全学連新年座談会 全国大学を「反戦の砦」に 全学連は安倍打倒へ先頭で闘う
全学連新年座談会
全国大学を「反戦の砦」に
全学連は安倍打倒へ先頭で闘う
2014年は、「戦争か革命か」が問われる歴史の分岐点において、学生運動が日本階級闘争の最先頭に鮮烈に登場する年となった。とりわけ京都大学での公安警察摘発の大勝利は、今や日本中で注目を集め、法大闘争9年の勝利の地平と並ぶ日本学生運動史上の金字塔をうち立てた。沖縄大学での学生自治会再建の快挙に続き、東北大学と広島大学でも新たな自治会執行部が樹立された。いよいよ安倍を打倒し、現代革命の突破口を切り開く15年決戦へ! 全国大学を「反戦の砦(とりで)」に! 全学連の若きリーダーたちが、その意気を大いに語った。(編集局)
出席者(敬称略)
斎藤郁真(委員長/法政大学)
澤田光司(副委員長/東北大学学生自治会委員長)
作部羊平(副委員長/京都大学同学会書記長)
百武拓(副委員長/広島大学学生自治会委員長)
樋口正太郎(福島大学)
森幸一郎(書記次長/京都大学)
赤嶺知晃(沖縄大学学生自治会委員長)
▽司会 坂野陽平(書記長/上智大学)
革命を訴え勝負した衆院選
街頭を席巻し奮闘
坂野 昨年12月14日投票の衆院選では、東京8区(杉並区)で鈴木たつお候補が1万6981票を獲得する勝利をおさめました。最初に、この闘いを街頭宣伝の最先頭で闘い抜いた感想や総括を聞かせてください。
斎藤 私たちは、昨年1〜2月の東京都知事選をもって「現代革命への挑戦」を開始しました。続いて6月の杉並区議補選を闘い、職場での階級的労働運動、キャンパスでの学生運動を闘い抜き、そのすべての地平をもって衆院選を闘いました。時代と真っ向から対決し、攻勢的に勝負して勝利した選挙でした。
今回、いわゆる「野党共闘」や「戦略的投票」で民主党を勝たせようという主張が噴出しましたね。要するに「安倍・自民党が強いから、自民党を落とすために野党はまとまろう。意見の違いは脇に置いておこう」ということです。しかし、これはまったく間違っています。そもそもなぜ安倍政権はわずか2年で衆院解散に追い込まれたのか? なぜ沖縄では自民が全小選挙区で全敗したのか? 安倍政治への絶対反対の怒りが渦巻いているからです。その真実を野党や既成の政治勢力が見据えられない中で、鈴木さんが杉並の地で、わずか2週間で1万7千票を獲得したことは、本当に怒っている労働者民衆に僕たちの思いが届いたということだと思います。
赤嶺 僕が今回の衆院選を闘って強く感じたことは、「革命情勢の成熟」と「安倍の危機」です。鈴木さんの訴えは「労働者が主人公の社会を」「アベノミクスと戦争に絶対反対」「消費税全廃」と非常にストレートです。それが街頭ですごく議論になりました。僕らは一切主張を値引かず、「資本主義を倒す革命をやろう」と訴えました。すると街頭で出会った人と『前進』を使った議論がとてもはずむ。『前進』を読んで鈴木さんへの投票を決める人もたくさんいました。街頭では僕たち鈴木陣営が圧倒的に「第一党派」でした。都知事選や区議補選の時と比べても、街頭での訴えを聞いて立ち止まる人が多かった。
作部 今回の選挙では、僕たちの現場での闘いと運動が「労働者階級の選択肢」として登場できるかどうかが問われました。それで獲得した1万7千票は、やはり「一つの選択肢=政治党派」として登場できたということです。鈴木さんを押し立てた都知事選では全体で1万2684票、うち杉並区では772票でした。北島邦彦候補を押し立てての杉並区議補選では4332票、そして今回の1万6981票。獲得票数は「ハイパーインフレ」ですね(笑)。
街頭演説でもたくさんの良い反応が出てきました。今年4月の杉並区議選に向かって、もっと反応を掘り起こし、もっと僕たちの訴えが届くようにしていく。「実践的な力ある選択肢」として登場していくということです。
福島の怒り伝えた
坂野 東京8区では、昨年6月の「最後は金目でしょ」の大暴言を吐いた石原伸晃(自民党東京都連会長、元環境大臣)との真っ向対決になりましたが、「福島の怒り」を体現する福島大生としてどうですか?
