11・29市東さんの会シンポ 〝検証・成田空港と住民の暮らし〟 「WHO基準での騒音」焦点に

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週刊『前進』06頁(2660号06面04)(2014/12/08)


11・29市東さんの会シンポ
 〝検証・成田空港と住民の暮らし〟
 「WHO基準での騒音」焦点に


 11月29日、「市東さんの農地取り上げに反対する会」が主催する恒例のシンポジウムが開かれました。(写真)
 今回は「検証・成田空港と住民の暮らし」と銘打って、成田空港の騒音にテーマを絞って準備され、より「現地性」を強く押し出して成田市での開催となりました。あいにくの雨模様でしたが、成田山新勝寺すぐそばの成田公民館のホールには、騒音地域の住民を始め約100人がつめかけました。
 今回のメインの企画は、北海道大学大学院の松井利仁教授による「命削るリスク――WHO基準に基づく騒音被害」と題した講演です。
 今年の5月21日に横浜地裁で出された第4次厚木爆音訴訟判決は、原告住民の健康被害を認め、自衛隊機の夜間・早朝の運航差し止めを命じる画期的なものとなりましたが、この裁判で松井教授が出した騒音の鑑定意見書が決定的な役割を果たしたのです。
 松井さんは、「航空機騒音は有害化学物質と同じくらい人の健康に被害を与える」との衝撃的な結論をまず述べ、スライドでスクリーンに図表などを投射しながら、騒音によってもたらされる睡眠障害、高血圧などの健康被害について丹念に説明しました。
 そして、欧州WHOの騒音ガイドラインに基づいて、成田空港の騒音調査を解析し、厚木基地を上回るほどの騒音被害が生じていること、とりわけ深夜・早朝の影響が深刻であることを明らかにしました。
 集会はさらに、空港周辺で撮影された離着陸時の音と映像の再現による騒音被害の体感、成田市議会議員の足立満知子さんの「成田空港の騒音問題と急浮上した拡張計画」と題した報告、質疑応答などを経て、最後に市東孝雄さんが登壇しました。
 「私は天神峰で完全無農薬有機栽培で野菜をつくっています。祖父の代から100年近く耕してきた畑です。空港会社は〝空港に反対する者は許さない〟とのことで、私を裁判に訴えて追い出そうとしていますが、これは私だけの問題だけではありません。東峰部落を始め5600軒もの住民が騒音被害にさらされています。規制を取り払って24時間空港にすることなど、許すことはできません。農地は私にとって命です。私はこの地で農業をやり続けます。みなさんのお力を借りて、これからもがんばります」
 この揺るぎない市東さんの決意に、全参加者が惜しみない拍手を送りました。三里塚の農地を守る闘いの拡大へ奮闘が続きます。
(田宮龍一)
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