<投稿> 国保連解体・民営化と対決し職場に闘う団結つくり出す
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国保連解体・民営化と対決し職場に闘う団結つくり出す
安倍政権による民営化と労組破壊、医療費削減・国民皆保険制度解体攻撃との大激突が始まった。国民健康保険団体連合会(国保連)の職場からの報告を掲載します。(編集局)
「朝日」先頭に国鉄型の攻撃
朝日新聞が5月以来、国民健康保険などの審査支払業務を担う2団体、国保連と社会保険診療報酬支払基金(支払基金)に対する悪質なキャンペーンを行っている。安倍の医療費削減に手を貸して統合・合理化、民営化と首切りを迫る攻撃だ。
「朝日」は、〝私たちの健康保険料から毎年1200億円超を得ている2団体は高コスト体質なのに、民主党政権下で提案された統合・合理化計画が放置されている。賃金は国家公務員より高い。一方、韓国はレセプト(医療機関が請求する診療報酬の明細書)の機械審査導入で、全請求の24%を不適切として医療費を2割削減、経費も日本の10分の1で、日本の職員1万人に対し1800人でやっている〟とあおり立てた。
さらに〝削り屋と呼ばれる民間業者に発注した方が、手数料は高くともそれを上回る削減効果が得られ、大阪府のある市は数倍の医療費を削減できた〟などと、5回にわたって記事を掲載した。
国鉄分割・民営化の際にはマスコミが国鉄労働者を狙い撃ちにする「ヤミ手当・カラ出張」キャンペーンを展開し、社会保険庁解体・民営化を前に「ずさんな年金記録」や「個人情報の遺漏(いろう)」などをあげつらって集中攻撃を行った。その時とまったく同じ手口だ。報道を機に私の職場でも、コスト競争による合理化と労働強化、団結破壊の攻撃が激化している。絶対に許せない!
2団体統合し労組破壊狙う
大恐慌と大失業、非正規職化が労働者人民の生活を直撃している。安倍は財政危機を振りかざし「消費税は福祉にしか使わない」などと言いつつ、医療費や生活保護費を真っ先に削減した。ふざけるな! 戦後革命期以来の「生きさせろ!」の総反乱の時だ。
市町村が設立母体の国保連は、病院や診療所が出してきたレセプトについて初診料、再診料、検査、投薬、手術、入院料などが適正かどうかを審査し、費用負担を集計し医療機関に支払う。組合健保や協会けんぽを主に扱う支払基金も同様だ。こうした業務を担う2団体を統合し民営化して労働組合をつぶし、医療費を削減する攻撃は、国民皆保険制度の解体にまで行き着く。社保庁解体が公的年金と社会保険制度解体の突破口と位置づけられていたのと同じだ。
国保連の労組はレセプト電算処理システム化による合理化・大量首切り攻撃と闘ってきたが、88年の自治労加盟と同時にシステム導入を認めてしまった。現在、過重労働が強制され、残業・休日出勤が当たり前になり年次休暇も取れない。メンタル発症が増えている。
業務委託が拡大し、当局は今後10年間退職者不補充で定数削減を行うと組合に申し入れてきた。職場討議では怒りと不満、将来に対する不安の意見が数多く出された。
規制改革会議は「高過ぎる審査手数料が財政を圧迫」「民間開放を」と提言した。17年に国保の運営を現在の市町村から県に移し、2団体に医療費削減を競わせ負けた方には委託させないと脅して労働者をサバイバル競争に駆り立てている。支払基金と国保連の労働者は競争するのではなく、医療と自らの職場を守るために団結して闘おう。
国鉄闘争軸に安倍を倒そう
7・1集団的自衛権閣議決定によって、戦争への危機感はかつてなく高まっている。戦争への怒りと、労働者同士を競争させて団結を破壊し仕事を奪い福祉を解体する攻撃への怒りはひとつだ。
職場の闘いは着実に進んでいる。国鉄署名を進め、何人もの青年労働者と話せるようになった。
8月自治労別府大会の報告と8・9長崎の城臺美彌子(じょうだいみやこ)さんの訴えをのせたビラを配ったところ、大きな反応が寄せられた。30代の男性は「ビラはいつも読ませてもらっています。すごいですね、安倍総理の目の前で集団的自衛権を批判したのですから」と答えてくれ、思わず彼と握手した。別の男性は「私は民主党なんか支持していません」と話しかけてきた。動労千葉物販に協力してくれる女性は「城臺さんの発言テレビで見ました」と言って『内部被曝を許さない』の本を買ってくれた。社共に代わる本物の労働者党の登場が待ち望まれていると実感した。
安倍政権の規制緩和攻撃のもとで、国、県や市は行政改革を進め、自治労本部は現場の闘いを抑え裏切ってきた。しかし別府大会では民営化や任用替え、人事評価義務化に反対し闘う方針を求める声が相次いだ。
資本・当局と労働者階級は非和解だ。動労総連合を全国に! 職場で闘い抜いて階級的労働運動を進め、自治労の権力を奪取しよう。怒りは満ちている。展望が見えてきた。安倍を絶対倒そう。革命のロマンをみなぎらせ、11・2集会の大結集に向かって闘おう!
(自治労・福岡 糸野博)
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▼国民健康保険 人びとが医療を受ける権利を保障する公的医療保険のひとつ。加入者は約3500万人と最大で、40・8%が無職、非正規職など35・3%、自営業15・5%、農林水産業3・1%(10年度)。失業者と非正規職が激増している。ほかに大企業の組合健保、中小企業の協会けんぽ、公務員の共済組合、建設や医師などの国保組合、75歳以上の後期高齢者医療制度があり、全体で国民皆保険制度をつくっている。
▼レセプト電算処理システム 病院などが診療報酬の請求をフロッピーディスクやCD、電送で行うシステム。人員削減と労働強化をもたらす。