樋口 杉並の地で「自民党と石原を絶対許さない!」という福島の怒りを、多くの人に伝えることができました。都知事選と区議補選に続いて今回も3・11反原発福島行動実行委員会の椎名千恵子さんを始め現地から大勢駆けつけ、マスコミが報道しない福島の現実を毎日のように街宣で強く訴えました。区民の反応も非常に良くて、自分から鈴木さんのビラをもらいに来る人や「頑張ってね」と声をかけてくる人も、都知事選や区議補選の時よりも多かった。
坂野 街頭宣伝では『前進』が非常にたくさん配布されました。
百武 今回の選挙戦は、安倍政権への怒りが渦巻く中、「どの党派がその怒りを体現しうるのか」という大党派闘争でした。「野党も自民党も変わらない」という人、「どこにも票を入れたくない」「既成政党以外に入れたい」という人も多かった。そうした中で、『前進』にこそ私たちの主張と展望が明確にうち出されていると確信し、街頭で積極的に配布して討論しました。
12日間の選挙戦で1266部を販売・配布しました。解雇撤回・非正規職撤廃の闘いや学生運動の奮闘に感銘を受けたという人がたくさんいました。鈴木さんの登場で、あるいは『前進』やビラが何万枚と手渡される中で、多くの人びとの怒りを階級的に結集できたと思います。
澤田 僕がすごいと思ったのは、『前進』が労働者にどんどん配布されて読まれ、それで「鈴木さんに決めた」と投票する人が多かったことです。民主党は今回、議席は増やしているけど大敗北だと思います。連合が職場で現実に敗北してしまっているからです。多くの労働者は「やっぱり民主党はダメだ」と判断しています。
だから『前進』ですよね。そこに載っている闘い、たとえば東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の解雇撤回闘争で労働者が完全に勝っている。京大では公安警察をキャンパスで摘発して追い出している。実際に勝利しているところに多くの労働者が獲得されています。
街頭で「政党はどこ?」と尋ねられて「無所属です」と言うと、「無所属? ふーん......」と素っ気ない反応が多かった。そこで『前進』を見せて、闘う労働者・学生がバックにいて「力があるんだぜ!」と訴えることで、鈴木さんへの支持を獲得していきました。今回の1万7千票の地平から、さらに闘いは広がっていくと思います。
森 鈴木さんの路線は全人民を獲得できる内容だと確信して、一個の「蜂起戦」を闘いました。僕が一番楽しかったのは、12月6日の阿佐ケ谷駅南口、7日の高円寺駅北口、13日最終日の荻窪駅北口1千人と、連続的に駅頭での大集会をうち抜いていったことです。駅周辺も練り歩きという形で事実上のデモをやり、主流派として登場しました。多くの青年労働者や学生が立ち止まって、演説を聞いていたのが印象的でした。
この1年間の闘い、さらに革共同50年の闘いがかちとってきた路線と団結が、あらゆる人びとを獲得できる時代だと思いました。
戦争政治への怒り解き放ち
『前進』で積極討論
坂野 2週間の選挙戦での感動的なエピソードもたくさんありましたね。
赤嶺 毎日毎日、数え切れないほどです。例えば、子どもたちの反応がものすごかった。子どもに「受ける」というのは、僕らの主張がハッキリしていて分かりやすいということです。どの野党も自民党とたいして変わらない、安倍打倒と言わない、せいぜい日本共産党が「安倍政権の暴走ストップ」くらいしか言えない中で、鈴木さんの絶対反対の訴えが子どもにダイレクトに伝わっていきました。また、沖縄出身の労働者との出会いもありました。
坂野 あれは感動的でしたね。
赤嶺 11月の沖縄県知事選で打倒された前知事・仲井真が、12月9日の退任直前に辺野古新基地建設のための工法変更を承認するという暴挙に手を染めました。僕が「絶対許せない!」と演説していると、それを聞いていた20歳代の青年が「感動しました!」と握手を求めてきました。
百武 『前進』を街頭で2週連続で買ってくれた人や、選挙ボランティアになってくれた人、みんな「自民党は許せない!」と言っていて、「どうしたらいいのか」という話になりました。多くの人が、自民党・公明党が3分の2の議席を取ることに危機感を持っていて、「鈴木さんが一人で国会に出て何か変わるのか」「民主党の議員がたくさんいた方がいいんじゃないか」という意見もあった。しかし、僕らは国会の中で法律やルールを決めて、議会内のパワーバランスで政治を変えたいわけじゃない。たった一人でも、労働者・学生の闘いを体現できる人を送り出し、国会の腐敗を全民衆に暴露し、国会内の闘いと労働運動・学生運動・住民運動を結びつけて闘おうと訴えました。
