川内原発再稼働阻止!全原発廃炉へ 20基の再稼働を申請、核燃サイクル維持し核武装狙う

週刊『前進』06頁(2661号04面01)(2014/12/15)


川内原発再稼働阻止!全原発廃炉へ
 20基の再稼働を申請、核燃サイクル維持し核武装狙う


 1%の資本家階級のための戦争政治を断ち切る闘いに挑戦した衆院選決戦は、プロレタリア革命への歴史的関門を押し開いた。今こそフクシマの怒りをともにし、戦争国家化・核武装国家化攻撃を労働者階級人民の団結の力で打ち砕く時だ。

県知事が「命の問題はない」

 3・11福島原発事故は、「原子力の平和利用」という偽装形態で推進してきた日本帝国主義の核武装策動を全面的な崩壊の危機にたたき込んだ。フクシマを始めとした労働者人民の「原発いらない、すべてなくせ!」の闘いの爆発に、日帝支配階級は顔面蒼白(そうはく)になった。
 世界大恐慌のもと、帝国主義間・大国間争闘戦が軍事的衝突の様相を深めている。脱落帝国主義・日帝は決定的に追い詰められ、集団的自衛権行使を容認する7・1閣議決定を強行し、特定秘密保護法などの戦時型治安弾圧法制定とワンセットで戦争国家化と核武装へと本格的に突き進み始めた。
 この非和解的な階級攻防の焦点として、原発再稼働をめぐる反原発闘争がますます重大になってきている。
 原子力規制委員会の委員長・田中俊一は原発再稼働について「安全とは言わない」とほざき、安倍は「規制委が安全と判断したものは再稼働する」と放言した。
 そして鹿児島県知事・伊藤祐一郎は、この無責任・でたらめ極まりない政府・規制委の新規制基準を絶賛して、地元住民の多数の反対を無視し、川内原発再稼働に同意した。地元同意の範囲について「拡大すると錯綜(さくそう)するだけ」と地元を切り捨て、「もし福島みたいなことが起こっても、命の問題なんか発生しない」と、絶対に許せない暴言を吐いた(11月7日の記者会見)。地元住民・労働者人民の命を一顧だにせず、3・11をなかったことにし再稼働を強行する――これが日帝支配階級の正体だ。
 3・11による大量の放射能放出と未曽有の大規模汚染。事故収束はまったくめどがつかず、被曝労働と日々苦闘する現場労働者。突然避難を強いられ生活を破壊され命を奪われた多くの人びと。いまだふるさとに帰ることのできない13万もの人びと。そして子どもの甲状腺がんを始めとする疾病の多発。このフクシマの現実をなんだと思っているのか?
 再稼働は、労働者階級人民の生きる根源を破壊する最も憎むべき犯罪行為だ。再稼働推進の一握りの支配階級どもを、団結して本当にぶっ倒さなければならない。

核燃続行と新型原子炉開発

 経済産業省の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会は11月27日の会合に提出した「原子力小委員会における中間整理(改訂案)」において、原子力を「重要なベースロード電源として活用していく」と言い放ち、原発再稼働や新増設、核燃料サイクル続行、そして高温ガス炉開発を骨格とする方針を打ち出した。
 ①原子力規制委に再稼働を申請した原発は14原発20基。鹿児島県・川内原発を突破口に、福井県・高浜3号機、佐賀県・玄海3号機、愛媛県・伊方3号機など、プルサーマル対象原発を先行して再稼働しようとしている。そして建設中だったフルMOX燃料の青森県・大間原発は12月中に審査申請する。これらは「国際公約」としてのプルトニウム消費のペテン的政策から最優先課題とされているものだ。
 ②同案は、高速炉を含む核燃料サイクル政策、プルトニウム管理・利用の推進継続を声高に叫んでいる。青森県六ケ所村のウラン濃縮工場・再処理工場・MOX燃料工場などがすでに原子力規制委に申請され、現在審査中という。核兵器材料のプルトニウムを大量生産する核燃料サイクルこそ日帝の核武装策動の基幹をなす。
 ③新型高温ガス炉(茨城県大洗町の高温工学試験研究炉)の審査申請も行われた。電力・水素の生産をうたっているが、これはれっきとした黒鉛炉だ。核兵器級プルトニウムを生産すると言われている点から断じて見過ごすことはできない。
 これら一連の動きは、プルトニウム生産・保有体制の維持・拡大を基底にしたものだ。
 「(核兵器の)保有能力は持つが、当面、政策として持たない、という形でいく。そのためにもプルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発しておかなければならない」(外務省幹部談話、朝日新聞1992年11・29付)。これが「原子力の平和利用」を掲げて推進してきた日帝中枢の核武装策動にほかならない。

安倍―葛西体制ぶっ倒そう

 1980年代に当時の首相・中曽根康弘と結託して国鉄分割・民営化攻撃を強行し、20万人の国鉄労働者の首を切り、200人の国鉄労働者を自殺に追い込んだ葛西敬之(現JR東海名誉会長)。この労働者階級の不倶戴天(ふぐたいてん)の敵は、「クリーンで低コストの原発」と大ウソをつき、内部被曝の問題を意図的に無視抹殺して、「非理性的な放射能恐怖症の霧を晴らせ」とフクシマの怒りを罵倒(ばとう)し、「貿易赤字の改善に即効性がある」原発再稼働を推進せよと扇動している(読売新聞11・23付)。
 反原発闘争の爆発を死ぬほど恐れ、「原発を再稼働しろ」とわめく葛西は今、内閣府直属の宇宙政策委員会の委員長となっている。原子力基本法とともに、宇宙基本法にも「安全保障に資する」という文言が挿入された。そして「平和利用」とは名ばかりの核弾頭と核運搬手段を要とした核兵器(大量虐殺兵器)製造体制づくりが進行している。葛西は「宇宙産業というのは、日本の国の安全とか同盟の実効性を担保するための産業」と、「死の商人」・軍事(核軍事)の論理むき出しの発言をしている。
 小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げが喧伝(けんでん)されているが、それは大陸間弾道ミサイルに転用可能なロケット技術の蓄積を決定的にエスカレートするものにほかならない。葛西こそ金もうけと核武装、内部被曝の隠蔽(いんぺい)、被曝労働強制と労働運動つぶし、新自由主義攻撃の最も悪質な元凶である。
 国鉄決戦と反原発闘争は、安倍そして葛西に体現される日帝権力・資本家階級との激突だ。
 階級的労働運動を基軸に、国鉄決戦と反原発闘争を一体のものとして闘い、安倍―葛西体制をぶっ飛ばそう。原発労働者と連帯し、川内原発再稼働を絶対に阻み、来年3・11闘争の大爆発をかちとろう。全原発即時廃炉、資本主義打倒へ進撃しよう。
〔河東耕二〕

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経産省総合資源エネルギー調査会原子力小委員会における中間整理(改訂案)(第10回会合 11月27日)
・原子力は、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給 構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源とし て活用していく
・高速炉を含め、プルトニウムを適切に利用するための 様々な方策について、引き続き開発を続けていく
・次世代炉の研究開発の方向性についても議論する

高温ガス炉 黒鉛で中性子を減速し、ヘリウムガスで核分裂反応熱を冷却する原子炉。燃料は二酸化ウラン。他の原子炉と同様に、稼働すれば燃料中に放射性物質(「死の灰」)を生じる。配管破断でヘリウムが抜けると炉心に大量の空気が流入し、高温の黒鉛が空気中の酸素と接触して燃えだす危険がある。核兵器の材料となる兵器級プルトニウム(プルトニウム239の含有量が93%以上)をつくりやすい黒鉛炉の一種。

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