社会保障解体許すな 〈生活保護〉 生活保護をはく奪する新自由主義を打倒せよ
社会保障解体許すな 〈生活保護〉
生活保護をはく奪する新自由主義を打倒せよ
年金、医療、生活保護をはじめとする今日の社会保障・福祉とは何か。
労働者階級は戦後、二度と戦争を起こさせないと誓って、生きぬくために国籍を超えて巨大な規模で立ち上がりました。資本家階級の政府はこの革命を圧殺した代償として社会保障・福祉を制度化したのです(憲法25条)。しかし資本家階級は1980年代の国鉄分割・民営化から始まった新自由主義、その大破産としての大恐慌と世界戦争の中で一切を奪い去ろうとしています。
社会保障の財源はすべて労働者階級から収奪した税・保険料です。社会保障を国家の恩恵であるかのように主張するのは資本家階級のイデオロギーです。議会主義政党や体制内労働運動も権利擁護とお願い運動で社会保障を得ようとしてきました。しかしもう改良主義や政府へのお願い運動は通用しません。
■生活保護受給者が激増
生活保護受給者は戦後期の200万人から90年代に88万人へと減少しました。しかし新自由主義はこれを逆転させました。世界大恐慌突入で受給者は160万世帯230万人に及んでいます。
しかも、その背後には生活保護を申請できなかった膨大な数の人びとや生活保護以下の年収200万円以下のワーキングプア労働者が1100万人もいます(国税庁調査)。また、「住居を持てなかった」がゆえに申請すらできず、「日払い就労」や「ネットカフェ難民」が後を絶ちません。厚労省はその数を2009年時点で推定5400人と認めています。
しかも生活保護受給者を、福祉や人権をかたる新手の貧困ビジネスが餌食(えじき)にしています。高齢の路上生活者を施設や粗末なアパートに閉じ込め、生活保護を一括受給させ、そこから「1人につき月10万円、年商2億円」をかすめ取る業者がいます。
こうした生活保護問題は、体制内勢力が言う「生活保護者の人権擁護」では解決できません。雇用破壊、総非正規職化、大失業をもたらす資本主義、帝国主義、新自由主義を打倒しなければなりません。
■最低賃金以下の就労
生活保護剥奪(はくだつ)は改憲攻撃です。生活保護が「最後のセーフティネット」として機能してきたのは、まだまだ労働組合の団結が存在し、正規職が一般的で、失業しても雇用保険や家族手当・住宅手当などがあった時代のことでした。しかし非正規職が常態化すると、生活保護は「なけなしの生活の糧」になり、貧困ビジネスの「稼ぎの場」と化し、政府の成長戦略のもとで就労あっせん=「中間的就労」(最低賃金以下の時給400円労働)へと誘導されてきています。
労働者の団結を破壊し、労働組合を解体する攻撃がこうした事態を生み出したのです。
■資本家階級の悲鳴
財務省は10月、生活保護時の処方薬をジェネリック(値段の安い後発医薬品)に切り替えて生活保護費を500億円圧縮し、また住宅扶助を削減する方針を発表しました。昨年実施の「3年で生活扶助の10%削減」に続く引き下げです。
7月には最高裁が「永住外国人は生活保護法の適用対象ではない」と判断した決定を出しました。これに飛びつき、「次世代の党」が「生活保護からの外国人排除」法案を提出しようとしています。とんでもない!
憲法公布に先立つ1946年9月、国籍を超えて住民を対象とする旧生活保護法が制定されました。戦後革命期の階級間の力関係が表されています。支配階級は今日、この悪夢を再び見たくないと悲鳴をあげているのです。正規―非正規の壁を越え、国籍・属性などあらゆる分断をはね返した労働組合を軸とした国際的で階級的な団結の復権で生活保護剥奪を阻止しましょう。
(岩崎泰明)