ブラック企業の問題もよく話になりましたが、ブラック企業は最初からルールや法律なんか守る気がないから「ブラック」なのであって、それが資本の本質です。ルールを整備しただけで根本的に解決するなんてありえない。日本共産党が声高に主張するような「ブラック企業摘発運動」を議員の力でやっても、労働者の団結や連帯は何も生まれない。やっぱり職場で仲間とともに労働組合で闘うことが一番重要だという主張に共感してくれる人が多かった。
赤嶺 鈴木さんの経歴を見て、「高校生の頃から闘っているんですか」「NHKを解雇されたの!? 本気で闘っているんですね」と信用してくれる人が多かった。それと、現場から労働運動を闘っていることが注目されました。
僕が話した人は、賃金が月15万円くらいしかなく「他の候補は原発のことを言っても労働運動を語らない、労働運動の話をしているのは鈴木さんしかいない」と言っていました。その時ちょうど、鈴コン闘争支援・連帯共闘会議代表の花輪不二男さんが演説していて、「すごくいいことを言っている。新しい労働者の政党が必要だ。『前進』を読ませてくれ」と向こうから言ってきました。
坂野 選挙ボランティアになった人も本当に怒りが深くて、僕らが組織した人がさらに他の人を組織する構造がどんどん生まれていった。たとえばフランス料理のシェフの方が、自分の店のお得意様300人に公選ハガキを出して鈴木さんを推してくれたそうです。それくらい安倍政権への怒りがすごかった。また、「2012年の衆院選と13年の参院選で山本太郎に入れた」という、現業労働をしているお兄ちゃんと話したけど、彼は「NHKとケンカして解雇されたのか。これは本物だ! 今回は鈴木たつおしかない」と感激して、演壇に駆け上がって鈴木さんと握手しました。僕はそれを見て、こういう労働者が膨大に決起した時、革命になるんだと思いました。阿佐ケ谷駅南口のパールセンター商店街の練り歩きも、商店街出口付近にある石原のぶてる事務所向かってデモで進撃するのがすごく面白かった。
体制内野党の破産
坂野 選挙結果全体を見れば、自民党は大敗北です。選挙期間中は「単独で300議席超」とも言われましたが、結果は291議席で公示前より議席を減らしている。特に重要なのは、沖縄県の全小選挙区で負けたこと。これはものすごい怒りの爆発ですね。
赤嶺 「野党総結集で沖縄は成功した」と言う人がいますが、それは違います。沖縄に渦巻く絶対反対の怒りが爆発して、自民党をぶっ飛ばしたんです。沖縄の自民党や仲井真だって、最初はその怒りに規定されて「辺野古移設賛成」とはとても言えなかった。そこに安倍が踏み込んで、一昨年の暮れに辺野古移設賛成に転向させましたが、その途端に県知事選で大敗北しました。安倍にお伺いを立て、ブルジョアジーや維新の党とも組むなどと言っている「野党共闘=オール沖縄」のペテンはこれから暴かれていきます。
坂野 今回の選挙で「労働者が主人公の社会をつくろう」「労働者の新しい政党をつくろう」と掲げたことは本当に画期的でした。「鈴木さんに入れましたよ」と言った人に「参考までにどういう点を支持されましたか?」と聞いたら、答えは「全部です!」と。また「鈴木さんだけがすべての社会問題を包括的にとらえて解決策を出している」と言う人もいた。社会の根本的変革、つまり革命を提起しているのが鈴木たつおだと。これがハマったと思います。
民主党は全然ダメだった。東京8区から出た円より子は「以前の自民党は良かったけど安倍政権になってからはダメだ」なんて演説していて、民主党のマニフェストも「分厚い中間層をよみがえらせる」などと言っていた。共産党もそうだけど、「もう一度戦後体制に戻ろう」という主張は全然受けなかった。今の時代、本当に求められているのは、根本的にこんな社会はぶち壊さなきゃいけない、変えなきゃいけないという鮮明な主張です。
斎藤 選挙戦ですごく感じたのは、人民の意識の激しい流動化です。「景気回復、この道しかない」という自民党に対し、野党は個別的な問題で文句を言うだけ。
