核武装化へ再稼働を狙う 労働組合の力で全原発廃炉を
核武装化へ再稼働を狙う
労働組合の力で全原発廃炉を
安倍政権は7・1集団的自衛権行使閣議決定の強行をとおして「戦争する国」へ、そして福島原発事故・放射能汚染・内部被曝を押し隠して原発再稼働へ突進している。しかし、福島の怒りと固く結合した階級的労働運動、反原発闘争の前進は日帝支配階級を決定的に追いつめている。本稿では、原発再稼働策動の背景をなす核武装国家化の攻撃を暴く。
原子力規制委の本性は原発政策の積極的推進
10月9日、原子力規制委員会は鹿児島県の要請で、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機再稼働の適合性審査結果の住民説明会を同原発のある薩摩川内市で行った。説明会では「福島の事故が収束していないのに再稼働は拙速(せっそく)だ」「リスクがあるなら再稼働するな」「子どもと孫に責任を持てるのか」など、住民の怒り、不安の声が噴出した。だが主催者は、大量に配備した警察・警備員を背景に説明会を一方的に打ち切った。
さらに規制委員会は川内原発に続き、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)に対して再稼働のゴーサインである審査書作成に着手しようとしている。同時に再処理工場・高速増殖炉をかなめとする核燃料サイクルの新基準適合の審査へ動き出している。
原子力規制委員会は原発再稼働・原発推進のための御用機関にほかならない。元原子力学会会長の委員長・田中俊一をはじめ、3・11福島原発事故という核犯罪の張本人どもががん首をそろえ、再び原発を動かし、3・11を繰り返そうとしている。福島の子どもたちの甲状腺がんがすでに疑いも含め104人に達し、多くの人びとが放射能汚染のためにふるさとに帰ることができない。この現実を何だと思っているのか。絶対に許せない。
9月に規制委の新委員に就任した田中知(さとる)も原子力学会の元会長であり、原発・核燃サイクル推進の中心的御用学者だ。東芝、日立、電源開発などの原発関連企業から長年、金銭を受け取ってきた。また日本原燃株式会社の再処理「ガラス固化技術研究評価委員会」委員長、「もんじゅ」をベースとした高速増殖炉開発の三菱FBR社の「アドバイザリー・コミッティー」として多額の報酬を得ている。
経済産業省の総合資源エネルギー調査会の委員にも名を連ねるなど、原発・核燃(核武装)計画に率先して加担してきた犯歴を買われて新委員に任ぜられたのだ。核燃の新規制基準審査合格承認のための露骨な人事だ。
〝高速増殖炉等で核武装できるポジション持つ〟
青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場は原発の使用済み核燃料から原爆材料のプルトニウムを取り出す核軍事工場であり、日帝の核武装化の基幹をなす。これまで2兆円もの巨額資金がつぎ込まれたが、事故・故障の連続で稼働延期を重ね、経済的・技術的破産の危機に瀕(ひん)している。安倍政権は今、日本原燃の経営形態を株式会社から「認可法人」へ変更しようと画策している。国の直接的関与を強化し、再処理工場を維持しようというのだ。
日本原燃は今年1月、再処理工場やウラン濃縮工場など一連の核燃サイクル施設について、原子力規制委員会に新規制基準による審査を申請した。福島や鹿児島の住民をはじめとした原発再稼働絶対反対の叫びに全面敵対し、再稼働の準備に突っ走るなど、言語道断の犯罪行為だ。
一方、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」は核兵器に最適な超高純度のプルトニウムを生産する最重要の核軍事施設だ。「もんじゅ」はナトリウム流出火災事故そして炉内中継装置落下事故を起こしたにもかかわらず、その後も1万点もの機器の点検漏れ、非常用発電機などの重要機器の点検漏れ・虚偽報告など、重大事故の再発につながる、でたらめな保守管理の実態が発覚している。その結果、現在は原子炉等規制法によって運転再開準備禁止の状態にある。「もんじゅ」の行きづまりは帝国主義としての生き残りをかけた核武装国家化計画の破産を意味する。
日帝中枢の核政策はこれまで一貫して、「高速増殖炉等の面で、すぐ核武装できるポジションを持ちながら平和利用を進めていく」(1968年外務省「外交政策企画委員会」)、「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(潜在能力)は常に保持する」(69年「外交政策大綱」)というものである。安倍政権も当面の方針としてこれを踏襲している。極右で核武装主義者の安倍晋三は「もんじゅ」運転を再開しようと絶望的に突き進んでいる。原子力規制委員会に「核燃の専門家」である田中知を送り込んだのもその一環である。
核燃サイクルの総破産の危機に直面する日帝
原発の正体は核軍事工場だ。原発は、電力生産と同時に原爆の材料となるプルトニウムを生産する。原発を稼働すればするほど、プルトニウムが大量に生産・蓄積されていく。日帝はすでに47㌧ものプルトニウムを保有する、「非核保有国」では最大のプルトニウム保有国である。
再処理工場で原発の使用済み核燃料からプルトニウムを分離し、ウランとの混合燃料にして高速増殖炉で燃やせば、純度98%の最高核兵器級プルトニウムを生産できる。
帝国主義間・大国間の争闘戦の急速な戦争化は、7・1集団的自衛権行使閣議決定と一体となって日帝の核武装化衝動をかき立てている。「もんじゅ」が動かず、原発がすべて止まっているなかで、「原子力の平和利用」の化けの皮がはがれ、プルトニウムの使用が軍事目的であることがむき出しになってきた。
「余剰プルトニウムを持たない」とする「国際公約」の破産の危機が日帝を締め上げている。プルトニウムを原発で消費するというプルサーマル計画の再現・拡大こそが日帝に残された「核武装ポテンシャル保持」の最後の望みの綱となったのだ。日帝安倍政権の原発再稼働攻撃の最大動因がここにある。川内に続く高浜、玄海、伊方などの原発は、軒並みプルサーマル対象原発なのだ。
だが、反原発闘争の永続的高揚と核燃サイクルのボロボロ化は、日帝の核武装国家化攻撃を絶望的危機に追い込んでいる。資本主義・新自由主義の搾取・抑圧、戦争に対する労働者の怒りは、フクシマ、ヒロシマ・ナガサキの怒りと合流し、日帝・安倍政権をぶっ飛ばす革命の激流へと成長しつつある。被曝労働と日々苦闘する原発・核燃の労働者との連帯を求める階級的労働運動こそ、全原発即時廃炉・核武装阻止の勝利の道だ。
日米原子力協定は2018年に期限切れとなる。16年期限切れを目前に韓国での再処理問題を焦点にした韓米原子力協定協議が最終局面に入った。核をめぐる日韓米の動向は、東アジアにおける戦争(核戦争)への転化情勢を激しく促進する。日韓米・全世界の労働者と連帯して侵略戦争を阻止し、帝国主義の世界支配をくつがえそう。
11・2労働者集会の大爆発をかちとり、川内原発再稼働を絶対阻止し、安倍を打倒しよう。
〔河東耕二〕
------------------------------------------------------------
▼プルサーマル計画 原発の使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混合したMOX(混合酸化物)燃料を普通の原発(軽水炉)で使う計画のこと。普通の原発はウラン燃料を使っている。同計画は「余剰のプルトニウムを持たない」という日本の国際公約を守るためとされているが、実際は「原子力の平和利用」を口実に原爆材料としてのプルトニウムを恒常的に保有する核武装計画のためのもの。