらできなくなった。子どもがいじめられないように、避難していることを隠さなければならないことが一番苦しい」
 5回も6回も住む場所を転々とし、それでも福島には帰れず、知らない場所で近所付き合いからも断ち切られた中で避難生活を余儀なくされている避難者の現実は、3・11直後からなんら変わっていません。この現実を前に何が原発の再稼働だ。この福島の怒りをわがものにしよう。

闘う労働組合先頭にして

 そしてもう一つは、原発作業員の怒りと闘いです。NAZEN=すべての原発いますぐなくそう!全国会議=通信20号(12月8日発行)には、いわき合同ユニオンに結集して立ち上がった原発労働者の声が紹介されました。「派遣労働者だったころも会社の組合はありましたが、はっきり言って自分にしてみれば敵でしかなかった。リーマンショックの派遣切りの時も会社と一緒になって首切りに加担してきたのが組合でした。ユニオンに入って、また動労水戸のことを知って、労働組合に対する認識が百八十度変わりました」「やっぱり1人では何もできなかった」「東京電力の労働者こそ、ユニオンのような労働組合が必要なんじゃないか」
 この中にあるのは、福島、そして3・11直後と何も変わらない収束作業の現実であり、その現実を生き抜くために手を取り合い声を上げる「3・11」の原点です。
 2015年、NAZENはあらためて3・11の原点に返って闘おう。東日本大震災が起きたあの時、政府のうそはすべて暴かれ、社会は機能を停止し、あらゆる人が命を守るために自分の殻を破って手を取り合って声を上げました。社会を今変えるために、そうした組織としてNAZENを組織することが2015年の最大の課題です。
 一握りの支配者たちが私たちを支配できるのは、差別と競争、分断によってのみです。私たちの革命が、こうした敵と対峙し打倒しながら、差別と分断をのりこえ、支配されない人間へと変わっていくことであるなら、この社会を変えるのは私たち一人ひとりです。そしてその先頭に、職場から団結して闘う労働者が立とう。
 再稼働阻止の思いを3・11郡山に総結集させよう。核戦争を不可避とする世界戦争を絶対に阻止しよう。
 ふくしま共同診療所とつながり、避難・保養・医療の運動を進めよう。帰還強制を許すな。全国の避難者と手を取り、運動と組織をつくろう。全国で診療所報告会を成功させよう。こうした内部被ばくとの闘いの先頭に労働組合は立とう。職場にある福島の怒りをともにし、労働組合を変えよう。
 ヒロシマ・ナガサキが福島の怒りをともにした力が、昨年広島における韓国との国際連帯の開始であり、長崎での城臺美彌子(じょうだいみやこ)さんの魂の決起でした。国際連帯を進め、日本の反原発運動は世界の闘いの先頭に立とう。
(NAZEN事務局長 織田陽介)
このエントリーをはてなブックマークに追加