トータルに安倍の全政策に反対して「労働者が主人公の社会をつくろう」と訴えているのは鈴木さんだけだった。人民の生活を守り抜くために安倍政治と徹底的に闘う、レーニン風に言えば「人民の護民官」は誰かということが党派闘争として問われました。
坂野 体制内左派の論調は、総選挙翌日の朝日新聞が象徴的ですが、「安倍政権の基盤が強固になった」ということ。でも、そんなことはない。人民の怒りの爆発で安倍はグラグラじゃないか。重要なことは、一つに、時代認識の問題です。「野党共闘」を語る人の多くは、安倍の勝利で絶望の時代が到来すると言っていた。世界大恐慌も、日帝国家権力の危機性・脆弱性(ぜいじゃくせい)も見えていない。もう一つは「議会の中で全部決まる」という考え方です。やはり、問われているのはマルクス主義です。労働者階級の怒りと闘いに立脚できない勢力は、絶望してどんどん反動化する。法大総長・田中優子も沖縄大学長・仲地博もそうです。
斎藤 今回の選挙でそこを打ち破り、労働者は決起すると確信を持って闘って、大躍進をかちとった。これは本当に大きい。2015年決戦を何に依拠して闘うのかがはっきりした。これから、すべての大学・職場でますます党派闘争が激化します。そこが最後の勝負です。職場・キャンパスから労働運動・学生運動をよみがえらせることで決着をつけたい。
私は一人ではない
坂野 鈴木さんの「私は一人ではない!」という訴えがすごく重要だと思います。労働者階級全体の利益を守るためには、孤立を恐れず決起しなきゃいけない。一人が立つことで労働者階級全体の団結が守られるんだという立場が、あの言葉に表れていた。
赤嶺 既成野党は「とりあえず非自民に投票するしかない」と絶望と危機感をあおる。これに対して、僕らは「労働者の力で安倍を倒した!」とはっきりさせて訴えたことが良かった。「鈴木陣営は、他の陣営とは全然雰囲気が違うな」と、たくさんの人が足を止めて聞いてくれました。
坂野 杉並では石原伸晃が前回衆院選から約1万6千票減らしていますが、これはわれわれの主体的な闘いが引き寄せた情勢です。重要なのは、労働者階級が中心となって全人民が決起する構造が見えたこと。消費増税や円安で「中小企業の倒産が去年の2倍」と言われる中で、「労働者が主人公の社会をつくろう」と訴え、労働者が労働組合のもとに団結して立ち上がることで、その周りの全階層・全人民が決起する構図が今回の選挙でもはっきりしました。そして、若者や女性が壇上で鈴木たつおさんと並んでガンガン演説している姿が、ものすごい求心力を生み出しました。衆院選決戦は、激動と躍進の2014年決戦の総決算として決定的な勝利を切り開いたと思います。
京大で公安摘発する大勝利
戦争国家化と対決
坂野 昨年1年間の各大学の闘いの総括を聞かせてください。まずは、11月の「公安警察摘発」の大勝利で安倍と国家権力を震え上がらせた京都大学の仲間からお願いします。
作部 11月に僕たちがあのように全社会的に鮮烈に登場できたことは、2012年に全学自治会同学会を再建して以来の2年間の攻勢的な闘いが実を結んだものです。自治会としての基盤をつくるために、しっかりとクラス討論を積み重ねてきました。一昨年6月に松本紘京大総長(当時)が国立大学協会会長となり、安倍政権と一体で大学改革を全面的に推進しようとした矢先に、同学会と京大学生運動がそれに立ちはだかり、松本の総長再任を阻止して昨年9月に退任に追い込みました(国大協会長も中途退任)。
とりわけ、集団的自衛権行使容認の7・1閣議決定という戦争情勢の中で10・21国際反戦デー闘争を闘い、11・2労働者集会、11・4公安警察摘発、11・12京大全学緊急抗議行動、さらに警視庁による「報復」のための11・13熊野寮家宅捜索に対しても寮生の団結で対決した。攻勢的に闘ったからこそ、「公安警察摘発」を一つの突破口として「全国で知らない人はいない」とも言える情勢をつくり出した。学生自治会を基盤にして団結を固める運動にこそ展望がある、そこに国家の横暴と戦争を止める力がある、社会を変える可能性があると示しました。
