焦点 労働者派遣法改悪を阻止しよう 全業種・無期限の派遣可能に
焦点
労働者派遣法改悪を阻止しよう
全業種・無期限の派遣可能に
安倍政権は9月29日、労働者派遣法改悪案を臨時国会に再提出した。先の国会で条文に誤りが見つかり、廃案となった法案と同じ、極悪の内容だ。
●派遣が限りなく全面化する
改悪案は、これまで最長3年とされてきた企業の派遣労働者受け入れ期間の上限をなくす一方、労働者は全員3年で解雇とすることを定める。26業務にのみ認められてきた期限のない派遣を全業種に広げる。全労働者を派遣労働者に置き換えることも可能となるということだ。
26業務とは通訳や秘書など専門的な業務のことだ。改悪案はこの枠を取り払って全業務とした上で「同じ業務で3年まで」とする上限を、「同じ労働者で3年まで」に変える。「業務」ではなく「労働者」に置き換えることで、企業は3年ごとに労働者を入れ替えれば、いくらでも派遣労働者を使い続けることができる。労働者は、いや応なく3年で解雇される。
延長にあたって「労働組合の意見を聞く」ことを条件としているが、現状ではほとんど意味をなさない。資本は派遣労働という無権利・低賃金の使い捨て労働力を好きなだけ利用できて、「偽装請負」の問題もなくなる。雇用責任はあいまいとなり、労働の安全・衛生の責任を放棄して労働災害すら居直る。3年で解雇の強制で、あるかなきかの「正社員への登用」や「直接雇用」の餌(えさ)も、労働者の分断と団結破壊、極限的な労働強化の攻撃として、一層鋭さを増すこととなる。労働組合破壊の不当労働行為のオンパレードとなるということだ。
これまで「派遣は例外的な雇用」が原則とされてきた。その建前すらなくなることで歯止めはなくなる。派遣への置き換えが一気に進み、正社員ゼロ=総非正規職化が全面化する。この全労働者に対する攻撃を労働組合の闘いで打ち破ろう。
●残業代ゼロ、年功賃金廃止も
安倍政権は9月から、経団連など資本家団体、連合と自動車総連が参加する政労使会議を再開した。残業代なしの長時間労働を可能として過労死をさらに激増させる「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入、女性・高齢者・外国人労働力の駆り出しの議論を進めるとともに年功型賃金=定期昇給制度の廃止と人事評価に基づく成果主義賃金への転換の議論を始めた。基本給の一律賃上げ、ベースアップといった賃金闘争の前提となる賃金体系すら一掃しようというのだ。すでにパナソニックやソニー、日立などでは御用組合の協力のもとで年功制賃金全廃の攻撃がかけられ、その効果として人件費2割削減が公然と言われている。それは、終身雇用の廃止、外注化・非正規職化と出向・転籍=解雇自由化、労働者の分断・団結破壊と一体であり、派遣法改悪とともに全労働者の雇用と賃金の破壊を根底から進めようとするものだ。まさに新自由主義の階級戦争だ。
安倍政権の危機は急速に深まっている。大恐慌と貧困、戦争情勢の激化、集団的自衛権行使の7・1閣議決定とアベノミクスの総破綻の中で、労働者階級の怒りが、国鉄闘争を先頭に、デモとストの大きな流れとなって噴き出しつつある。小渕優子経済産業相、松島みどり法務相の辞任=打倒は安倍政権打倒の始まりだ。安倍は、戦争と武器輸出、鉄道・原発輸出とともに民営化と労働規制撤廃による搾取の極限的強化と団結破壊にかけざるをえない。そのための労働者派遣法改悪であり、帝国主義労働運動に純化する連合や体制内勢力の先兵化だ。しかしそれは労働者の怒りの火に油を注ぐものだ。
●動労千葉、鈴コンに続こう
国鉄闘争の勝利、階級的労働運動の前進が安倍を倒し、プロレタリア革命の勝利を開く。動労千葉の10・1ストは、JR本体とCTS(千葉鉄道サービス)の組合員が一丸となって打ち抜いた歴史的ストとなった。3カ月雇用の労働者の労働組合である東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の解雇撤回・原職復帰、事実上の無期限雇用と不当労働行為粉砕の歴史的勝利は、資本の支配のもとで苦しむすべての労働者を激励している。職場生産点から闘いの火の手を上げよう。11・2集会の大結集をもって、派遣法改悪を粉砕し非正規職撤廃・派遣法撤廃をかちとろう。