動労総連合 出向無効訴訟 委託契約書出させる 安全崩壊の実態暴き追及
動労総連合 出向無効訴訟
委託契約書出させる
安全崩壊の実態暴き追及
動労総連合強制出向無効確認訴訟の第8回口頭弁論が10月8日、東京地裁民事第11部(佐々木宗啓裁判長)で開かれた。これは、検修・構内業務の外注化により外注先への出向を強いられた動労千葉・動労水戸・動労連帯高崎の組合員が、JR東日本に対し出向命令の取り消しを求めて闘われている裁判だ。
法廷で原告代理人弁護士は、「被告は外注化により原告が受けた不利益はないと言うが、外注化により労働者の生命・身体への重大な侵害が続いている」と声を強めた。幕張車両センターの車輪転削業務で起きた小指切断事故や、銚子検査派出で床下機器点検中に列車が走り出そうとしたことなどの具体例を挙げ、「それでも原告に不利益はないと言えるのか」とJR側に迫った。
原告代理人はまた、「緊急時」と称して通常の作業についてもJRの管理者が外注先の労働者に作業指示を出していること、作業が行われた後でJRから外注会社への業務発注書が作成されるケースが続発していることを指摘した。まさに偽装請負そのものだ。
この裁判では当初から、JR東日本と外注会社が交わした業務委託契約書の開示が重大な争点になっていた。委託契約の内容は、外注先の労働者の業務を直接に規定しているからだ。
前回裁判で裁判長は、委託契約書を証拠として提出するようJR側に強く促した。JRはようやくJR東日本と千葉鉄道サービス(CTS)との業務委託の概略を定める基本契約書を出してきた。これを巡っても緊迫したやり取りが続いた。
JRはCTSとの基本契約書は開示したが、水戸鉄道サービスや高崎鉄道サービスとの契約書は隠している。「水戸や高崎のものを出せない理由は何か」と問い詰める原告側に、JRは「千葉のものと基本的に変わらないから出さない」と返答した。「基本的に同じなら水戸、高崎のものも出せるはずだ」と迫る原告側に、JRは「出す必要はない」と居直った。
さらにJRは重大な事実を口走った。委託業務の内容を具体的に定める個別の契約は、JRの発注書と外注会社の発注請書によって成立するというのだ。こんな「日々発注」というやり方で、安全を確保して鉄道業務を行うことなどできない。
委託契約書をめぐっては、昨年9月、文書の偽造を防ぐため、裁判所がJRに公証役場で内容の証明を受けるよう命じた経緯がある。今回の裁判でJRは、千葉に関する契約書は公証役場で内容証明を受けたもののすべてなのか一部なのかを明らかにすることさえ拒んだ。原告側は直ちに、すべての契約書を開示させるための文書提出命令を裁判所に申し立てた。
裁判は重大局面に入った。一部とはいえ委託契約書を出させたことは、外注化の矛盾を追及する武器になる。原告はJRと裁判所をさらに追い詰め、すべての契約書を開示させる決意を固めた。
裁判後の報告集会で動労千葉の川崎昌浩執行委員は「今日の闘いを11・2集会1万人結集へ」と強調した。その後、原告らは同日に東京高裁で行われた三里塚農地裁判の闘いに合流した。
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▼車輪転削 磨耗した車輪を回転させた状態で削り円形に整え直す業務。
▼公証役場 遺言状や契約書など法的効果を持つ文書が真性に作成されたことなどを認証する機関。公的機関だが独立採算制で運営される。
▼文書提出命令 民事訴訟で立証に必要な文書の提出を拒む相手方や第三者に対し裁判所が文書の提出を命じる手続き。