森 大きな転換点は、昨年9月の全学連大会と10・21国際反戦デー闘争でした。300万学生に通用する路線討論を全学連大会から積み重ねてきました。特に7・1閣議決定という敵の踏み込みに対して、「労働組合・学生自治会の力で安倍を倒そう! 社会を変えよう!」と鮮明に訴えた。国際反戦デーでは「大学の戦争協力拒否」を掲げ、京大では「この国のために死んでたまるか」をスローガンに掲げた。安倍政権が「国民の命と生活を守る」などと言いながら、実際には学生の命を切り捨てて戦争に動員する体制をつくろうとしていることを暴いた。今年の通常国会には安保関連法案が一括提出され、日本が本当に戦争をやる時代になる。それと立ち向かえる主体を生み出したのが、9月全学連大会以降の闘いです。「公安警察摘発事件」も、「大学自治の是非」という枠をこえて、安倍の戦争国家化攻撃との対決として闘いました。京大ではこれから教授会・職組の解体攻撃、今までの自治的なものすべてを解体する攻撃に当局が踏み込んできます。これに対し、寮自治会や学部自治会といったあらゆる自治団体を、同学会を軸に一つにがっちりと結集させる、そういう団結体をこれからつくることが問われています。
学生に希望示した
坂野 他大学の仲間も京大の公安摘発にすごく感動したよね。
樋口 学内に潜り込んでいた公安刑事を学生自身が摘発・追放したということは、学生の団結があったから、たとえ逮捕されても仲間がいるという強い団結があったからこそできたのだと思います。「学生は団結すれば国家権力にも勝てる」と示した非常に大きい出来事でした。
澤田 京大の闘いが全国的に報道されて、多くの学生に希望を示しました。11月13日の熊野寮への捜索を大きな契機として、マスコミの「過激派」キャンペーンが始まりましたが、正しいことをしたら「過激派」と言われる状況に逆に疑問を投げかける闘いになりました。何より、そんな敵の思惑をはるかに超えて京大と全学連の闘いが数百万数千万の労働者民衆に宣伝され、勇気を与えたということが決定的です。私の住む日就寮にも東北大学当局による「過激派」キャンペーンがありますが、圧倒的正義があるのは学生です。僕自身も勇気づけられました。
百武 学生が政治的力を発揮して、国家権力を許さない闘いをやった。単なる「公安とのケンカ」ではなく、学生の団結の力で自分たちの政治を国家権力に強制した大勝利でした。拠点大学での闘いが、ついに政治的な力を持ち始めたということです。
赤嶺 僕は、学生自治会をつくって闘うことへの確信をさらに深めました。京大の勝利は学生自治会があったからできた。沖縄大でも再建した自治会のもとに、しっかりと団結をつくっていくことが問われています。辺野古の現場をはじめ、今いろいろなところで多くの人が国家権力の抑圧を感じています。そういう中で京大の闘いを見て、多くの人が胸のすく思いをした。階級的労働運動と学生運動で多くの労働者人民と結合する展望をつくったと思います。
森 今回の事件を勝利的に総括することが大切です。11・2集会後の銀座デモで私を含めて3人の学生を不当逮捕した公安警察が学内に侵入した。同学会は、その公安を摘発して実力で追放する闘いを、仲間との団結にかけてやり抜いた。それは並大抵のことではありません。あの時決断できたのは、一つは権力の方が追い詰められているから学内に入ってきたという時代認識、もう一つはこれから立ち上がろうとする労働者・学生への襲撃でもあるとつかんだからです。だからこそ「京大生の闘いは正しい」という世論が形成されたのだと思います。
怒りと誇りと団結
斎藤 京大の闘いは、僕らが「現代革命への挑戦」を開始し、「7・1情勢」の中で10・21国際反戦デー闘争を闘い、大学キャンパスから戦争を阻止する闘いを本格的に開始した、その転換点で必然的に爆発しました。全学連運動がどうやって今の戦争情勢をひっくり返すのか、安倍政治にどうやって立ち向かうのかを分かりやすく示した闘いでした。あれこそ僕らの路線の最大の表現です。現場の実力で戦争政治を断固粉砕する。そして、そのためには闘う労働組合・学生自治会が絶対に必要だということ。今年は全国の大学であのような闘いをやるという観点から、昨年の京大の闘いの勝利を総括することが重要です。
坂野 この間、安倍の戦争政治への怒りに突き動かされて多くの人びとが立ち上がっています。昨年は安倍政治に抗議して2度の焼身自殺事件まで起きています。そうした中での京大の闘いは、キャンパスで学生が団結して立ち上がることで戦争を止める、安倍政権を倒せる路線を示しました。
