国鉄10万筆署名達成を 非正規職撤廃の鍵は国鉄決戦 解雇撤回・外注化粉砕へ闘おう 今こそ闘う労働組合をつくる時

週刊『前進』08頁(2659号02面03)(2014/12/01)


国鉄10万筆署名達成を
 非正規職撤廃の鍵は国鉄決戦
 解雇撤回・外注化粉砕へ闘おう
 今こそ闘う労働組合をつくる時

総非正規化のアベノミクス

 東京8区(杉並区)で衆院選に立つ鈴木たつお弁護士は、そのスローガンのひとつに「民営化・外注化反対、非正規職撤廃、労働組合をよみがえらせる」を掲げている。これは労働者階級の切実な要求であり、現に労働者階級が闘っている課題そのものである。
 安倍政権が強行してきたいわゆる「アベノミクス」によって、労働者の生活はとことん破壊された。安倍は「賃金は上がった」「失業率は低下した」などとうそぶくが、そのすべてが大うそだ。
 総務省が11月に発表した労働力調査でさえ、労働者のうち非正規職の割合は37・1%に上っていることを示している。第2次安倍政権が成立した12年10―12月期と14年7―9月期を比べると、正規職労働者は25万人減る一方、非正規職労働者は109万人増えた。「アベノミクス」によって、正規労働は非正規労働に置き換えられたのだ。
 安倍が総選挙で「アベノミクスの信を問う」と言うのなら、労働者階級は破産した「アベノミクス」を根本から葬り去らなければならない。
 安倍は先の臨時国会で労働者派遣法の改悪を押し通そうとした。それを実現できないまま安倍は解散・総選挙に追い込まれたが、労働者派遣法改悪は、ほとんどの労働者を非正規職に突き落とし、生涯、そこから抜け出せない状態にたたきこもうとするものだ。

組合つぶしの首切り許すな

 労働者派遣法は1986年に施行された。これにより中間搾取(ピンハネ)を禁止した戦後労働法制の根幹は解体された。同時期に行われた87年の国鉄分割・民営化も、「労働者の団結権は保障する」「組合破壊のための不当労働行為は禁止する」という憲法28条と労働組合法を踏みにじるものだった。国家が政策として労組つぶしを強行したのだ。
 国鉄分割・民営化によって解雇された1047名の解雇撤回を求める闘いは、戦後最大の労働争議だ。だから、これに勝ちきることが、労働者全体の未来を切り開く。
 国労本部などは2010年4月9日、解雇撤回を投げ捨てて闘争を終わらせた。だが、動労千葉の9人の組合員は、あくまで解雇撤回を掲げて闘い続けた。その闘いは12年6月29日に東京地裁で、13年9月25日には東京高裁で、画期的な判決を引き出した。9人の組合員の名前をJR採用候補者名簿から削った国鉄の「不採用者選定基準」は不当労働行為だと認定させたのだ。
 しかし、両判決は国鉄の不当労働行為を認定しながら、解雇撤回・JR復帰を認めなかった。不当労働行為による解雇なら元の職場に戻すことが原則だ。動労千葉は今、この判決を食い破り、最高裁に解雇撤回の判決を出させるために闘い続けている。
 最高裁あての10万筆署名運動は、この闘いを労働者階級全体のものとし、国鉄解雇を打ち破ることによってすべての労働者の権利を取り戻す取り組みだ。署名は11月26日現在で7万9739筆に達した。何としても10万筆を集めきろう。
 最高裁判決は12月中に出されてもおかしくない状況だ。最高裁をめぐる攻防は総選挙決戦と重なった。それは、総選挙決戦の中で国鉄解雇撤回をとことん訴え、10万筆署名を達成し、最高裁を追い詰めるチャンスを手にしたということだ。
 国鉄分割・民営化を強行するためにつくられた国鉄改革法は、「国鉄とJRはまったく別物」という虚構をしつらえた。東京地裁、東京高裁の判決が、国鉄の不当労働行為を認定しながらJR復帰を認めなかったのは、国鉄とJRは別物だから国鉄が不当労働行為をしてもJRには関係がないという理屈による。企業が看板を掛け替えれば、組合つぶしを目的にした不法な解雇も有効になるというのだ。この許しがたい仕組みをつくったのは、国鉄分割・民営化当時、国鉄職員局次長だった葛西敬之(現JR東海名誉会長)だ。
 それ以来、資本による不当な解雇や組合つぶしが全社会で横行するようになった。「ブラック企業」がはびこり、青年が使い捨てにされ、未来を閉ざされている現実は、国鉄分割・民営化から始まったのだ。
 労働者の非正規職化は外注化をてこに進行した。本体から切り離され外注先に委託された業務は、外注先の非正規労働者が担うようになった。
 外注化の先頭を走っているのもJRだ。JRは車両の検査・修繕という鉄道の安全の根幹にかかわる業務まで外注化し、事故を多発させている。
 動労千葉は2000年に本格的に始まった外注化と対決し、12年にわたって外注化を阻止してきた。12年10月に検査・修繕業務の外注化は強行されたが、動労千葉は外注会社の中に組合組織を拡大し、JRと外注先の労働者がともに団結して外注化を粉砕する闘いに立っている。「すべての業務をJRに戻し、JRは外注先の労働者を正規労働者として直接雇え」という闘いは、JRと外注先、正規と非正規の分断をのりこえた団結をつくり出している。それは、非正規職化の進行過程そのものにストップをかける、これまでの歴史にない闘いだ。
 動労千葉の兄弟組合である動労水戸は、福島第一原発直近の竜田駅まで常磐線を延伸させたJR東日本に対し、「乗客も乗務員も被曝させるな」と、数波のストを打ち抜いて立ち向かった。

鈴コン分会の勝利に続こう

 こうした闘いに続き、労働組合が本来の力を取り戻してこそ、金持ちだけが肥え太る今の社会をひっくり返せる。
 それを実証したのが東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の闘いだ。3カ月の有期雇用契約の更新を繰り返してきた非正規労働者が「非正規職撤廃」を掲げて立ち上がったとたん、会社は解雇攻撃をかけてきた。それに対して同分会は徹底的に団結を固め、国鉄闘争に学んで解雇撤回の粘り強い闘いを推し進めた。支援の輪はあらゆる職場・地域に広がった。そしてついに会社に解雇を撤回させ、事実上の無期雇用とすることを認めさせ、「不当労働行為はしない」と約束させた。組合員は職場に戻り、職場でさらに労組を広げるために闘っている。
 この勝利は、いつ雇い止めされるかわからない不安を抱えて働いている労働者、社長や上司のパワハラに怒りをためながら声を上げることをためらっている労働者、低賃金に苦悩する労働者に、希望の火をともした。
 鈴木たつお弁護士が掲げる「労働組合をよみがえらせる」とは、資本によってしいたげられた労働者が、誰かの救済を待つのではなく、自ら立ち上がって労働組合に団結し、この社会を根本的に変革しようという呼びかけだ。動労千葉顧問弁護団の一員であり、鈴木コンクリート工業分会・解雇撤回訴訟や国労組合員資格確認訴訟の代理人を務めてきた鈴木弁護士こそ労働者の代表だ。
 2015年は「動労総連合を全国に」を真に実現する年になる。総選挙決戦を闘い、その壮大な突破口を押し開こう。

------------------------------------------------------------
国労組合員資格確認訴訟
 12月2日(火)午後3時20分
 東京高裁424号法廷

このエントリーをはてなブックマークに追加