もう一つ重要なのは、京大同学会の存在を力ずくで京大当局に認めさせたことです。12年の同学会再建直後、京大当局は「告示」を出して同学会を非公認化し、それ以来、同学会には予算も部室も供与されていませんが、今回の学生の団結した闘いをもって、マスコミも「公安摘発は同学会がやった」と報道せざるをえない力関係をつくった。同学会中央執行委員会が、事実上の全京大生の代表として社会的に登場しました。
作部 今回の「公安摘発事件」の背景にあるのは、一言で言えば「怒りと誇りと団結」です。11月2日に学生3人が不当逮捕され、目の前の公安へのすさまじい怒りが燃え上がった。大学キャンパスに責任をとっているのは自分たちだという誇りもあった。京大の学生自治組織、教授会や職員組合は公安警察が入り込んでいることを黙認し、いまだに声明すら出せない。熊野寮への捜索の時に寮生とも論議しましたが、自分たちが熊野寮を守り抜き、団結して闘ってきたことは正しかったということです。法大闘争の「一人の仲間も見捨てない」路線は、京大の闘いの中でさらに深められました。
そういう議論を重ねてきたからこそ、公安警察も摘発でき、同学会中執と熊野寮自治会が団結を固め、学部自治会も獲得してきている。これが核心です。山極寿一総長は、12月16日にマスコミに対して「京大が公安騒動を収束させたことを警察は感謝すべき」「今後は学内での警察の捜査には協力したい」などと語りました。山極の本性見たり、です。自治と自由と団結を守り抜くためには、安倍と山極体制を打倒する以外にありません。
坂野 7・1閣議決定への回答として、全学連はキャンパスから戦争政治を撃つ。そして「大学の戦争協力」を絶対に許さない。これは安倍・国家権力にとっては最も認めがたい。その「恐怖の表現」として公安が学内に侵入したが、われわれの路線的正義性がそれをはね返した。「路線と義理人情(人間関係)」の二つが重なりあってかちとられた勝利ですね。
自治会の力で戦争とめよう
全国の闘いの前進
坂野 各大学の1年間の闘いを振り返って、どうでしょうか?
赤嶺 沖縄大で学生自治会を昨年5月に再建し、沖縄の労働運動・学生運動を塗り替えていく挑戦が始まりました。本物の闘う学生自治会をよみがえらせた意義は本当に大きい。ある大学職員に聞いたところでは、沖大理事会は僕のデータをホームページなどを使って集めて、「赤嶺は何月何日には大学にいなかった」「この日は闘争に行ったんじゃないか」などと、日ごろは「基地反対」とか「自由」とか言っている大学理事会が「学生運動をどうやってつぶすか」を議論しているそうです。自治会選挙の過程でも、全館放送で「危険な集団が学内をうろついている」と流して妨害してきたのは、地元新聞で「戦争反対」「社会保障の拡充を」とか言っている教授連中です。こういうやつらが沖縄の絶対反対の階級的怒りを、ブルジョアジーと野合する「オール沖縄」にねじ曲げている。
これに対して、「4人に1人が辞めざるをえない大学はおかしい」「ビラまき一切禁止の学則を撤回しろ」「辺野古新基地建設反対」のスローガンを掲げて教授・理事会と闘い抜いて、新たな仲間も決起して自治会を再建した。今年はこれを「絶対反対を貫く自治会」として発展させていきます。
澤田 東北大学では、昨年は7〜9月に明善寮への廃寮攻撃がありました。「7・1情勢」のまっただ中で「改修」を口実にした寮生の問答無用のたたき出しが行われた。この過程で東北大学学生自治会は、廃寮攻撃絶対反対を掲げて闘いました。絶対反対で闘う自治会が多くの東北大生に支持されました。特定サークルに対する電気・暖房ストップなどのサークル棟改修攻撃に東北大当局が踏み込んで来る中でも、サークル員から自治会に逐一情報が届けられました。今まで学生自治会がサークル棟攻防を最先頭で闘ってきたし、明善寮廃寮阻止闘争でも先頭に立っていることをちゃんと東北大生は知っているからです。
坂野 澤田君は昨年11月に自治会委員長になることに先立ち、9月全学連大会で新たに全学連副委員長になりましたね。
澤田 やはり全学連の路線は圧倒的に正しい、それなら自分が最先頭でやらない理由はない、と(一同「おー!」)。僕は動労千葉を先頭とした国鉄労働運動を知って、一般的「左派」やエセ「リベラル」の路線ではなく実力で闘うこと、現場の力関係で社会を根本から変えるという路線に確信を持ちました。その契機となったのは、東北大での講演会で国労秋田闘争団の小玉忠憲さんの話を聞いたこと、そして昨年の6・8国鉄闘争全国集会です。国家の攻撃に対抗していくのは、議会ではなく現場のこういう力だ、と。動労千葉が非正規労働者も含めて団結を拡大していることを聞いて、「ここに国を変える力がある」と。
坂野 日就寮への東北大当局の「過激派キャンペーン」がものすごく行われて、寮生が分断されている中で、どうしたらこの攻撃に勝てるのか。一つは国鉄闘争の路線であり、もう一つは時代認識。澤田君は「資本主義はもう終わりだし、絶対に許せない」と全学連大会でも発言していましたね。
澤田 そうですね。大学当局と学生は絶対に非和解だと、闘いの中で明らかになりました。寮生との議論を重ね、大学当局への抗議行動を続ける中で非和解性がはっきりしたことが大きな勝利です。
百武 広大は昨年、選挙で新しい自治会執行部を打ち立てました。当局からの反動もありましたが、「一人の政治的決起」を絶対に守り抜き、その決起をさらに広げる闘いをやってきました。家族や警察権力をも使った圧力をはね返して1年生が不屈に闘い抜いていることが決定的な勝利です。自分たちの現場を団結して守り抜いていることが、他党派との最大の違いです。衆院選での戦後最低の投票率は安倍への怒りであると同時に、既成野党への怒りでもあると思います。われわれが拠点で闘って怒りを解き放つことが、これからの闘いの展望です。広大で闘っている仲間はその主体であり、一人ひとりがそういう展望を秘めた存在です。
斎藤 法大では昨年2月に、鈴木達夫弁護団長とともに「暴力行為等処罰法(暴処法)」弾圧裁判において被告全員の完全無罪判決を確定させました。歴史に残るような大勝利です。国家権力の弾圧に対し、完全黙秘の闘いで団結を守り現実に打ち破ることができると示しました。
昨年4月に就任した田中優子新総長は警視庁公安部と結託し、5月13日に武田雄飛丸君(法大文化連盟委員長)を「器物損壊」容疑でデッチあげ逮捕させ、6月3日には「暴行」容疑に切り替えて起訴した。しかしこれも、広範な怒りを結集し、法大闘争史上最速の3カ月で武田君の保釈奪還をかちとった。11・2集会後のデモで逮捕された3学友、12月1日に令状逮捕された学友も完黙を貫いて不起訴奪還をかちとりました。敵の弾圧のもくろみは、根っこの部分で破産しているんです。
10・21国際反戦デー闘争には「国家権力と本気で闘っている人たちはここしかない」と首都圏大学の学生が飛び入りで参加してきた。法大闘争が生み出した「絶対反対で闘う」「一人の仲間も見捨てない」の路線が、京大闘争をはじめ全国大学で自治会建設運動の前進として花開いている。だからこそ、今年は絶対に法大闘争に勝たなければならない。エセ「リベラル」=田中優子の化けの皮をはがさなきゃならない。「革命の現実性」をたぐり寄せるためにも、法大での勝利に全力を傾けます。
反原発福島行動へ
坂野 今年は通常国会が安保・戦争・改憲国会となり、集団的自衛権関連法案を粉砕する国会闘争の爆発が最重要の課題となります。そこに向かう決定的な闘争として、樋口君も呼びかけ人に名を連ねている「再稼働、戦争、首切り もうたくさんだ 怒りを力にたちあがろう つながろう 3・11反原発福島行動'15」 があります。九州電力川内原発や関西電力高浜原発の再稼働が狙われる中での闘いとなります。さらに5・15沖縄闘争が重大な決戦ですね。
樋口 求められているのは「絶対反対で闘う勢力」です。体制内派が言うような「資本主義の枠内での解決」とか「原発を段階的になくしていく」とか、あいまいなものは一切通用しない情勢に入っています。特に、安倍政権の福島県民への帰還強制(被曝強制)攻撃との闘いが重要です。闘う労働運動と学生運動が全人民の怒りをまとめ上げ、全原発の廃炉を実現することは絶対に可能です。
3月11日、郡山市でやる全国集会に、全国の闘う学生のみなさんはぜひ集まってください。
赤嶺 沖縄では、辺野古新基地建設への絶対反対の怒りが渦巻く中で、「オール沖縄」はその怒りを体現できないし、階級的労働運動と学生運動の登場が本当に問われます。基地建設を現実に止める展望を示せる闘いを職場とキャンパスから巻き起こしていきたい。そのためにも、沖大当局と真正面から闘って力強い自治会を建設していきたい。5月沖縄現地闘争をそういう闘いとしてやります。ぜひ駆けつけてほしい。
森 京大では昨年11〜12月の激闘の中で、各学部の自治会、熊野寮自治会、同学会で路線討論を重ねてきました。今年はそれを一つにまとめ、全京大生が一丸となって政治闘争にうって出る。何より戦争国会粉砕へ、京大生が同学会のもとに団結を固めて決起するということです。
作部 こちらが攻勢に転じていくために、同学会中央執行委員会が時代認識でしっかり一致することが絶対に大切です。さらに、全学連中央執行委員会の強化・発展を通して、全学連運動の本格的復権が求められています。運動は指導部をつくりながら進んでいきます。支持者から活動家へ、活動家から組織者へ、そして組織者から指導部へと成長していく。その運動の最先頭にいる全学連中執が課題をしっかり共有し、議論しながら飛躍していきましょう。全学連を300万学生の学生自治会の連合体として復権しましょう。
百武 原発再稼働や安保関連法案の国会提出に対して「原発も戦争も学生は許さない!」という闘いを広大キャンパスから巻き起こしていきます。その中で、原発や戦争でもうけるような広大経営協議会を打倒する闘いをやります。
澤田 東北大では、里見進学長が昨年秋に国立大学協会会長になりました。昨年に国立大学法人法が改悪されて「学長権限を大幅に強化する」とされたことも含めて、「大学改革」攻撃との対決になります。キャンパスでも寮でもサークルでも全面激突になる。学生の怒りと誇りと団結の強化・発展をかちとっていきたい。全学ストライキをやりたいですね。
坂野 今年は学生運動が爆発する年になると確信しています。一つはやはり、昨年11月の京大の闘いで全人民的な注目が集まっていることです。もう一つは、『現代思想』という雑誌が昨年10月号で「大学崩壊」を特集しているように、新自由主義大学が本格的に崩れ落ちて矛盾が爆発していく年になります。ロシア革命もそうでしたが、戦争反対の怒りと「生きさせろ」の怒りが一つになって革命情勢は成熟していく。大学でもそうです。昨年10月、東北大学で授業中に刃物を持った学生が「自分を殺してくれ」と言って逮捕されるという事件がありましたが、「戦争と貧困」「学生の人間的疎外」が一体で生み出されていることを直視しなければならない。その中で「団結してともに闘おう!」という勢力が登場することが、今の大学と社会全体をひっくり返す位置を持ってくる。
斎藤 国会では「安保関連法案の一括採決」というやり方で、ほとんどまともな議論もせず強行成立しようとしている。通常国会=戦争国会を包囲・粉砕する巨万の学生のデモ隊を組織することと並んで、労働者・学生の戦争動員を現場で拒否・阻止する闘いが今年から一気に始まっていく。「戦争」「貧困」「学生の孤立化」は全部一体の問題です。安倍はますます社会を崩壊させながら、戦争に向かっていく。それを根本的にひっくり返す闘いをやろう。
坂野 1〜3月決戦で安倍をぶっ倒そう。3・11反原発福島行動に全国から総決起し、3月18日の武田君「暴行」デッチあげ裁判の判決で絶対に無罪をかちとろう。そして、4月の統一地方選=杉並区議選を圧倒的得票で勝利させよう。4〜6月に日米安保ガイドライン再改定と戦争国会をめぐって労働者人民の怒りが高まる中で、5月沖縄現地闘争も大決戦です。反戦政治闘争の先頭に学生が立つと同時に、キャンパスで学生自治会をつくって改悪学校教育法や国立大学法人法を迎え撃とう。「反戦の砦」としての学生自治会を大きく発展させよう。
斎藤 最後に、あらためて訴えたい。全社会を揺さぶり、侵略戦争を実力でぶっ止め、安倍を倒すような巨大な学生の国会包囲デモを絶対に今年前半期に実現しよう。「全学連」の名前と闘いを全国・全世界にとどろかせよう。4月新歓で膨大な新入生と結びつこう。そして、戦後革命期を超える勢いで、北海道から九州まで全国津々浦々に学生自治会をつくり出していく。その闘いの先頭で、全学連中央執行委員会は団結を固めて頑張ろう!
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▼人民の護民官 レーニンは著書『なにをなすべきか』(1902年、レーニン全集第5巻)の中で、労働者階級の政治的指導者のあるべき姿を次のように描写した――「ありとあらゆる専横と圧制の現われに反応することができ、これらすべての現われを、警察の暴力と資本主義的搾取とについての一つの絵図にまとめあげることができ、......自分の社会主義的信念と自分の民主主義的諸要求を万人の前で叙述し、プロレタリアートの解放闘争の世界史的意義を万人に説明することのできる人民の護民官でなければならない」